昨日見た岡田さんの動画で、もう1点気になったことがある。
それは「キャラを主体にしてお話を語るのがエンタメ、物語を主体にして語るのが文芸」という定義づけ。
その定義に則るなら、以前の私は完全にエンタメ系の書き手だった。
実際自分でもキャラクターを中心にものを考えていたし、まずキャラクターができてそこからお話が作られるのが当たり前だった。だから二次創作も自分の推しキャラを中心に書いていた。
けれどもある時から、キャラクターを考えることをしなくなって、廃墟とか時代とか…人より場所というか、雰囲気というか、そういうものを主にして話を書きたくなった。
ただ、これまでそんな書き方をしたことがなかったので、自分でも形にできなくて、けっこうモヤモヤしていた部分はある。たぶん、メサイヤのシリーズを書き始めたあたりで、すでにそういう形になっていて、廃墟のお題のころはもう完全にお話は廃墟それぞれのためにあるようになっていた。…まあ、教会かなんかの話は、人が主体だったかなあとは思うけど、昔のようにわかりやすいキャラ付けはしてなくて、たしかに昔の文学作品に出て来るような感じだった。名前もつけなかったし。
まあようするに、いつの間にか私は、エンタメが書けなくなって、文芸系の書き手に移行していたということだ。
だから、本好きやニーアシリーズがどれだけ好きでも、二次は書けない。
もはや、キャラをキャラとして書けないからだ。ゲームやアニメを見て、壊れて行く9Sを見て、うわ~っと思いはしても、そしてそれを感想として書くことはできても、キャラの物語として書くことはできない。
あの世界をモチーフに、何か書くならできるかもしれないけど…それはしなくても、映像で見れればいいやん的な部分はあるかも。
なんにしろ、どうもそういうことらしい。
なのに今、私は追放聖女の話を書いている。もっとも、考えてみれば、聖女をはじめとする登場人物たちってあんまりキャラクター性はないかも。ステレオタイプ的に役割をふってあるだけ…と改めて見ると思う。
たぶん、書きたかったのは、「自分の感情だけで後先考えずに聖女を追放する王(王子)はアホや」ってことだった気はする。あと、王に追放されても、別に聖女は不幸じゃないよみたいなことも書きたかったのかも。まあこれは、私が読んだ追放聖女ものでは、デフォルトなので、別に目新しくはないけど。とはいえこれは、古い価値観を一蹴する物語ではあるのかもね。昔の価値観だと、「女は地位や金銭のある男と結婚するのが幸せ」みたいなのがあったし、レディース系のマンガは特にそれがひどかった気がする。なので、地位ある婚約者から婚約破棄を言い渡されて、国からも追い出されるっていうのは、めっちゃ不幸で、古い言い方をすると「負け組」ってことだったんだと思う。けど今の価値観では、「女の幸福は結婚だけではないよ」「いや、たとえ結婚だけだとしても、愛し愛される相手と一緒になるんじゃなきゃ意味ないよ」という感じなのかなと。だから、追放聖女たちはみんな王から離れて幸せになる。むしろ、離れた方が幸せっていう(爆)。
私の聖女はこの先、途中の街や村に立ち寄りながら、東の自分が生まれた国を目指す(たぶん)。実はその国はその国で問題があって、だから彼女の母は聖女を連れて西に向かったわけなんだけど。ただ、作中でも書かれているとおり、東では戦争が起こったりなんやかんやして、聖女が国を出たころとは情勢が変わっている…はず(たぶん)。
昔と全然書き方が変わってしまった私は、実はオチも途中の経過もまったく決めず、っていうかプロットすら立てずに追放聖女を書いている。なのでまあ、実際にはどんな展開になってどんなふうに終わるのかも、わからない(爆)。
pixivでは「追放聖女」ってワードのおかげなのか、なんかたくさん読まれてブクマされていて、流行りのワードってやっぱスゲーとか思った。
それはそれとして。キャラ絵が全然見てもらえない理由もわかったっていうか、ようは上記した文芸の書き手になっちゃったからだなあ…と思ったりした。「キャラ」っていうのは外見だけの話じゃなく、内側も大事なんだけど、私にとってキャラ絵はただ「人型の器」みたいな感じでしかないので(たぶん)、「キャラ」を求めている人には響かないってことなのかなと。
あと、素材はわりと好き勝手に描いてるけど、キャラは「こういうのがいいんだろうか」と見る人におもねってるというか…自分が描きたいとかなくて描いている部分が大きいので、それもたぶんあるのかなと思う。
素材は、「こういうのが好き」とか「これがいいんだよね」とか「自分だったらこれ使う」みたいな気持ちがあって、それに対して「私も」と思うというか、なんかピンと来る人たちがDLしてくれてるのかな、という感じ。
まあ実質、素材を作る方が楽しいんだけど。たださ、オタク文化の中にいると、やっぱキャラ絵を描けてナンボなんだよね。ってか、キャラ絵描けないと、SKIMAとかで全然依頼来ないし。リクエストに応募してもボツばっか。よく動画とかで「駆け出しの人でもSKIMAで1000円くらいで依頼受ければ、仕事来ます」って言ってる人いるけど、あれは「キャラ絵が描ければ」って話なんだよね。上手下手よりか、キャラ絵描くのが好きか否かの方が問題なんじゃないかなって思う。まあね、オタクでキャラ絵描きたくない人なんて、フツーいないもんね。ってか、私だって昔だったらそう思うよ。
学生のころとか、メーテルとか鉄朗とかエメラルダスとか、ガンガン描いてたし、そもそも私がイラスト描き始めたのって、美内すずえのマンガが好きだったからだもの。学生時代は、上記した松本キャラ以外にも、超人ロックとか自分のオリキャラとか一杯描いてた。小説中心になってからも、自作の小説の挿絵とか表紙とか描いてたし、そもそもキャラ設定する時はまず絵を描いて、髪色とか目の色とか決めて、そこから細かいとこを作る人だったんだものなあ。
とはいえ、キャラ絵だって全然描きたくないわけではないんだよね。なので、まあボチボチと、「自分の好きな」形に落とし込めるように、がんばるしかないのかなあと思う。