一瞬で終わる用事のために学校に行く。憂鬱でたまらなかった。私は別件で大学へ向かっていたのだが、どうやら今日は卒業前夜祭という催しが開催されるらしい。最寄り駅から学校へ向かっている途中に同級生とばったり遭遇した。次会うときは卒業式だね、そうだね~、なんて言葉をいくつか交わし、前夜祭へと向かう友人の後ろ姿を見送った。卒業式には多分出ないけど、なんとなく言わなかった。
用を済ませ、学校を出る前に喫煙所へ寄る。校内で1番息がしやすい場所だった。生徒と会うことはあまりなく、いるとしたら教員か職員のおじさんばかり。屋上に設置されたそこは、夜になるとライトアップされた都庁が見えた。
学食を食べたあとは、きまって喫煙所へ行きたくなる。だけど、よく一緒にお昼を食べていた友達は、いつだったか家で煙草を吸っているお父さんが嫌でたまらないという話をしていた。それを思うと喫煙所に行ってくるとはなかなか言えず、トイレと嘘をつきダッシュで喫煙所へ向かった。こんな日は鬼のようなスピードですぱすぱ吸うから喫煙所を出たあとは頭がクラクラして階段から転げ落ちそうだった。5吸いくらいで捨てた煙草のことを思うともったいなくて切なかった。何やってんだろうっていつも思ってた。多分匂いでばれてる。
そんな事を思い出しながら2本吸って、学校を出る。帰りのバスにいつもより少し長く乗って、本屋へ寄った。引っ越しでこの辺を離れるので、貯めていたポイントを使い切ろうと思ったのだ。ずっと読みたいと思っていた、笹井宏之さんの「えーえんとくちから」を発見し、レジへ持っていく。620ポイントも溜まっていて驚いた。残りの代金を支払い、本屋を後にする。帰りのバスで1ページだけ読んで、すぐに閉じた。大切に時間をかけて読むことにしよう。4年かけてたまった620ポイント。その中で出会った何冊もの本を思うと、胸がぎゅっとした。