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日記(2026/9/21)

八月の光
·
公開:2026/9/21

 当直明け。夜中2時のノックで心臓が飛び出るかと。毎度ほぼ寝当直ながら、電話が鳴ることはままあることだが、夜中に当直室をノックされることは初めて。しばしトラブル対応をしてまた寝たが、変な時間に起こされたので、その後熟睡できず。台風接近の中帰る。安いレインブーツを買ったせいか、靴擦れして歩くのがつらい。午後から大雨の予報のため、買い物とジムに行って運動を済ませ、家に籠る態勢に。サグ鯖カレーを昼に作る。

 もう外にはでないからと早いうちから入浴。アニメ「デデデデ(略)」を見返しはじめたら長湯してしまった。映画でもアニメでも過去に見たものを見返すことが多くなってき、新しい作品に手を伸ばさなくなりがち。好奇心と感受性が錆びてきたのではなかろうか。今日は本を少し読んだら早く寝よう。

 飯吉光夫編訳「ヴァルザーの小さな世界」を読んだ。小作品集と訳者による作家の解説。ローベルト・ヴァルザーはスイスの作家。その生涯の多くの部分で精神的な患いに苦しみ、死までの20年間はスイスの精神病院で暮らしたという人物。母や兄など、家族の中にも精神疾患者が多かったらしい。「トゥーンのクライスト」と「一つの世界」が気に入る。「一つの世界」から書き留めておく。

 退屈、つまりまったく退屈で、どうにも気のまぎれようがないという事態は、この人びとにはまったく疎遠だった。ありとあらゆる賢い思念に身をゆだねつつ、真摯に、かつ快活に生きていた。平日と日曜の別を知らなかった。毎日が同じだった。生活はまるでゆるやかに流れる川のように流れていき、外からの刺激や活気が足りないと嘆く者はなかった。

 この人びとは、簡素でもあれば幸福でもある生活を送っていた。かれらの毎日は、甘美であり、柔和であり、陽光にみちていた。功名心、名誉欲、虚栄心などからはほど遠く、この三つの悪徳がもたらす恐ろしい病いからも護られていた。そしてさらに、愛情に乏しいことからもほど遠く、人間の生活を蝕むペストのようなこの悪疫からも免れていた。

 かれらはさながら花のように生き、菱んでいった。不安をひきおこす人騒がせな計画がかれらの頭を攪乱したり頬わすこともなく、このようにきりのない苦役はかれらには永遠に縁のないもの、かれらのあずかり知らぬものだった。

 死に対しては、心ひそかに、心の準備ができていた。死者のために、あるいは愛する者に死なれた自分のために、度外れに泣くということはなかった。みながみなをひとしく愛しあっていたので、だれか一人が過度に愛されたりすることはなく、それゆえに、死別の悲しみもそれほどまでには大きくなかったのだ。

(飯吉光夫編訳「ヴァルザーの小さな世界」筑摩叢書、105頁)

 すごい名文。この一つの世界というのは、実在の世界ではないのだろう。ヴァルザーが夢見た理想的な人間の在り方なのだろう。こんな風に生きられたらと私も夢見たい。

@augsutus
主に日記を書いています。