これまで試みとしてリフレクションジャーナルを転記してきたこの「しずかなインターネット」ですが、やはり試みとして、誰かに送るお手紙のようなものを綴ってみたいなと思っています。
できるだけ、小さなこと、情けないこと、たわいもないことを。
できるだけ、飾らず、曖昧なままに。
ととのったものや華やかなものだけが礼賛される現代社会へのわたしなりの静かな抵抗であり、わたしたちがつくる未来へのささやかな提案でもあります。
何より、日々、人には見えないことに取り組むあなたに、もどかしさや葛藤を抱えるあなたに、世界のどこかで同じようにどうにかこうにか今日を生きている人がいるということそっと伝えたいと思っています。
*リフレクションジャーナルは保存場所を検討中です。どこかで公開をするときはまたお知らせしますね。
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しずかなインターネットには「ひかえめなニュースレター」という機能があります。
ひかえめなニュースレターは、購読している誰かが記事を公開したときに、それらの記事の情報をまとめてメールでお伝えする機能です。このメールは1週間で1度だけしか送られません。その週に誰も更新していなければ、メールは送られません。
この機能が、「小瓶に詰めた手紙」感があるところもいいなと思っています。
手紙を送りたくなったら「感想レター」を使ってください。お返事、というわけではないけれど、自然と何かがわいてきて、それがまたきっと手紙のようになっていくのだろうと思います。
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年が明けてもなお思い出す、昨年の出来事があります。
12月22日、ピーターさんが到着する前に一人で観光地的なところを満喫しようと、ウブドのモンキーパークを訪れたときのこと。
寺院のあるエリアの広場がにわかに騒がしくなりました。
一人の男性の周りにサルが集まってきていて、何匹かの猿が彼の足や身体にうしがみつき、噛みつこうとさえしています。
緑豊かな公園の中でサルたちがくつろいでいる中で、そこだけ別世界のようです。
男性はどうにかサルたちから逃れようとしていますが、サルたちは一向に離れる様子がありません。
「Help!」と必死で声を上げるも、誰も近寄ろうとせず、スマホで撮影を始める人さえいます。
ほどなくして、ガードマンがやってきて、サルを追い払いましたが、そんな一連の出来事を見て、わたしは何もできなかった自分の不甲斐なさを感じました。
サルに限らず動物というのは思った以上に獰猛で賢いので、助けようとして自分も危険な目に遭ってしまう可能性もある。
慣れた人に任せた方がいいこともある。
でももし、サルに襲われた人が本当に危険な状況になっていたら。
もしサルではなく、人間に人間が襲われていたら。
自分は動くことができただろうか。自分には何ができただろうか。
自分の身を守ることが一番だと心から思います。
でも、自分だけを守ろうとして、助けを求めている人に手を貸さなかったらきっと、ときには大きな後悔が残るだろうと思うのです。
咄嗟のときに自分が出る。
それがどんな自分であったとしてもそんな自分を受け入れていくしかないのだろうと思うけれど、咄嗟のときにより善い選択ができる自分でありたい。
でも一体、善いとはどういうことなのだろう。
社会的な善いことと、自分の良心に従うことは一致するのだろうか。
モンキーパークでの出来事を思い出して、そんなことを考えています。