しずかなインターネット

日記やエッセイにちょうどいい
文章書き散らしサービス

ログイン

日記(2026/8/30ー9/4)

八月の光
·
公開:2026/9/4

2026/8/30(日)常備菜が尽きたのに昨日料理をしなかったので、食卓が寂しい迂闊な朝だ。調理をする気分でもなかったので、玄米とイワシの缶詰という朝食。猛烈な雨が降っている福井の支社にいる後輩に連絡する。福井市内だが今のところ無事らしくよかった。ジムへ行き、筋トレと有酸素運動をした。8月とは思えないほど涼しく、図書館を経由して一駅分歩いても快適だ。蔵前でまたスリランカカレーを食べる。

 スーパーで梨が安く出ていたので2つ買う。キッチンで黙々と料理。常備菜にモロヘイヤのお浸し、キュウリとワカメの梅肉和え、今週のお弁当用に鶏の手羽元のビリヤニを炊く。ビリヤニは素直に作るとハイカロリーになりがちだが、スパイスのテンパリングを肉の脂でする方法を編み出した。それから、長芋を使ったグラタンを仕込む。

 津島佑子「ヤマネコ・ドーム」を読み始める。いわゆる「GIベイビー」(GHQ統治下の日本で連合国軍兵士と日本人女性の間に生まれた混血児たち)の物語だが、それだけではない。題材自体も重々しいのだが、津島祐子の文章が非常にすばらしい。少し冒険をしたい時、図書館の蔵書検索で見つけた本をとにかく読んでみるという遊びを時々する。今回は講談社文芸文庫でやってみて、そうしてこういう出会いがあるからこの遊びはやめられない。

 

2026/8/31(月)とても涼しい朝だ。蔵書検索遊びで借りてみた柳宗悦「木喰上人」を少し捲ってみたところ、非常に面白く「ヤマネコ・ドーム」を横に置いて読んでいる。木喰上人は江戸時代の行者で、全国を歩きながら木彫りの仏像を残したという人物であるが、既に人の記憶から消えて忘れられていたところ、柳宗悦によって発掘される。その発掘の過程が具に記録されているのが、この「木喰上人」という一大研究書なのだった。木喰上人の生涯の驚異もさることながら、柳宗悦が上人の足跡を訪ねて歩く姿もまた面白い。

 色んな人に切りたての髪を褒めてもらった。自分でもまだ見慣れていないのに。夕方もとても涼しい。空心菜の炒めを作る。魚醤で香り付けた。夕食後、買い物がてら外へ運動しに行くのだが、本当のところは秋の虫の声を聴きたかったのだった。帰って梨を食べる。水菓子という言葉に納得するみずみずしさ。

2026/9/1(火)柳宗悦「木喰上人」を引きつづき読んでいる。旅に生きる人生というものを考える。生活を維持するための雑事に疲れると旅に出たいと思うことは多々あるが、結局は帰る場所があってこそ旅は楽しいのだと思う。スナフキンに憧れても、そういう生き方はできない。社会保障もなければ確たる支援者もなく、没するまで諸国を流れて生きた木喰上人の生き方は、真似できないけれど憧れる気持ちがある。ジョギング用のシューズのソールの摩耗がそろそろ限界になってきたので、新しいシューズを買った。ミズノのウェーブライダーの型落ち。大抵型落ちを買うのでカラーは度外視しているが、でもできれば気に入った色が欲しいという気持ちはある。

2026/9/2(水)仕事、いくつかの別個の問題が同時多発し、頭の中が渋滞している。なぜ問題というものは日をずらして来てくれないだろうか。一日てんやわんやしてとりあえずことは収まったものの、なんとなく嫌な気配がしている。昨日、木喰上人の旅のような生き方に憧れがある書いたのだが、思い違いをしていたのではないか。上人は旅をしているのではなく、「順礼」をしているのである。あてどなく流れるのではなく、確固とした目的をもってして行うのが「順礼」であれば、私が惹かれるのはそれだと思う。「木喰上人」を読み終えたので、再び津島佑子「ヤマネコ・ドーム」を読み始めた。冷蔵庫の常備菜が尽きてきたので、鶏肉を入れた味噌汁を鍋いっぱいに作った。これでしばらく食いつなぐ。

2026/9/3(木) 津島祐子「ヤマネコ・ドーム」を読み終えた。登場人物が多く、視点や時代が次々入れ替わるため、気を抜くとすぐに置いてけぼりになり、集中力を要した。津島祐子のほかの小説も読んでみたくなった。ところで、父の太宰治の小説はあまり好きではない(「人間失格」「ヴィヨンの妻」「斜陽」を読んだ)。単に私の性格と合わないのだろう。弱さは別によいのだが(そもそも、弱いことは人間の性質なので、許すも許さないもないことである)、弱さに対して陶酔しているように感じ、だらしなさを弱さと訳出しているようにも感じ、鼻について好きではないのだった。西村賢太のようにだらしのないことを包み隠さず差し出してくれればよいのに、弱さをよそおってだらしのないことを言い訳しようとしているのではないか、と感じてなんとなく受け付けないのである。

 「ヤマネコ・ドーム」を読み終えたので、ペーター・ハントケ「不安 ペナルティキックを受けるゴールキーパーの……」を読み始める。午後から雨が降り始め、なんとなく頭痛がし始める。低気圧の影響だろうか。このところ睡眠時間も十分で、体調もよいと思っていたので、心外の頭痛。夕方になるとさらに頭痛がひどくなる。こんな日に限って帰りの電車が乱れて遅れる。体を動かすのはやめておき、最低限の家事をし、21時にはベッドに入ってしまった。

2026/9/4(金)よく寝たが、少し頭痛が残る。小雨の朝。早く寝たおかげで普段より早く起きたので、昨日うっちゃった家事と掃除をする。お弁当も詰める。この2か月ほど、お弁当はゆでたブロッコリー、トマト、ふかしたサツマイモ50g、なんらかの豆、雑穀入り米100gとめかぶ納豆、という組み合わせ。しめて350キロカロリー程度だが、十分に満足感がある。今のところ飽きてもいない。体重は順調に減ってきているし、明らかに回りの脂肪が減ってきているのでうれしい。顔の輪郭もすっきりとしてきた。軽快に動ける体になりたい。

 仕事。未来の自分から仕事を取りすぎて閑散気味。消耗品庫の整頓や、引き継ぎ書・マニュアルの整備などをちまちまとしている。気が乗る・乗らないで仕事をしているわけではないが退屈。こういう地道な作業がのちの自分を助けてくれるのでもあるが。いっそ休暇を取りたいのだが、次年度の予算要求の時期でもあるため、いつ《至急本日中》という作業が舞い込むのかわからないので、休むこともできない。今週も全て定時で帰る。

 ペーター・ハントケ「不安 ペナルティキックを受けるゴールキーパーの……」を帰りの電車で読み終えてしまう。ブロッホ(という名の主人公)は、仕事を首になった(のかどうかわからないのだが、彼は首になったと受け取って)、理由のわからないままに殺人をし、逃避行を始めるのだが、どうもその様子も逃げているようには見えず、単に旅行か、遠出をしているように見える。殺人という重大事件すらも「頭についた虫をつぶした」程度の重要さでしかないようで、そのことが特に再び振り返られることもなく、あいまいな語りが続いていく。すごく不思議な小説だ。ハントケのほかの小説も読んでみたいし、ハントケが敬愛していたというヴァルザーも読んでみたい。アイルランドの作家オフェイロンの短編集を少し読み始めた。

@augsutus
主に日記を書いています。