30日。物量との戦い。全国の支社から一斉に大量の資料が届くので、ひたすら点検と仕分けをし続ける。今時どうしてこんなにアナログなんだと思いつつ、人の手が一番確実というのが我が社の信念らしいということを想像する。DX化のこの時代に。我が室だけでは追いつかないので、他の部署からもお手伝いをもらって、朝から夕方までひたすら仕分け作業をする。
夕方、ようやく作業が終わって自分の仕事に手をつける。締め切りが切羽詰まった仕事だが、どうもトラブル続きで上手く進んでいかない。ひとつひとつおかしいところを確認しながら修正を加えつつ前進。数字の仕事は嫌いだ。
時間は飛ぶようにすぎて、帰宅を諦める。応接セットのある会議室を陣取って、長ソファを2つくっつけて祭壇のような簡易ベッドを作成し、その上で寝袋で寝た。なかなか快適に寝られる。シャワールームが遠いのが少しだけ難。2時半就寝、6時起床。少し湿った朝の空気、秋から冬へ進む匂い。
31日。連日の寝不足のはずだが、妙に元気で働く。でもきっと、何かを差し出す代わりに得た元気なのだろう。前の部署でもこれくらい働いたことがあったが、それに比べれば気持ち的にはとても楽だ。前に進んでいる、終わりがあるという気持ちがあるからだろう。終わりのない不祥事対応、火消し仕事ばかりのあの頃に比べたらずっとまし。気持ちも追い詰められていない。仕事が後ろ向きでないというのはこんなにも心を軽くする。
お昼、インド料理屋のカレーをテイクアウトする。ナンが大きすぎて笑ってしまう。

21時退勤。激しい雨。帰りの駅で仮装をしている人たちを見かけ、そういえばハロウィンだったかと思う。世相に疎くなる。明日の朝が早いので真っ直ぐ帰ろうと思ったが、つい足が自宅近くのビアバーに向く。このところ職場で仕事の話ばかりを、それも怖い顔をしながらしていたので、マスターや顔見知りの常連さんとの会話で心がほぐれた。一杯だけ飲んで帰る。最高の金曜日。
