夜寝る前の時間を、あなたはどのように過ごしているだろうか。
煌々と明るい部屋の中でギリギリまでスマホやパソコンとにらめっこをして、遅い時間に気付いて慌てて布団に入る、そんな生活を送っているのであれば、ぜひ私の話を聞いてほしい。
結論から言うと、寝る前にリラックスする時間を設けるだけで、睡眠の質が上がる。
そんなの耳タコなくらい聞いた? そうかもしれない。でも、私は改めて言いたい。
寝る前のリラックスタイムは、睡眠の質どころか、人生の質を高めてくれる。
この事実を独り占めするのはもったいない。ぜひあなたにも実践してほしいのだ。
寝る前のリラックスタイムとはなにか?
この記事では、
寝る前の30分~の時間を
部屋の照明を薄暗くして
スマホやパソコンから離れて
寝るための心の準備をする
時間とする。
難しそう? その気持ちもわかるが、ひとまず話を聞いてほしい。
以前の生活
夜ふかしの習慣
かくいう私も、ほんの一ヶ月前くらいまで、夜をもったいなく感じて夜ふかしをする生活をしていた。
日付が変わるまで頭を働かせて趣味の小説を書いていたし、寝る寸前までSNSに入り浸って、いよいよ寝るときに「おやすみ!」と投稿するのがこれまた楽しいのだ。友人知人と通話をして1時2時まで起きていた日もあった。
それで楽しいから特に疑問も抱かなかったし、夜にのんびりする人は暇な人なんだな、くらいのことを思っていたかもしれない。
気付き
しかし、ある日私はふと気付いた。
気分が落ち込むのはたいてい、夜遅くにSNSを眺めていたり、あるいは無意味にネットサーフィンをして余計なネット記事を見ていたりするときだ。
さらに、当然のことだが、夜ふかしをすると睡眠時間が足りなくて翌日が丸一日辛い。夜の数時間がもったいないどころの話ではなく、翌日が丸一日もったいないのだ。
リラックスタイムのはじまり
2時間の暗い時間
そこで、私は一念発起して、夕飯と風呂を済ませたあとの寝る前の時間を、まるっと2時間ほど、常夜灯の下で過ごすと決めた。かなり薄暗いのでスマホやパソコンなど眩しくて見ていられない。自然と手が遠のいたし、SNSもこの時間帯には見ないとかたく決意した。
まあ正直2時間はやりすぎなので、30分くらいから始めるのがいいと思う。時間に余裕のある私はたまたま2時間用意できたというだけの話だ。
暇をもてあまして……
ではこのあまりに退屈な時間に何をするのか。
面倒くさくて放置しがちだった食器の山が気になった。洗って拭いて片付けてみた。台所がすっきりして悪くない。
スマホを触りたくて遠ざけがちだったハンドクリームをこってり手に塗って布団に転がってみた。乾燥していた手がしっとりする感覚があって悪くない。
私は身体が硬くて腰痛もある。腰痛対策ストレッチをしてみた。身体が少し軟らかくなって悪くない。
就眠行動
こういう寝る前のルーティンを「就眠行動」というらしい。上の例まで極端でなくても、寝る前には歯を磨く、寝る前には日記を書く、など、あなたもすでになにかの就眠行動をもっていると思う。
自分にしっくりくる就眠行動を見つけられると、毎晩これをしないと寝られない、逆にこれをするとよく眠れる、という状態を作り出すことができる。
つまり「寝る前のリラックスタイム」は、自分に優しい就眠行動を行うための時間なのだ。
寝る前のリラックスタイムのメリット
じゃあ寝る前のリラックスタイムを設けたとして、いったいどんなメリットがあるのか?
①寝入りに対する焦りがない
まず私が感じたのは、「寝入りに対する焦りがない」ということだ。
私は22時頃から照明を落とすのだが、そうして過ごしていると、どんなに引き延ばしても、もう23時には眠い。私の起床時間は8時なので、まあ24時頃に寝られればいい計算だが、そのタイムリミットまでまだ1時間もある。
そうすると、多少寝つきが悪くても「まあ1時間あるし」と気持ちに余裕が生まれる。就寝時刻ギリギリまで起きていると1時間も眠れなかったら大惨事だが、リラックスタイムのおかげでそういう悲劇が回避できるわけだ。
30分のリラックスタイムを設定した場合も、直前まで活動していて寝るための心づもりをする時間が全然ないよりも、かなり気持ちと時間に余裕ができる。
心に余裕があれば結果的にすんなり寝付きやすくなるし、これは良い循環である。
②夜の時間の支配感
さらに、夜ふかしをしていた頃よりも、「夜の時間を自分の支配下に置いている」感覚が強くなった。
夜ふかしをしていたときは、寝る時間をじりじり遅らせながら夜にしがみついていた。しかし時間を決めてリラックスタイムを設けると、就寝時間から逆算しているからそこまでにやりたいことが終わる。満足感と自信をもって布団に入れるのだ。
そうやっていい気分で寝た翌朝は、機嫌よく目覚められる。そうすると、朝から元気に一日活動できるのだ。もったいない時間が生まれる余地がない。
③自制心と人生の向上
夜の時間管理がうまくできるようになると、自制心が鍛えられる。自制心が鍛えられて夜中のSNSやネットサーフィンから自分を離しておくことができるようになると、ネガティブな気持ちになる回数が減る。それはもう目に見えて減る。
さらに、睡眠時間をしっかりとっているので、日中にも落ち込むことが減る。下向きの人生が上向いてくるのだ。
リラックスタイムに何をすればいいか
そんなこと言われたって、いきなり寝る前にスマホとパソコンを封じられて、部屋の照明も暗くして、なにをしたらいいのかわからないよ、とお思いになるかもしれない。そこで私の寝る前のリラックスタイム、つまり就眠行動を具体的に紹介してみようと思う。
私の具体例
22時になったら、まず部屋の照明を常夜灯にする。たださすがに暗すぎるので、最近手持ちランプ風の間接照明を導入した。とにかく、白い光ではなくて暖色の薄暗くて穏やかな光になることが必要だ。
パソコンをシャットダウンして、スマホを充電器につなぐ。どうしてもSNSをしたかったら、このタイミングで「おやすみ!」と投稿してしまう。このあともし浮上したらフォロワーにバレてしまう、と思えば抑止力になる。
音楽再生アプリでその日の気分に合わせた音楽を流す。歌詞のある歌を聴くのもいいが、最近はひたすら波の音が流れ続けるプレイリストを愛用している。言葉というものは想像以上に興奮の材料になっているのだ。
部屋の隅でアロマキャンドルを焚き始める。火のゆらぎは見ていて癒されるし、いい香りが部屋を満たすのは気分がいい。
台所に向かい、今日出た食器を洗って片付けていく。こういう単純作業は、脳が休まる感覚がする。
水を触った流れで歯を磨く。私のアパートは洗面台がないので、空のシンクを使って歯を磨くのは気持ちいいものがある。
洗剤で少し荒れた手にハンドクリームを塗る。唇が荒れていたらリップクリームも塗る。最近少し奮発して、いい香りのするハンドクリームを買ったらかなり気分がいい。
保湿手袋をして、ノートにお気に入りのペンで「今日あったよかったこと」を3つ書き留める。最悪の一日だった気がしても、探せばいいことは転がっているものだ。
アロマキャンドルを消し、布団の上でストレッチをする。この習慣がついてから腰痛の程度と頻度が減った。
最後に常夜灯と間接照明を消して部屋を真っ暗にしたら、布団に入る。一日の終わりだ。
ほかの就眠行動の例
私には合わなかったが人によっては就眠行動としてよく挙げられるものとしては、読書がある。私は活字中毒なところがあって、文字を読むと興奮してしまうので採用しなかったが、読むとどうしても眠くなる本がある場合は試してみてもいいかもしれない。
リラックスのために意識すること
「興奮」について
ここまでの文章で何度か「興奮」という言葉を使ったが、「寝る前のリラックスタイム」に意識することは、とにかく「興奮するものを避ける」ということだ。
ここでいう「興奮」というのは感情の話ではなく、脳の話だ。光が目に入ると脳が興奮する。SNSを見ると脳が興奮する。処理しないといけない情報が多いほど脳が興奮する。気持ちが「興奮」とは真逆に落ち込んでいても、脳の反応としては「興奮」だ。
私は脳の専門家ではないので間違った解釈もあるかもしれないが、リラックスする状態に慣れてくると、脳が興奮するかどうかはなんとなく感覚で気付けるようになる気がする。
日々、私たちはあまりに興奮の中にいるのだ。夜寝る前のほんの少しの時間くらい、興奮の渦から脳を解放してあげてもいいだろう。
自分を大切に
もうひとつ指標になるのは、「自分を大切なパートナーとして扱っているか?」ということだ。
これは自己肯定感とは少し違う話だ。「自分」というやつは一生離れられない相手で、それをおろそかにするということは、あなたの損に直結する。あなたが幸せな人生を送るうえで、「自分を大切に扱う」というのは必須スキルなのである。
考えてみてほしい。あなたの大切な人が一日きりきり疲れる時間を過ごした後で、さらに夜ふかしをして自分を追い詰めていたらあなたはなんと言うだろうか。「そろそろ休んだら?」と言うのではないだろうか。どうしてそれが自分には言えないのだろう? 恥ずかしがらずに、せめて寝る前のほんの少しの時間だけでも、自分を大切な人として扱ってあげてほしい。
おわりに
だんだん話が壮大になってきたので、改めて今回の結論を書こうと思う。
「寝る前に30分以上のリラックスタイムを設けると、睡眠の質が上がり、人生が豊かになる。」
どうだろう。少しはやってみようという気になっただろうか? そうだったら嬉しい。
一緒に寝る前の時間を豊かにして、楽しい人生を送ろう!
参考文献
最後に、寝る前のリラックスタイムの参考にした本を紹介しようと思う。
読んでみると、理解が深まるかもしれない。