ソファでの寝落ちから目覚めた深夜3時。
芦原妃名子先生について、小学館の第一コミック局編集者の皆さんが書いたメッセージを読んだ。
強い文章だった。
これを絶対に世に出すんだ、出さないといけないんだ、という並々ならぬ意志と覚悟が理路整然とした文章から伝わってきた。
と同時に、深い悲しみややるせなさを必死でおさえていることも。
もう10年ほど前になるが、私自身、編集者・記者として新聞社で働いていたことがある。
週刊紙だったこともあり、常に締切に追われる日々で身体は悲鳴を上げ続けていたが、仕事が辛くて辞めたいと感じたことは不思議となかった。
それはなぜだったんだろう…と今でもふと考えることがある。
明確な答えはいまだに出ていないが、おそらく「読者にとって少しでも有意義なものを生み出そう」という思いを、どの編集者も共通して持っていたからではないかと。
編集部が一丸となって自分たちの使命を果たそうとしていた、そのために自分も微力ながら貢献できている、ということに生きがいを感じていたように思う。
大げさに聞こえるかもしれないが。
今回の編集者からのメッセージは、小学館が会社として経緯などを社外に発信する予定はないことを受けて、「第一コミック局 編集者一同」として出したものだ。
小学館で連載中の漫画家・安タケコ氏が書かれていたように、「自分たちの声をあげること、真実を明らかにすることは本当に想像を絶する苦労があった」はずだし、「きっと偉い人とたくさんケンカした」と思う。
それでも、なんとしてでも、このメッセージを世に出したかった。
その気概が、「深夜まで何度も練り直し、芦原先生と作品を大切に想い、芦原先生を想う作家や読者の皆さまを気遣い、誰かがやり玉になってはならない、と丁寧に考えられた文章」(安タケコ氏)につながったのだと感じた。
そして、そのような志や覚悟を、一人の編集者だけではなく、同じチームの編集者全員が抱いているという点に強い感銘を受けた。
作品を待ってくれている読者のことを大切に思っているからこそ、作者を守ろう、そのためには絶対に声を上げないといけない、という結論に至り、今回の行動につながったのだと思う。
このメッセージに対して世間は賛否両論だが、心からの声を編集部は届けてくれた、と私は感じた。
だからこそ、最後の一文が沁みた。
学生時代に読んで感動した「砂時計」を読み返したくなった。