日記(2025/11/1)

八月の光
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公開:2025/11/1

 ほとんど始発の電車に乗るため、早く起きる。寒くて暗い道すがら、見上げるとオリオン座が輝いている。このところ目前の労働のことばかりに頭がいって、空や雲や、光が満ちる様子や、草木や花、土の匂いに目がいかなかった。山手線からは朝の光が地平線と東京の街の対比を眺め、新幹線の車窓からは朝焼けの中に浮かぶ富士山。眼差しの曇りを取り払う。

 9時前に目的地に着く。流石に11月の東北は寒い。激しい風雨。在来線はほとんど1日止まっているらしい。迎えにきてくれたSを助手席に座らせ、山道を駆け抜けて2度目の谷地温泉へ。熱い上の湯とぬるい下の湯に交互に長く浸かる。労働の日々の疲れを湯に溶かす。荒天のせいか空いていた。前にきた10月の上旬と比べて紅葉がかなり進んでいる。風が強く、落ち葉が中空に踊る。高いところは紅葉の終わりの気配がしており、道端に雪。ここはもう冬は始まろうとしている。

 山の上の方。車道に雪。紅葉は終わりかけ。

 この辺りは見頃。

 夜、味噌鍋。道の駅で買った野菜たっぷり入り。白菜は大きなひと玉が200円。ねぎ、平茸、豚肉など。奥入瀬の純米大吟醸「青天の霹靂」を準備。辛口。味噌鍋とS作のニンニクホイル焼とで日本酒が進む。お腹も気持ちも満足した。

 新幹線の中で、イーユン・リー「さすらう者たち」を読み始めた。初めてのイーユン・リーだ。文化大革命後の中国が舞台で、政治犯として処刑された女性と、彼女に関わる人々が織りなす悲しい物語である。明晰、しかし悲しみが滲み出る文章である。

@augsutus
主に日記を書いています。