
SNSで観た映画や舞台、読んだ本のメモをつけている。最近めっきり舞台に行ってないなと思ってログを掘ったところ、2025年7月が最後だった。ちょうどこれくらいのタイミングで劇場で映画を観る頻度が上がった(と言っても月にせいぜい一、二本)ので、趣味が変わったとも言える。が、私は昨年夏以降チケットを取らなくなった理由が何なのかを、はっきり理解している。
チケット代が高い
もうこれがすべてだ。とにかく高い。私は南関東に住んでおり、都内の劇場で日帰り観劇ができる。往復の交通費と宿泊代だけで数万飛ぶような環境ではない点めちゃくちゃ恵まれているのだが、それでもなお、ミュージカルや演劇のチケットは高い。
かつては一万円にちょっと足したら取れていた気がするS席は、今や二万三万出さないと座れない。お手頃なはずのB席ですら一万円近い価格設定になっている。
日本で演劇のチケットを取るというのは、半年近く前からスケジュールをあけて絶対にキャンセルもリセールもできない覚悟を決めて万の金をつむこととほぼ同義だ。
リセールや払い戻しについてはここ数年で多少の改善が見られるようになったが、まあ多少の改善でしかないな……というのが正直なところだ。
こうなると何が起こるか。
観る前から期待が膨らみまくってしまう
これが本当に辛い。これだけ苦労してチケットを取った、こんな高い金を払った、万難を排して行くんだからそれに見合う体験をしたい!とどうしても私は思ってしまう。
そして、その期待が外れた時にもんんんんっっっっっっのすごくがっかりしてしまう。
これは何も舞台の内容そのものについてだけではない。前に座った人がたまたま背が高くて舞台が見えなかったとか、後ろに座った人がずっとおしゃべりしていたとか、斜め前にいた人がスマホを見ていたとか、そういうささいなことで自分のテンションがガッタガタに落ちてしまう。
もちろん舞台の内容についてもそうだ。
なんかあの部分にモヤモヤが残るとか、あのシーンで演者がミスってたなとか、本当に小さなことで半年前からの期待にケチがついたような気持ちになってしまうのである。
そして、周囲に座るお客さんが当日出たとこ勝負になるのならせめてここだけは、と考えた結果、
演目と演者の厳選
……ということをはじめてしまうわけだ。
出たとこ勝負では怖い。上手いとわかっている人が出ている、ストーリーもある程度評価の高いもの、あるいは古典で押さえておきたい演目しか観たくない。だってがっかりしたくないから!
しかし皮肉なことに、こんな安牌を選んでもがっかりは起こる。だって好みがあるんだもん。そしてそこに、当日の自分と演者のコンディションという不確定要素が絡むのだ。
ハズレを引いても笑える余裕がないと、エンタメは楽しめない
と、私は思っている。
チケット代の高騰により、演者が当日その場で芸を披露するエンタメは私にとって(負ける)博打要素のめちゃくちゃ高いものになってしまった。
映画は大丈夫だ。演者のコンディションで提供される作品が変わったりしないし、何よりチケット代は舞台の五分の一程度だ。時間がかかるのもキャンセルできないもの同じではあるが、映画館は舞台を上演する劇場よりはるかに数が多いから選択の幅が広い。
映画は今の私の生活にあったエンタメだな、と感じているから、あまり不満はない。
でも舞台が恋しい
でもやっぱり、目の前で生きた人間が生み出すエンタメにふれたいという願いは消えない。そこにしかない体験があることを知っているだけに、また劇場に通う日を取り戻してみたいなという気持ちは強い。
なんとかなってほしい。私だけじゃない、たくさんの人が演劇を楽しめるような世界を、どうにかしてここから作っていけないもんだろうかと心から思う。