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日記(2026/9/14ー9/18)

八月の光
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公開:2026/9/18

2026/9/14(月)昨夜はスーパーに買い出しに行き、旅行の片付けと日常へ戻る準備をした。洗濯機が止まるのをうとうととしながら待ち、10時頃に寝た。7時間ほど寝て回復。昨晩仕込んだ豚汁と少し賞味期限が過ぎた卵を目玉焼きで朝食。久しぶりの快晴の朝だ。暑くもなくて心地よい気候。

 クリストファー・イシャウッド「シングル・マン」を読み始める。舞台は1960年代のアメリカで、主人公は大学教師であり、同性愛者でもある。共に暮らしてきた長年のパートナーは1年前に事故で亡くなったが、周囲にはそのことを打ち明けず、国に帰ったと説明して暮らしているのだった。そんな彼の特別ではない一日を綴ったもの。「シングル・マン」という題に、色々な意味を感じる。独身の男、一人になってしまった男、ただの男、など。冷笑的な語り口なので、傲慢で嫌なやつだ、もっと素直に優しくなれば人間関係が豊かになるのにという印象があるのだけれど(そして、その言葉はすぐに私自身へと跳ね返ってくるのでもあるのだが)、孤独と孤独に老いていくことの切実さがある。1960年代、異性愛者がどのような扱いを受けてきたのか、パートナーとの愛のある生活のその側面でどれほど傷を負うことになったのかを考えてみれば、なおさらである。

2026/9/15(火)また雨だ。直行直帰の出張で金沢へ。大宮から北陸新幹線に乗る。平日の8時台の新幹線でも満席だった。金沢もまた雨。金沢駅近くで仕事を済ませ、出張先の近くにて地元のB級グルメであるハントンライスを食べた。オムライスの上にエビフライとカジキマグロのフライ、タルタルソースが乗っているボリューミーな一皿だった。金沢駅まで歩いて観光気分をささやかに味わい、夕方東京に帰る。

 ハン・ガン「ギリシャ語の時間」を新幹線の中で読んだ。感想を述べることが難しい。まず、自分には合わない。詩的な散文が特別に苦手で、詩の読み手としての才能がない私は、ハン・ガンの小説との相性が悪いというのはなんとなく気づいていたことであるので、特別驚くことではない。一方で、この小説が広く支持されている理由もわかる。傷つきやすさ、傷ついた心の回復、ケア、肯定や共感というテーマは極めて現代的で、表現が卓越しており、今の時代に広く求められて受容される小説であることもわかるのだった。――と、ここまで書いてみて、ハン・ガンの小説を読んだ時に覚えるこの居心地の悪さについて、自分が冷たい人間であることを否が応でも自覚させられるからだろう、と思いいたるのだった。他人の傷ついた心も、自分の心でさえも、見ないふりをして時間の経過に任せて通り過ぎてしまう、ということを繰り返しながら生きてきたからだ。

 

2026/9/16(水)また雨。台風の進路にやきもきさせられる。通勤電車でマキシーン・ホン・キングストン「チャイナ・メン」を読み始めた。中国からアメリカに渡った中国系一族についての多声的な物語である。ひとりひとりは別個に物語るが、それが合わさって、絡み合って、一つの大きな物語となる。マジックリアリズムのようにも感じる。

 仕事終わりもまだ雨だ。スーパーによると、サンマが安く出ていた。今年初めてのサンマを夕食にする。茹でビーツを手に入れたので、ボルシチを作る。温かいスープを作りたくなる季節になってきた。具は白菜、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、鶏肉。脂っこいスープが苦手なので、バターは使わない。一般的にキャベツを使うことが多いが、白菜は味がしゅむし、白菜そのものに甘みがあっておいしい。ビーツの果肉の濃い赤もよいが、スープに染みわたる透き通った赤もよい。視界に滋養がある。

2026/9/17(木)涼しくて快適な朝だ。朝食にボルシチを食べる。別部署のイベントの手伝いのため、普段より早く出勤。調整電話をかけると、相手は数年前に受けた研修の講師役だった。なんと狭い人間関係である。覚えていてもらえて嬉しい。退勤間際にちょっとした問題が持ちあがり、ばたばたと色んな所に調整をかけ、少し残業をして帰る。引き続きキングストン「チャイナ・メン」を読み進めている。「アメリカ人がふえてゆく」という章がなかなか読みごたえがあって面白い。家族というミニマムな範囲での物語でありながら、華僑という一つの大きなものを語るものとなっているところに、家族史の可能性を感じる。家族史でありながらポリフォニー文学でもあって、非常に重厚で面白い小説だ。クッツェーの「夷狄を待ちながら」を図書館で借りようとしたところ、所蔵がなかったので買った。

2026/9/18(金)爽やかな気候。窓を開けておくと風、秋らしい青空。自宅の消防点検のため午前中は休暇で、朝がゆっくり。朝食を準備し(値引きのカツオの醤油漬けの丼)、ニュース番組を眺めながら食べる。毎日これくらいの余裕があればよいのだが。家事をして、ジムへ行って筋トレと有酸素運動をし、点検を済ませて出勤した。昨日持ちあがった問題はなんとかなり、憂いなく連休に入ることができる。涼しいので、途中下車して歩いて帰る。繁華街、住宅街、川沿いの道を1時間ほど歩く。暮れなずむ町に、秋の気配を実感する。作り置きの麻婆豆腐に花椒を加えて食べる。食後に梨を食べた。

@augsutus
主に日記を書いています。