本当の私はどれ?

あゆみ
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 昨晩は早々に布団に入ったが、なかなか寝付けず、友人Jに寝落ち通話をお願いした。「はたから見たら『くっつけー!』って感じだね」と言ったら、「そういうふたりがくっつかないのがいいんだよ」と返ってきた。なかなか面白い男だ。

 さておき、寝る前にぽつぽつと話をしていたのだが、その中で私の就労移行支援の話題になった。そういえば日中には、別の人と仕事の向き不向きの話をしたなあ、と思った。

外から見た私

Hさんの場合

 昨日は午前中に集まりがあり、今週からそこに参加しているHさんと偶然帰りのバスが一緒になった。

 お互い就職についていろいろ考えることを話す中で、私が昔、家庭教師のアルバイトをしていた話になった。

「そういう教える仕事はしないんですか? 話を聞いた感じ得意そうなのに」「なかなかねぇ……教員免許は持ってないし、塾講師は夜遅いし、昼の教える仕事ってなると不登校の子だったりするから心のケアもしないといけないし」「そっかぁ……」

 話していてやっぱり教える仕事はやりたい気持ちがあるな、と思ったし、今ここに書いていて、教員免許を取って非常勤講師になれば、昼の仕事で教えるだけの仕事ができるなぁ、などと考えたりした。

友人Jの場合

 ……という話があったんだよね、と友人Jに話したら、「僕もあゆみちゃんは教えるの向いてると思うよ」と言われた。

「ていうかその、就労移行支援? 行かなくても、働くのって全然簡単だし、僕の印象ではあゆみちゃんはすぐに問題なく働けると思うんだけどなぁ」「ははは……」

 苦笑いである。私も正直、スキルや技術の面では、働くのに支障があるとは考えていない。ただ、朝がとにかく起きられないのと、職選びに自信がないので、プロに勧められた職に就きたいのだ。

 ……正確には、「プロにこの仕事を勧められたから」と言わないと、母が納得してくれないと考えている。

母の場合

 母は私のことを心配している。簡単な仕事で、疲れたり傷ついたりせず、お金を稼げればいいと考えている。

 ……こうやって書こうとすると、母が何を考えているのか、まるで知らない自分に気付く。

 あとは、「変な職場」には行かないでほしい、とも言われたっけ。「変な」の定義を詳細に教えろ、と胸ぐらをつかんでガタガタ揺すりたい気持ちはあるが、現実の私にそんな勇気はない。

 ただ、私が「この仕事をやってみたいなぁ」と考える仕事について、「それは難しいし向いてないからやめなよ」と言ってくるイメージが強い。

内から見た私

私の場合

 ……どの私が、本物なのだろう。きっとどれも本物ではなくて、私の持っている私が本物なのだろうが、それが簡単にわかったら苦労しない。

 ただ、昨日の私はそうやって人と話したことによって、「教える」仕事をやりたい気持ちが少し高まった。

 たしかに、教えるのは好きだ。人に自分の持っている知識や気持ちを伝えるのは、とても楽しい。仕事環境が、いわゆる「ブラック」「やりがい搾取」になりがちなところがネックではあるが、私の価値観ではやりがい搾取がそんなに悪いことにも思えない。……母には理解してもらえないだろうが。

 いや、なんでアラサーにもなって、親の顔色をうかがって就活をせねばならんのだ、という話である。一度母と盛大な言い争いを繰り広げる必要があるのかもしれない。……そんな勇気はないが…………。

 悩ましい問題である。まだ解決策は見えそうにない。