2026年9月26日(土)に開催された静岡文学マルシェ1日目に出店しました。また、27日・2日目には一般来場者として参加しました。その後浜松を観光しています。1泊2日の静岡旅行でした。
いつもイベント参加や旅行の記録をつけるので、今回も旅程をなぞりながら思ったことや感じたことを書いています。
岐阜を出発したのは当日の朝7時過ぎ。在来線で名古屋駅まで行き、新幹線に乗り換えて静岡へ。土曜の朝の名古屋駅は混んでいました。それでもシルバーウィークのほうが混んでいたのかも? 人混みに慣れていないのでどの程度の混雑だったのか分かりませんが、車内アナウンスによれば指定席は満席とのことでした。
久しぶりに新幹線に乗ることになったので、乗り換え改札でモバイルSuicaと紙のきっぷをどういう手順で通したらいいのか調べたり、新幹線のホームできっぷを睨みながら何号車の乗り場で待てばいいのかを確認したり、不慣れな旅行者丸出しでウロウロしました。
ひかりは数分遅れて名古屋に到着。指定席を予約していたので席を見つけ、静かな走行音と流れていく景色、曇り空、街並みを眺めながら一路静岡へ。

9時半すぎ、無事静岡に着きました。ギリギリ雨は降っていません。大都市とまでは言わないけれど、岐阜より栄えた街という感じ。新幹線が止まる駅前らしくホテルが目立ちます。道路が広く、観光バスが行き来し、居酒屋やバーがたくさんある。静岡県を東海地方と呼ぶかは人によって意見が分かれるかと思いますが、新幹線で小一時間くらいの距離感だったらわたしは自分のローカル、東海地方と呼んでしまいます。静岡は広いですから、掛川あたりから以西は東海地方の風土に近いんじゃないかと思います。
まっすぐ静岡文学マルシェの会場に向かいたいところですが、まず腹ごしらえを。このタイミングを逃すと行きそびれてしまう静岡おでんのお店に向かいます。

静岡おでんの杉乃屋さん。以前の静岡文学マルシェのレポートを書いた方が紹介していて知りました。おでんと黄金まんじゅうというおやつが看板商品のようです。静岡駅の南口から数分歩いたところにひっそりと存在しています。高齢の、おそらくご夫婦で切り盛りされていて、テイクアウトもイートインもできます。わたしが行った時はほかにお客さんは居らず、おでんを独り占めできてしまいました。

黒いスープに串に刺さった具材が浸かっていて、みそだれを一度付けし、青のりやからしと一緒に食べます。とても美味しい。思っていたほど濃くはありません。こうした静岡おでんは当地では駄菓子屋にもあるそうです。わたしはじゃがいもやこんにゃくなどを食べました。駄菓子屋にあるのも納得するほど安いです。昼ごはんか晩ごはんにするつもりで、味ごはんのおにぎりと黄金まんじゅうもテイクアウトしました。黄金まんじゅうとはいったい…?
お店の方にはいろいろ親切にして頂き、「どこかから旅行ですか」「岐阜から来ました」「昨日も岐阜の方がみえた(いらっしゃった)よ」という会話を交わしました。やはり評判を聞きつけてみんな食べに来るようです。
杉乃屋さんを出るとちょうど10時ごろ。静岡文学マルシェは11時から開始なので、そろそろ会場に向かいます。駅の反対側、北口から20分ほど歩いて(初めて来るところなのですこし右往左往しました)、MIRAIEリアンコミュニティホール七間町に到着。

なんとか雨に降られず辿り着くことができました。でも今にも降ってきそうです。
ところで…

七間町の読み方、「しちけんちょう」なのですね。恥ずかしながらこの時知りました。
パンフレットとリストバンドをもらい、自分のブースを発見して、隣の方に挨拶し、設営に取り掛かります。時間的には余裕がありましたが、設営中は緊張していたのかすこし汗をかきました。
運営の方からご挨拶や注意事項などのアナウンスがあり(初めて出店する方、2度目の方、それ以上の方、とそれぞれ挙手したのですが、皆勤賞の出店者さんがいらっしゃり拍手が沸き起こる)、今回が初の2日間開催ということで、運営の方々もドキドキしていらっしゃる様子でした。和やかなムードで11時に開場。
雨模様ですのですこし心配ですが…と運営の方もおっしゃっていた通り、人でごった返すというようなことは終始ありませんでした。昼ごろがいちばん混んだかな? でも、ゆったりと各ブースを巡回できる程度の混み具合でした。
自分は新刊『OFF.』と既刊ごく少数を携えての参加でしたが、静岡文学マルシェ自体初出店なのですべて新刊といってもよいでしょう。それなのにSNSでは『OFF.』以外の作品の告知を忘れてしまいました。反省。
すこし前にSNSで、SNS上の宣伝にそこまで効果はないのかもしれない、というようなことを投稿しましたが、今回はなんとブルースカイを見て来ました、という方がいらっしゃって嬉しい驚きでした。やっぱり告知をサボらずやってよかったみたいです。
いろいろな方に手に取ってもらえてありがたかったのですが、中でも、「好きな作家はいますか、どんな作品に影響を受けていますか」など尋ねてくださり、『OFF.』を手に取ってくださって、すこししてから「さっそく読みました」と感想を伝えに来てくださった方がいたのが嬉しかったです(慣れない事態に上手く受け答えができず申し訳なくもありました)。中盤のファンタジーの作中作が展開されるところや後半の登場人物が増えたところではよく分からなくなったとおっしゃっていましたが、主人公のひとりであるウナを「良い奴だな」と感じてくださったとのこと。夜間や雨の日の静かな雰囲気を気に入ってくださったとのことで、批評も込みでありがたいお言葉でした。その方がこのブログを読んでいらっしゃるかは分かりませんが、「よく分からなかった」という感想も大事に受け取っています。どのような感想もありがたいのですが、「よく分からなかった」という感想こそがいちばん他者性を感じられて好きです。なんなら「よく分からなさ」を感じてもらうために書いている節もあります。ありがとうございました。
途中、ポストカードギャザリング(出店者が制作したポストカードを誰でも自由にチョイスできる企画)を物色したり、会場内のコーヒースタンドでコーヒー牛乳とスコーンを調達したり、気になるブースに突撃したりと、楽しく過ごしました。基本的にはまったりと時間が流れていく感覚でした。
クィア文学を書かれているオカワダアキナさんがスタッフとして参加されていて、なおかつ自分のブースに立ち寄ってくださったのに驚きつつ、思わず「ファンです」と口走ったり、鳥写や小説執筆をされたり自然史にも造詣の深い孤伏澤つたゐさんがお声かけくださったり(今朝まで仙台にいらっしゃったとのこと!)という思いがけない一幕もありました。
17時の閉会まできっちり店番をして、静岡文学マルシェ1日目が終了。わたしの目線では、皆さん穏やかに楽しげに交流をされていて、小学生とおぼしきひとも運営の一員としてイベントを支えてくださっており、心温まる良い会でした。
会場から歩いてなんと1分の好立地にあるホテルにチェックイン。荷物を置いて、どこかチェーン店ではない地元のお店に立ち寄りたいなと思い、ホテルのすぐ向かいにある上海スタイルの喫茶店へ。

「レトロ」とか「古き良き時代」というのは歴史の上澄みである(その裏にある歴史こそ知らねばならない)とわたしは思っているのですが、完璧な空間づくりがなされた喫茶店には、抗いがたくつい足を運んでしまいます。
ここオールド上海カフェ1930さんは以前はごはんものも提供していたようですが、今はドリンクメニューとデザート、点心を取り扱っているようです。ひとりでささやかな打ち上げをするべく、入り口の扉を開けました。

客はわたしひとりで、しばらくしてからもう一組お客さんが来ただけで、穏やかな空間でした。店内の写真を撮らせていただく許可を得たので、何枚か撮りました。特徴的な青いガラス窓に雨粒がきらめいています。雨に滲む静岡の街並み。

ソファ、絵画、本棚、ランプなどさまざまな調度品。

絵画、植物、レコード、ティーセット、人形など。

店内のインテリアを楽しんで、行き交うひとの姿をガラス越しに眺めました。ゆったりとした時間。

そして乾杯。点心の水餃子のたれが辛くて、甘いグアバジュースが中和してくれました。窓の向こう、お向かいに泊まっているホテルが見えます。帰り際、マスターから聞いた話によればこのお店はこの場所で12年続けていらっしゃるそう。また静岡に来たら立ち寄りたいお店が増えました。しみじみ思うのは、こういう個人経営の喫茶店がいちばん良いなということと、MIRAIEリアンコミュニティホール七間町の近辺、なんでも揃っていてすごいな、ということです。文芸イベントの会場もあるし、映画館もあるし、古書店もあるし、喫茶店もあるし、でかい百均もあるし、青果店もある。この近辺に住みたすぎる。
ホテルに戻ってからシャワーを浴び、杉乃屋さんのおにぎりと黄金まんじゅう(あずき)を食しました。ホテルからおだしをプレゼントしてもらったのでお湯を沸かして飲みながら。冷めても美味しいおにぎり。黄金まんじゅうはもちもち感の強い大判焼きと言ったらいいのでしょうか。美味しかったです。
この旅行記録を書きながら寝落ち。
翌朝、朝食の前に散策がてら駅まで帰りの新幹線のきっぷを買いにいきました。立ち寄りたいなーと思っていたパン屋さんを発見、開店前なので場所だけ把握しておきます。静岡文学マルシェやわたしが泊まったホテルは、静岡駅前の大通りというわけではなく、アスティ方面にやや西に行った通りにあります。最初は迷いましたが、行ったり来たりしているうちに分かるようになってきました。きっぷ売り場の窓口はさすが日曜というべきかすでに何組か並んでいました。時間のあるうちに来てよかったです。浜松から岐阜羽島までのきっぷを入手。行きとは違うルートで帰ります。
ホテルに戻ってから朝食を頂きました。

山葵とろろ乗せの茶そばがおいしくて思わずおかわりしてしまいました。韓国のひとたちが近くの席にいらっしゃったのですが、簡単な単語くらいは聞き取ることができてうれしかったです。ちなみにこの日韓国語の語学アプリの継続700日目を迎えました。
ホテルで休憩したり浜松のお土産を調べたりして過ごし、11時前にチェックアウトして、ホテルのほど近くにある古書店をぶらつき、静岡文学マルシェ2日目の会場へ。

良い書店だった…石田徹也の本とかあった…そうか、静岡出身だからか。こんな書店が近所にあったらいいなあ。
お会いしたかった作家さんのブースへ突撃したり、各ブースをぶらりと見てまわったりして、会場を離脱。時間の都合で、さっき下見をしたパン屋さんは今回行くのをあきらめました。またの機会に!
在来線で静岡から浜松まで移動します。1時間15分ほどの乗車でしたが、ぼーっとしていたらあっという間でした。浜松が終点だったので、降りそびれる心配がなくて気楽でした。
浜松駅に着いたら、まず忘れないうちにお土産屋さんをチェック。冷凍浜松餃子を狙っていたので迷うことなく入手。自分で食べるためというより身内に渡す用です。これで帰り際に慌てて買わなくてすみます。荷物とお土産をまとめてコインロッカーに預けて、駅の外へ。
楽器と餃子の街、浜松。街中を見渡しても、楽器製造メーカーのビルなどが目立ちます。駅前では路上ライブ、大道芸人さんのパフォーマンス、音楽フェス的なイベントなどが行われていて大変にぎやかでした。駅から500メートルくらい歩くと…

念願の浜松市楽器博物館に到着しました。見学に来ている高校生の皆さんなどもいて館内は適度ににぎやか。

特別展「ジャワとバリ」を楽しみにしてきました。もちろん他のコーナーもじっくり見るつもりです。

最初にインドネシアの基本情報や年表、風土の紹介などがあって展示へ。どの国も大変な歴史を抱えています。まず目に飛び込んできたのは銅鼓やガムランなど。

バリ島西部で誕生した竹製の鍵盤打楽器、ジェゴグが印象的でした。1910年ごろに誕生したと言われていますが、オランダ植民地政府が竹を武器として使われることを恐れ没収、文化が途絶えてしまったそうです。戦争と植民地主義が全部悪い。こういう話を聞くたび、音楽が政治と無関係なわけがないと思います。
アジア、オセアニア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパ、鍵盤楽器、国産洋楽器、電子楽器の順に見学しました。数百点におよぶ楽器、楽器、楽器の空間にただ圧倒されて脳のキャパシティが追いつきませんでした。
印象的だった展示をいくつか紹介します。こちらはピアノの内部アクションを地域別に解説したもので、実際に打鍵できます。



ピアノの内部の仕組みにこんなに種類があるとは知りませんでした。現代のピアノは規格が統一されているのだと思いますが、地域差があるのが面白いです。この中では、フランス系のピアノアクションがいちばん素早い反復打弦ができるようです。
次はこちら。

アフリカ各地に分布するトーキングフルート。「しゃべる笛」というその名の通り、言語の代わりとして用い、信号や合図以上の「会話」をすることが可能なのだそうです。
そしてわたしの好物。

電子アコーディオン、スピーロンの広告と実物です。カ、カワイイ〜〜!!
昭和50年ごろのものとのこと。右手キーボードでメロディ、左手ボタンでベースを演奏します。音の強弱は本体の傾き具合によって制御するそうです。
ギャラリートークも聴くことができてよかったです。楽器博物館の学芸員さんは、喋ることはもちろん楽器の演奏もしなくてはならなくて大変そうだなと思いました。体験コーナーもありましたがお子さんたちを優先してわたしは見るだけに。見応えがありすぎて結局2時間以上滞在していました。

オタマトーンもいましたよ。初音ミクのコスプレをしている。
名残惜しさを感じつつぼちぼち退散します。
15時すぎ、浜松駅方面に引き返し、今日開催しているはずの詩中心の文芸イベント詩丼改に行きたかった…のですが、会場を見つけることができないまま閉会時間になってしまいました。残念でしたが、ちょうど雨も降ってきたので屋内に避難。
中途半端に時間が余ったので、レストラン街を覗いてみると、お昼時には長蛇の列でとても入れなかった石松餃子に入店できそうな気配。予定変更で立ち寄ることにしました。

朝ごはんを食べすぎて定食は食べられる気がしなかったので餃子の単品を注文しました。ニンニクの風味はなく、あっさりとして食べやすいです。これなら帰りの新幹線でもにおいの心配がありません。けど、長蛇の列に並んでまで食べたいかというと、普通の味のような。単にわたしがフーディーでないからかもしれません。でも美味しかったです。
そろそろ帰りの新幹線の時間なのでコインロッカーから荷物を取り出して改札内へ。新幹線待合室でも楽器が展示されていました。

待合室でもこういう展示があるところに浜松市の本気度を感じますね。おかげで最後まで旅行を楽しめました。
駅まで身内に迎えに来てもらい、18時半ごろ、帰宅。無事にイベントと旅行が終わりました。心配していた雨も思ったほどひどくなく、なんなら止んでいた時間のほうが長かったくらいで何よりでした。
わたしは、旅行中は思索にふける余裕がなくて、ただ目の前のものを感受し、その時を一生懸命生きるだけになってしまいます。でもそれこそが真の人生と言えるのかもしれません。静岡文学マルシェで、本という繋がりがなければ言葉を交わすことはなかったであろう人びとと会話することができて、「いま生きてるって感じするなー」と思っていました。もちろん、同人誌即売会ではトラブルや嫌な出来事も起こり得ますが、今回の自分の体験は幸いそうした問題はなく、総合的によいものでした。次回も静岡文学マルシェがあれば参加してみたい、とアンケートに記入しました。まだわたしのなかには同人誌即売会・文芸イベントに対する光が宿っていて、参加することで元気になれるもののように感じます。
何はともあれ、無事に2026年内のイベント参加は終了しました。熊本の地震や9月の大雨の被害を受けた地域を思うと、願わくば来年は何事もなく無事に日々が過ぎてほしい、そしてまたいろんなところに旅に出たりしたいな、と思います。
また機会があれば静岡を再訪したいです。ここまでイベント・旅行記録を読んでいただきありがとうございました。来年もまたどこかでお会いしましょう。