コロナでもインフルでもないとするとこの微熱を超えた発熱の原因は何なのか、新型コロナがもはや新型でもなくなって久しい2024年に生きているとこういう普通の風邪をこそ謎に思うというか、ほんとうにそうかどうか怪しんでしまうが要は普通の風邪らしい。抗原検査も発症からしばらく経ってのことだったからおそらくほぼ間違いはないし、感染症の類ならこんなに解熱剤が効くとは思えないのでやっぱり普通の風邪なのだが、こんな日(サークルの総会の日)に熱を出すなんて。自分でも呆れてしまう。熱が上がり始めた昨日の夕方の時点でほとんどなにかに罹っていると確信してしまっていたので早々に諦めはついていた。微熱から発熱モードへ身体が切り替わろうとしているタイミング、いわば離陸態勢のときは、悪寒と倦怠感が出るものだけど、その時間がけっこう嫌いというかしんどくて、ベッドでうずくまっていると精神がBADばつ丸に入り、アクションゲームか進撃の巨人のようにわたしの住むマンションの上階から、両腕を挙げて取手を握るだけのパラシュートあるいはグライダーひとつで恐る恐る飛んでいくという映像だけが繰り返し流れるようになった。(この想像はよくしてしまう癖でもある) 目が覚めてすぐ、高熱モードに身体が完全に移行しているとむしろ平常時のような感覚がするのが不思議で、そこから徐々にいつもより速い血流の流れ方とか身体の芯の熱さとかがわかってくる。38度あったときわたしはTwitterで「自分の体で暖が取れる」と検索している、たしかにちょっと熱すぎてウケる感じはある、同じ体験をしている人を見つけたかったのらしい。
昨晩の話になってしまったが、昨晩にせよ今日にせよわたしの部屋の中で流れていた時間はほぼ同じようなもので、ときどき本を読み、ときどき寝て、だいたいはスマホを見ていたり目をつぶっていたり水を飲んでいたりするだけだ。せっかくだから日記を書こうと思って書いているのだが日記を書くのはやっぱり楽しい。書くことを楽しいと思うことってじつはもうあまりなかったというか、素朴に楽しみながら書いてもいいんだよな、というよりそういうものだったよなと思った、いま。
日記書こうかなと思ったできごともあるにはある。さっきお風呂に入ろうと思ったときのこと。自分の寝間着や下着が自分の部屋になく(?)、リビングの洗濯物取り込みスペースみたいな服の山のところにあって、もう感染症に注意する必要はないから普通に取っていったりなんなら家族と話したりしてもよかったのだろうが、謎にビビりな自分が、というか、一度隔離体制を作ったら体調が本調子にならない限り容易に崩せない自分がいて、抜き足差し足でリビングにおずおず入り、なるべくほかの服に手をつけないようにしながら自分の寝間着を抜き取っていると、母親が、熱は、と訊く。6と7度を行ったり来たり、と答えたいわたしはしかし口を開くのをためらって(マスクもしていなかった)、指で必死に6と7を交互に作って示したのだが伝わらず、リビングから離れたらすこし大きめの声で言うことにしよう、と謎の隔離意識を働かせながらそこを出ようとすると、妹が、yes/noで答えられる質問じゃないとこの人答えないでしょ、マスクしてないんだから、と言った。兄を「この人」と呼ぶのはいつものことで、兄の潔癖をやり過ぎだと思うのも妹にとってはいつものことだった。兄は、いろいろ言いたいことはあったが、ともかく自分の生態を理解してくれているのはありがたいことだ、と思った。「そういうとこあるよ」が自分にとってまったく考えもしなかったようなとこだったら恐怖だし、「そういうとこあるよ」で傷つくことも多いが、少なくともそういうふうに居ることは理解され、許されている、という言い方で救われることもけっこうあった。
それで、なんといっても今日は総会があって、幹事長としては最後の出番だった。それを休まざるをえなかったことはなかなかの大失態なのだが、無事終わったようで良かったと思う。飲み会とか行きたかったなと思いつつベッドに横たわる。