2024/04/08――積立NISAで足並みを揃えるな

atoraku
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前日、トラつばの時間に起きようと思って8時にアラームをかける。6時半ごろに起きてしまい家族に怪しがられる。えっ!?どうしたの!?と母。まあ不思議がられるのもやむなしの生活を送ってはいる。慣れない早起きをしたためか、午前中はとても眠かった。

バイトの前にカフェでフランス語の勉強をする。1時間半くらいやったところで飽きて、堀江敏幸『雪沼とその周辺』の最後の一篇である「緩斜面」を読んだ。冒頭に描かれる車窓のイメージと、切れ端を焼却する材木工場から昇る煙、香月さんが防災用具の会社に入るきっかけとなった火災と消火器、などの火のイメージに、同じく雪の街を舞台とした『雪国』を思いだしもする。(ついでに本作所収の「スタンス・ドット」は川端賞だった、などと余計な連想もする。)『雪沼』を買った時期も、はじめの「スタンス・ドット」を読んだ時期も思いだせないが、足かけ二年くらいは少なくともかかっているのではないか。たまに取り出しては読み進め、またゆっくりと離れ、とうとう最後まで来た。一冊の本をこれで読み終えたことになるけれど、それは、辿ってきた物語が終わってしまうとか内容をすべて知ることができたとか、目的や到達点があるような体験ではない。本をひらけばそこに架空の土地である雪沼が、愛すべき人々の生活の息づかいと共にありつづける。

そしてどうやら、彼の別の小説である『未見坂』や『なずな』で描かれているのも雪沼の近所なのらしい。きっとまた訪れたくなるだろうから、そのときはこれらを手に取ってみようと思う。『雪沼』についてはなんかまたまとまって書きたいな。

人員不足が出ていたのでシフトを入れたのだが、休憩室で始まるのを待っているとあとから続々と人が来て、十分人手がいるときよりも多かった。誰が来る予定で、誰がキャンセルになったのか、何人来るのか、何人来るのが正解なのか、その場にいる誰もが(社員さんまでも)把握しておらず、これはもしや帰れる…!?と高校生の方々の顔色が輝きだした。(実際は月曜日は客数が多いので何人いても足りることはない。途中でひとりくらい帰すのも社員さんは検討していて、各人に「帰りたいですか~?」と聞いていたが、結局全員きっちりと働いていた。) 今日一緒に働いていたのは、一応夕方がメインという旨で採られていながら、朝・昼・晩の境なく働いているほぼ準社員と言ってもいいのではないかという方、明日部活があると言う高校生の方、専門学校の授業がもうすでに始まっていてほとんど空きコマもない、とおっしゃっていた方……春休み中、翌日の予定もなし、連勤中でもなし、そんなわたしが帰る理由はどこにもない。どうかここはわたしに任せて!と言いたい気持ちだった。(一手に担えるほどわたしは頼れる働き手ではないけれど) とはいえ、あと何人来るのかわからず次から次へと人が増えて、わらわらと休憩室に集まり、賑わっていく感じは楽しかった。

夜、預金残高と出金記録をアプリで見る。リビングにいた父親に、「お金の管理って難しいねえ…」と、もう何度思ったかわからない反省を口にすると、「そろそろNISAかIDECOの口座をつくってもらいますからね」と返される。面倒くさい…

翌日の朝(9日朝)、コーヒーを飲みながらぼーっとしていると、出かける準備をしていた母親がずんずんこちらに歩み寄ってきて、「あんたも、時間あるときでいいから、積立NISAのこととかもうちょっと調べておきなさい」と、言った。なんかそういう話したの?とわたしが聞くと、なにもしてないと言うからたまたま符号しただけらしい。積立NISAで足並みを揃えるな。たまたま一致したからそう思うのかもしれないが、両親ともども無批判に積立NISAを「勝手にお金が増えるサービス」みたいに有難がっているような感じがして、朝からとても憂鬱な気持ちになる。