Jan 2 バンクーバーの朝日

atk
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1週間ほど前になるが、「バンクーバーの朝日」という映画を見た。この映画は100年くらい前にバンクーバーに移民してきた日本人の話。

その昔、日本人はいっちょ儲けるぞーと一攫千金に憧れて海外に出稼ぎに出ていったという。その行き先の一つとしてバンクーバーがあった。そして、バンクーバーで生まれ育った若者たちの少ない娯楽の一つとして野球チームが結成された。それがバンクーバー朝日。

この映画は、バンクーバー朝日が体格では勝てるはずもないカナダ人チームに対して、Brain ballと呼ばれるバント中心のプレイでめきめきと勝ち進んでいく話だった。野球の話を中心としつつも、100年前の街の雰囲気や、日本人移民の暮らしなどが感じられて興味深かった。

(ここから先はネタバレあり)

日本人移民1世である主人公の親世代と、2世である主人公の違いも興味深かった。「3年出稼ぎすれば後の生活に困らない」という文句につられてやってきた移民1世は、実際は過酷な肉体労働を強いられながら生きている(もちろん差別もあるし、賃金は白人より低い)ため、白人への恨みを強く持っている。それに対して、2世の若者たちは、生まれ育った環境以外を知らないので、強い怒りはなく、どちらかというとその現実を受け入れ適応しようとしているように見える。彼らは英語も喋るし、なんとかうまくやっていこうとしている。

主人公一家の父親と妹が喧嘩する場面で、2世である妹の決定的な発言がある

お金全部日本に送っちゃって、お母さんが大変なの分ってるの?そうやって、いつでも出稼ぎ根性が抜けないから、日本人はこの国から出てけって言われるんだよ!お父さんたちはいつもそうだよ。英語も覚えないし、日本人としか仲良くしないし、カナダの人たちのことを分ろうともしない。だから、バカだ、貧乏だって、見下されるだよ。地位だって向上しないんだよ!

父親は、日本にいる親戚たちにいい顔がしたくて、少ししか無いお金を送金していたのだ。しかし、主人公の妹(父親の娘)側からしてみると、帰る場所などなく、バンクーバーは生まれ育った場所なのだ。なので、妹は英語を話すし、カナダ人の学校に行き、カナダで生活を築いていこうとしている。この違いが大きいゆえの衝突だった。

移民1世と2世では、アイデンティティがどこにあるかが違うので、だいぶ感覚が違うよな、と思った。

@atk
カナダ・バンクーバーでしずかに暮らしています。