新調したトレッキングシューズの慣らしをしたくて、飯能の山へ行く。山と言っても里山と言うべきで、ハイキングの部類に入るのだが、膝を痛めて以来の山歩きとしては丁度いい。8時頃に飯能駅に到着し、人通りの少ない駅前の町を抜けて山の方へ行く。朝食をとってこなかったので、途中にあるパン屋でパンを買った。パン屋さんですよ!

気温は20度ほど、Tシャツでちょうどいいくらい。昨日の雨の影響で足元はあまりよくないが、見上げると花が盛りである。桜は少し緑が出ているが、代わりにツツジが咲き始めている。もう一度足元に目を戻すと、道端に可愛いスミレ。メジロの甲高い声(さえずりという表現よりも、甲高い声、という印象)を聴いていると、諏訪哲史「アサッテの人」を思い出して読みたくなる。「アサッテの人」の中の「おじさん」の特殊言語を分析するくだりが好きなのだ。鳥の声はそれを彷彿とさせる。
傾斜を登り始めると少し汗ばむ。あっという間に天覧山山頂へ到着。雲が多くてこの日は富士山は見えず。

天覧山を駆け降りると、里山という風景。途中、向かい側の森で枝が派手に落ちるのを見、ぎくりとする。

のんびり歩いて多峯主山山頂に到着。

桜を見ながら、桜あんパンを食す。

行程としては往復5キロほどゆっくりと歩き、時には道端の植物を観察しつつ、3時間ほどで飯能駅へ戻った。傾斜もほとんどないので物足りなさはあるけれど、膝のためにも今日はこの程度にしておく。
帰り、途中駅で降りてうどん屋に立ち寄る。都内で山梨のローカルグルメ「吉田うどん」が食べられる珍しい店。山梨で勤務していた頃、富士吉田までよく食べに行ったものだ。たまに食べたくなる味。バリ固を通り越したコシのある面が特徴。ワカメとキャベツが添えられていて、天かすや唐辛子調味料を入れて食べる。富士吉田では牛肉ではなく馬肉を使う店も多い。お腹がいっぱい。

もう一度電車に乗ってもよかったのだが、今日の山歩きは強度が低く物足りなさもあって、自宅まで歩くことにした。1時間半ほどてくてくと歩いて帰宅。山梨にいた2年間、社宅から甲府駅前の職場までの5キロを毎日歩いて往復していたので、5キロは徒歩圏内という価値観が出来上がっている。5キロの距離が物足りなくなると、バンド型の重りを両足につけて歩いた。これからも大切にしたい価値観である。
家に着いて、洗濯などをして落ち着くと、寝てしまった。日がとっぷりと暮れてから、肉じゃがを夕飯に作る。新じゃがいも、新たまねぎ、春にんじん。春尽くしの肉じゃが。しかし肉じゃがの裏の主役は味がしゅんだ2日目の糸蒟蒻なのだ。今週用のお弁当の総菜も作る。鶏の照り焼き、ブロッコリーの卵炒め、菊芋と人参のクミン炒めなど。それから、安売りしていた甘夏とレッドキャベツでピクルスを仕込んだ。
「精選日本随筆選集 歓喜」を読む。アンソロジーで初めて読む人も多い。林芙美子と向田邦子は初めてだが、なかなか良い。私は硬質な文章が好きだけれど、こういう柔らかい文章も悪くないと思う。井伏鱒二の釣り随筆は以前読んだことがあるが、やはりいい。武田百合子の文章も相変わらずいい。少し読んでおいてしまっている「富士日記」をもう一度再開しようか。寝る前、特に意味のないコンテンツを見たくて、「ロバート秋山の市民プール万歳」をだらだたと見る。