TVerで毎週視聴していた『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』が最終回を迎えた。料理研究家の三ツ矢先生と雑誌編集者の石田くんが出会い、心を通わせていくなかで恋が芽生えるというBLドラマだ。二人は親子ほど年が離れていて、それぞれに心の傷を背負いながら、お互いに助けられ、過去と決別して新たな一歩を踏みだす。
BLドラマのいいところは、ほとんどの場合、男同士のハッピーエンドが約束されているところだと思う。私はそんなに作品数を観ていないのだけど、さまざまな試練があっても最終的にはくっつくんでしょ、と安心して観ていられた。たとえれば『水戸黄門』で印籠を取りだすことですべて解決するのと同じようなものだ。
三ツ矢先生には野口という有名写真家の元彼がいて、パリで修業していた頃に付き合い始め、10年前に日本に帰国してからは一軒家を買って二人で暮らしていたのだけど、自由奔放な野口は再び海外へと旅立ってしまい、三ツ矢先生は取り残される形となった。一方、石田くんは高校野球で挫折を味わい、野球からはかけ離れた女性向け雑誌の編集者になり、仕事へのやりがいを感じられないなかで担当編集者として三ツ矢先生と出会ったのだった。
このドラマで特筆すべきなのは、やっぱりおいしそうな料理の数々だろう。来客に気軽に手料理をふるまう三ツ矢先生は、初対面の石田くんにも料理を食べさせてやる。夏には夏野菜の素麺、冬には味噌煮込みうどんなど、しゃれっ気はないけど丁寧で豊かな生活が垣間見える三ツ矢先生の手料理は、まさに「胃袋をつかまれる」といった感じなのだろう。
三ツ矢先生と石田くんの相談相手として登場するシゲさんは、いわゆるステレオタイプのゲイなのだけど、話の進行上、作者にとって都合がいいキャラだったのだろうなあと思った。ゲイであることを公にしている三ツ矢先生の行きつけのバーがそういった店だということは、なんら不思議はないけど、作風の古さみたいなものは感じた。
総合的に見て『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』はいいBLドラマだったと思う。三ツ矢先生と石田くんの間で、あからさまな性愛が表現されることはほとんどなく、誠実な作品作りがされていた。