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ブローガスト15日目(2026/8/24)

八月の光
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公開:2026/8/24

*自分の家の本棚をゆるく紹介する企画です。

43冊目「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ、須賀敦子訳、白水Uブックス 

 語り手はインドに消えた友人の足跡を訪ねてインド各地を旅する。のであるが、章を重ねるごとに友人の輪郭はぼやけていき、語り手の目的も旅先もしだいにぼやけていく。結局友人は本当に存在していたのだろうか?という気持ちにもさせられるのだった。言葉の魔術師タブッキの技がインドの夜の空気に合わさってこれでもかと発揮されている。各章に題名はないのだが、ジャイナ教の信徒の兄弟たちとのわずかな出会いと別れの章が不思議に温かく、しかしもの悲しくて好きだ。

44冊目「死せる魂」ゴーゴリ、平井肇・塩田瑞穂訳、岩波文庫

 ゴーゴリの未完の作品。あまり専門的なことはわからないのだが、後年のロシアの小説家にも大きな影響を与え、主人公チチコフの名前は「カラマーゾフの兄弟」の中でも登場するほど。題名の「死せる魂」という言葉には、詐欺師であるチチコフが集めている死んだ農奴の戸籍の意味もあれば、彼を含めて登場する登場人物たちの魂のありようのことも示されている。ゴーゴリは当初キリスト教説話としてこの物語を書き進めていたということなのだが、お気に召さなかったらしく原稿を焼いてしまったそうである。ながらく絶版であったが、最近復刊された。残念なことに、その発表の数カ月前に私はプレミア価格の古本を買ってしまったのだった。

45冊目「補陀落渡海記 井上靖短篇名作集」井上靖、講談社文芸文庫

 井上靖の小説はそれほど多く読んでいるわけではないが、この「補陀落渡海記」は気に入っており、時折本棚から出しては読み返している。補陀落渡海というのは捨て身行の一種で、海の向こうにある極楽浄土への生まれ変わりを目指して、小舟で海へ出ていく。実在の僧侶である金光坊を主人公に、補陀落渡海のその日までに至る彼の心理を緻密な筆で描いたものである。小説もよいのだが、解説に井上靖「姥捨」と深沢七郎「楢山節考」、あるいは「補陀落渡海紀」と「楢山節考」を比較する文章があり、これもまたなかなか読みごたえがあって面白いのだった。

@augsutus
主に日記を書いています。