もう夜も更けて、今日も気付けばやりたいことをたくさん残したまま、一日が終わろうとしている。自分の部屋に戻る前に、私は何気なく、リビングで母にそうぼやいた。
「まとまった時間をとろうとしないで、スキマ時間に15分でもやってみると、意外と積み重なっていくものだよ」
想定外の圧倒的正論が母から返ってきて、私はうっかり涙ぐんでしまった。逃げるようにそそくさと自室に引っ込んだのだが、泣きそうになったのはバレているのだろうか……。
でも、こんなふうに終わる日曜日も、悪くないと思うのだ。
充実の今日は日曜日
さて、今日のテーマは「好きな休日の過ごしかた」。今日はとてもいい日曜日を過ごせたので、ぜひ共有させてほしい。
ここ数週間、家族で出かける用事がなかった。私はしびれをきらして、金曜日の夜、父にどこかドライブ行こうよ、ともちかけた。すると母が、「ダリ展が見たい」という。なんでも、埼玉県にある角川武蔵野ミュージアムで、期間限定でダリの展示をやっているらしい。
私はダリのことは詳しくないが、芸術にはそこそこ親しみの感情をもっている。私も父も行き先はどこでもよかったので、日曜日にダリ展を見に行くことになった。
ダリ展
そして、満を持して、今日。遠足の前の幼稚園児のようにはしゃいで、少々寝不足の私と母を乗せて、父の運転する車はスムーズに所沢へと向かった。
金曜日の夜に、オンラインでワンデーチケットを買ってあったので、ミュージアムへの入場もスムーズにすすみ、私たちはダリの世界に突入した。
大きな部屋中に広がる音楽と映像と、それからイヤホンでの音声ガイドで、ダリのシュルレアリスムの世界をどっぷり体験。私の印象に残ったのは、最初から動画にしても問題なく描いてあるかのように、生き生きとしたダリの色使いだった。
ダリの年表やモチーフの解説の展示を読み、教養を深めたところで、展示が終了。午前いっぱいを、ダリの世界を浴びることに使った。
本棚劇場
昼食をミュージアム内のレストランで摂った私たちは、2フロアを突き抜ける巨大本棚のある空間、「本棚劇場」へ向かった。
当たり前だが、本が大量にあった。それはもうすごい冊数あった。家族全員で本が好きなので、それぞれ好き勝手歩き回り、何度も誰かしらが行方不明になった。
ちなみに私個人としては、大学時代に使っていた無機化学のテキストを、科学のコーナーで発見した瞬間が、一番盛り上がった。思わず写真を撮ったほどだ。
文化的な生活をしたいときは……
帰りの車の中でも私たちは興奮し通しで、絶対また来よう、と話し合った。家族でのドライブはわりと、山とか川とかに自然を味わいに行くことが多いのだが、こういった文化的な生活をするのも楽しいね、などと頷き合ったりもした。
実のある会話も休日ならでは
そして、帰宅後アドレナリンが切れてくたびれながら、食事と風呂をすませ、冒頭の会話に至ったわけだ。
私はうっかり慰めを求めて、母に愚痴を言ってしまうことが多いのだが、母は愚痴を聞くには向いていない性格をしている。今回もズバッと正論でぶった切られてしまった。その瞬間はショックだったが、この記事を書こうと思考を整理しているうちに、こういうやりとりも悪くないんだな、と思い直した。
悩み事の吐露、そして解決策の提示。こういう実のある会話は、それなりに時間のあるときでないと落ち着いて交わせない。それに、ショックから立ち直ってみると、正論はやっぱり正しくて正解なのだ。
やりたいことこそスキマ時間
私のやりたいこと、というのは主に文筆系の趣味で、最近はこの「1ヶ月書くチャレンジ」しか書けていないのが、不満になっている。スランプから抜け出しかけの、趣味の小説を書きたいのに、時間が取れないというわけだ。
だが、本当に心からやりたいのなら、空いている時間を捻出できないはずはない。スキマ時間はたしかにたくさんある。そのちょっとの時間に、やりたさを爆発させればいいだけの話だ。
それをしない、できないのにはふたつ理由がある。
ひとつは、やはり「まとまった時間で書きたい、書かねば」という思い込みの強さ。しかしこれについて、私は反証を自分の記憶の中から見つけた。
小説を書く趣味を始めたばかりの学生の頃、私は通学の電車内で小説を書いていたのだ! しかも座る余裕もない、そこそこ混んだ電車内で、立ちながらである。
これを思い出した瞬間、勇気づけられる自分を感じた。新しいことを始めるのでなく、初心に返ればいいだけなら、できそうな気がする。
まずは寝ろ!
もうひとつの理由は単純明快、疲れているのだ。だいたい、私が「やりたいのにやりたくない」とか、「理性はやると言っているのに感情がついてこない」とか言い始めたら、疲労のサインである。これは日頃の経験から学習済みだ。
思い返してみれば、最近睡眠時間の短い日が続いている。しかも今日は一日中外出していた。これはもうどう考えても疲れすぎだ。
というわけで、「小説を書きたいのに書く時間がない」について、完全に解決策が揃った。
まずは、今夜早寝すること。そして元気を取り戻したら、スキマ時間を活用する方向に意識をもっていくのだ!
記事の見直しももうちょっとしたいのだが、寝る方が大事。おやすみなさい。