教養と貧困

五月雨薊
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公開:2024/9/7

Xでもちぎさんが言っていたことが忘れられずにいる。かつてもちぎさんがいたゲイ風俗店には、どこかの教授か何か、学生相手に教鞭を取っていた客がいて、若者は本を読んだほうがよいと言って図書カードをくばっていたそうだ。しかしもらった側の子たちはその図書カードを金券ショップに売り、ギャンブルやゲームに課金していた。

貧困とはそういうものだ。もちぎさんは言う。私は金券ショップで換金してしまう子たちの気持ちがわかったけど、切ない話だと思った。貧困は人を狂わせる。この世で生きていくため、道徳心などどこかへ飛んで行ってしまうのだ。

『ケーキの切れない非行少年たち』という本が話題になったことがあった。福祉の支援につながることが出来なかった知的障害のある子どもが事件を起こし、認知能力の低さゆえ、健常者の多くが感じる反省や後悔といった段階までたどり着けない。

貧困がヒトの脳に後天的な悪影響を与えることは研究で明らかになっているのだけど、判断力の低下によって罪悪感が麻痺することはある。もちぎさんの発言のように、金銭的援助だけではどうにもならないことが世のなかには思いのほか多い。

どうすればいいのだろうな。私に何か出来ることはあるのだろうか。そう思いながら、今年もブックサンタに参加する。