一週間の疲れでぐだーっとしていた土曜の朝に、あるツイートとそのリプ欄についてじっくり見て思うところがあったので書く。
2月に炎上?していた以下のツイートにひょんなことから再度出会った。
ざっくり状況をまとめると、
中国からと思われる観光客が日本のコンビニ(外資ホテル内)で英語で店員に質問をした(このおにぎりの鮭は調理済みですか?生ですか?)
日本人の店員さんは英語がわからなくて固まっていた
そこに筆者が日本語で質問内容を店員さんに教えてあげた
店員さんが筆者に面と向かって質問に対して「調理済みです」と返事。(なぜ私に?と筆者は思う)
筆者が観光客に英語で回答
店員さんは筆者に一言もなし、観光客は筆者にお礼(Thank you)
筆者は日本の英語教育および日本人のコミュ力にちょっとモヤッた
で、それに対するTwitterのリプ欄。上から下まで全部眺めてみたけど(暇かw)、メジャーな意見は以下の通り。
ここは日本なんだから日本語を話せ。
給料の低いコンビニの店員さんに英語力を求めるな。
観光客が翻訳アプリを使え。
筆者が直接観光客に教えてあげればいいじゃない。意地悪。
英語話せる人のマウントですか。上から目線でいけすかない。
何百件(400件以上?)とリプが来ている中、筆者に対して肯定的な意見は数えるほどだった。
私はわりと筆者の感想について、わかるな〜と思ったのだけど。
まず、店員さんと観光客の会話なので、基本は二人で会話を進めてくださいという場面に仲介者として入るので、4. の時点で店員さんが筆者に「調理済みです」と答えるところで筆者がモヤるのがめちゃくちゃわかる。
「調理済みです、と伝えてくれませんか?」とか「調理済みです、って何ていうんですか?」なら店員‐筆者の会話として成立するが、「調理済みです」というのは店員‐観光客の会話ではないか。なので、4.の店員の対応にちょっと「?」という気持ちになるのはわかる。
この店員さんが英語がわかる、わからないとかはどっちでもよくて、店員としてお客さんとコミュニケーションを取ってくれよ、ということかな。
また、上記のメジャーな意見たちを眺めていて、いろいろ思うところがあった。
ここは日本なんだから日本語を話せ。
まぁそれはそう...だけど、観光客に「日本語で話せ」というのは酷じゃない?中国人と思しき人が中国語でゴリ押ししてるわけでもなく、一番伝わる確率が高そう&その人が伝えることができる英語で聞いているんだし。
他の亜種リプとしては「大阪のオバチャンでもハワイではカタコトの英語で店員さんと喋ってるんだぞ(日本では日本語で喋れ)」というようなものもあった。う〜ん...じゃああなたはタイに行ったらタイ語で、フィンランドに言ったらフィンランド語で質問するのかい?という気持ちがある。
日本人は(主語でかいけど)、英語 vs 日本語の二項対立で考える節があるんだなということに気づいた。海外旅行、例えば東南アジアに言ったらあなたも一番通じそうな&あなたが比較的話せる英語でコミュニケーションを取ろうとしないかな?と思った。
給料の低いコンビニの店員さんに英語力を求めるな。
うむ、確かに...?これは、筆者とリプを投げている人たちの感覚の違いかもしれない。筆者は日本以外のいろいろな国で育った方のようなので、英語がいかに世界共通語として使われているかということを身を持って感じている。また、Is this raw or cooked?という言葉自体はとても平易な文章に見える。それが全くわからなくて固まっている店員さんに驚いたのかもしれない。
対して、リプしている人たちはおそらく日本の義務教育を受けてきた人だと思う。私も同じだ。私も高校を終えて、18歳で初めて友達と海外旅行をしたときに「入国カードをください」が英語で全く言えなくて自分でもギョッとした。なので、「英語で少しでも生身の人間と会話をすること」が特殊技能に見えるのだ。普通のコンビニの店員さんに求めることじゃないよ、と。
英語力を求めるな、というのは英語で会話できることを期待するなということだと思うが、私としては、ここでは店員としてのコミュニケーション力を求めたいなと思った。
他の国でも店員さんで英語が堪能でない人はたくさんいる。でも、その人達は少なくとも質問されたらなにか教えようと、コミュニケーションを取ろうとしないだろうか?現地語でアレコレ教えてくれる(わからないけどw)のときもあるし、指差しのときもあるし、翻訳機のこともある。でも、固まって会話を丸投げするということはないんじゃないかな。
観光客が翻訳アプリを使え
たしかに、使える状況だったらアプリを使ったら良さそう。私もタイでとてもお世話になりました。
筆者が直接観光客に教えてあげればいいじゃない。意地悪。
これは、上で言った通り、観光客‐店員の会話なのだから、(筆者を介して)店員さんが教えてあげたほうがいいと思う。まあ別に筆者が教えてあげてもいいんだけど。筆者のスタンスとしては、「あ、困っているから仲介者として入ったほうが良さそう」と入ったようだから、リプの「お前(筆者)が教えてあげろよ」というのはなんかお門違いな気がする。
英語話せる人のマウントですか。上から目線でいけすかない。
お、おぅ...。 筆者はマウントを取りたいわけでもなんでもなく、体験と感想を述べているだけなんだろうなとお察しします。
こういう、自分ができないことをできる人に関してすぐに「偉そうにしている」「自慢されている」と感じるところが日本人特有の(主語デカいので、全員に当てはまるわけではまったくないです)嫌なところだな、と思い出した。自分が持っている能力や身につけた能力を使うことは何が悪いのだろうか?と思うのと、相手(筆者)が英語が堪能なことと、あなた(リプしてる人)がそうでないことは関係ないから安心してください、という気持ち。あなたが英語が堪能ではないことを誰も責めていないし、筆者はマウントを取ろうとしていない、と思う。
あとは、筆者のツイートを「説教」と捉えている人が多くて驚いた。まあ確かに(おそらく)中年男性であろう筆者が若いコンビニの店員に対して文句を言っているように見えなくもない。ただ、このツイートは店員さん本人に向けられたものではなく、その日あった出来事を客観的に述べたうえで、日本の英語教育や日本人のコミュ力についてちょっと残念だなあという感想を述べているにすぎない。これを説教と呼んでしまったら、簡単にツイートできなくなってしまう。しらんけど。
....とここまで書いてきて、あるツイートに対してどういう意見を持つかなんてのは、登場人物のだれに一番共感するかによって変わるものなのかもなあ、という気がしてきた。
店員さんに感情移入してみると、「今日は外国人に英語でいきなり話しかけられて、対応できなかった。隣のおじさんが教えてくれたけど、なんて返したらいいかわからなくて困った。とりあえずその場はおじさんがなんとかしてくれたけど、恥ずかしかったし気まずかった。」という状況が容易に想像できる。筆者に一言も言わずに去った店員さんの様子も想像できるな...
リプをしている人も、そんなに深く考えずに反応しているのだろうし、否定的な意見が多かったけど、仕方ないのだろうな。
なんてことを考えた休日の一コマでした。