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先日、日本画家の神戸智行さんの展覧会に行きました。和紙を貼り、着色してまた和紙を重ねる神戸さん独自の技法で奥行きを表現されているそうで、寄ったり離れたりしながら興味深く鑑賞しました。蛙、蜂、蟻、蝿、蟋蟀、蝶、蛾、鳥、亀など、日本にいる小さな生き物への眼差しがどの作品にも共通していました。場内の作品は写真撮影と個人利用可でした。
鼻血が出たり頭が痛くなったり、あまりの暑さで体調を崩すことが多く、もっぱらまずは生存のため暮らすことに一生懸命になってしまい、やりたいことがなかなかできていません。とはいえ、鈍い歩みで原稿は進めています。
じつは残暑見舞いを書く準備もしておりますので、送られてきてもよいよという方がいらしたらTwitterかCircleEvents(Misskey)かBlueskyにてお声掛けください。このブログのメッセージ送信欄をご活用いただいてもOKです。送りたいだけのものなので、手紙の交換を強要するものではありません。
合成音声に関わる仕事の一環として夏目漱石の『吾輩は猫である』を通読しました。時代的に女性蔑視の描写が散見されるためそこだけはキツかったですが、長編小説を読み切ったのは久しぶりでした。登場人物のモデルの一人と言われる寺田寅彦の逸話なんかもググって知り面白く思いました。『吾輩〜』は別段猫への愛情に満ちているわけではなく、人間の愚かさごと愛す人間讃歌なのだと思いました。文章が巧すぎるのでつい先へ先へ読んでしまったような感覚。
ところで、夏目漱石をはじめ三十五人もの脳みそがホルマリン漬けにされ東大医学部に保存されているというのはすこぶる気持ち悪いなあと思いました。民族の優秀性を誇示するという意図も含めるとなおキモい。その人がかつて意識の有した臓器を死しても強制的にこの世に残存させる倫理的にギリギリな所業というか。脳の保存、わたしにとってかなり不快センサーのはたらく物事のようです。SFの読み過ぎかもしれません。
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商店街を歩いているとふとした光景がかけがえのないものに見えて涙腺が刺激されることがあります。最近は商店街の古着屋さんのお姉さんとすこし仲良くなりました。行きつけのパン屋さんやおにぎり屋さんやスパイスカレー屋さんもできました。廃ビルを再利用してクリエイターたちが入居するという面白いコンセプトの複合ショップ集合住宅(?)もあります。こうなるとどんなに寂れていても愛着が沸くものだなと感じました。でも離れる時にはあっけなく離れていくんだろうという気もする。そうやって人が離れ続けたのがこの街の今の姿だと。
お盆は連続ではないけど合計して三日くらい休日があります。夏目漱石に思ったより読書時間を割きました。休日は現代の本に戻って読めるだけ読むつもりです。高田大介『まほり』をはじめ読みかけの本を読み切りたいし、川野芽生第二歌集『星の嵌め殺し』もとても気になる。あとは早く八月が終わってくれたら何も望むことはありません。自分はもう学生ではないんだなと感じつつ、この先学校に通う可能性もゼロではないと思いつつ、まあでもとりあえず今は、八月が終わってほしくない人びととは対極にいます。
BGM/THE BACK HORN「修羅場」「ジャンクワーカー」あまりの尖りっぷりに、二十五年も活動を続けていてまだこんな曲が作れるのかと驚き。あまり繰り返し聴くような曲ではないかなあと思いながらしっかりリピートしてる。