今日は1日寝ていた。本当に何も特別なことが無い、ただ寝ているだけの日だった。日記に書くことがなくて困ったので、夢の中に出てきた国の名前を調べることにした。
「アルバニア」。目覚めた私は夢の中の出来事はほとんど忘れていたが、とにかくアルバニアという地中海沿岸の国に留学していた。あると言われればありそうな名前だが、しかし、何分夢のことなので、本当にそんな国が存在するかも怪しい。
調べで見たら実在した。地中海ではなく、アドリア海沿岸の国家であり、マケドニアやギリシャに隣接している。気になったので、インターネットを使ってアルバニアについて調べてみた。


古代ギリシャ、ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国と支配していた国家が変わっていった土地のため、様々な宗教の教会や建造物が建っているらしい。そのような背景を持ちながら、独裁者エンヴィル・ホッジャが政権を得た時代は鎖国政策を取り、しかも無神国家であったということには驚いた。遠い紀元前から様々な宗教を経験してきたアルバニアの人々は、突然政府から言い渡された無神国家になるという宣言をどのように受け止めたのだろう。いやいやそんな……となったのか、それとも逆に、案外そういうのもあるのか……になったのだろうか。独裁者による発令だったのだから、どちらかと言えば「いやいやそんな……」派が多かったのではないか、と夢想する。
夢想と言えば、アルバニアの文学者を調べたところ、イスマイル・カダル氏が「夢宮殿」という小説を残している。嬉しいことに邦訳が出版されているようなので調べてみたところ、Kindle版は無かったが、新居近くの図書館に蔵書があるらしい。あらすじを眺めたところ、どうやら私の好きな幻想小説のようなテイストを持つ小説らしい。引っ越しが終わったら図書館カードを作って借りて読んでみようと思う。
今日はあまりにも日記に書くことがなく、苦し紛れに始めた調べものであったが、思わぬ収穫があった。それにしても、調べものをする時はやはり紙にペンで書いていくのが1番やりやすいように感じる。学生時代、綺麗なノートを取る事に腐心していたあの時間は無駄ではなかったのだなあ、と感じるとともに、電子機器がいかに普及しようとも、やはり私は紙とペンを卒業できそうにないな、と思ったのだった。
紙にペンで物を書く時にしか味わえないあの不思議な気持ちよさはなんなのだろう?懐古なのか、あるいは本能的なものなのか。行きつけのカフェでお気に入りの文房具を使い私好みのノートに板書やプリントの内容をまとめていた時の、あのどこか清々しいような、心が洗われるような時間は、私の青春のかけがえのない思い出の一つである。