呪いの言葉

五月雨薊
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公開:2024/9/19

親からの罵倒は呪いの言葉だ。中高生の頃、さんざん父から言われた「お前みたいなやつはどこに行ったって社会で通用しない」という言葉通り、私は社会人経験もろくにないまま高齢ひきこもりになった。精神障害者でも社会で働いている人は大勢いるのに、どうして頑張れないのだろう。毎日家事はやっているけど、周りから見ればきっと評価に値しない努力だ。

「あんたは器量が悪いから結婚はあきらめている」と母から言われたこともある。若い頃から結婚にも出産にも夢を持てなかったから、いわゆる適齢期にはひたすら異性を避けて生きてきたけど、生涯をともに出来るパートナーとは出会いたかった。結婚したり同棲したりしている知人友人は皆幸せそうに思える。

自分の人生が上手くいかないことを親のせいにするな。そう言う人もいるだろう。他人の痛みがわからない、ある意味では幸せな人たちだと思う。毒親サバイバーの人間は親にかけられた呪いをわかってくれるかもしれない。まるで我が子を孤独にさせることが目的のような、数々の呪いは事実となり、年老いてしまえば加害したことも忘れるのだ。

いまでも親のことは嫌いだけど、一応介護はしている。食事を用意し、通院に付き添い、周囲の人々は私を親孝行だと言う。私しかやる家族がいないからしょうがなくやっているだけだ。親の遺体を放置して逮捕された家族がたまにニュースになるけど、我が家だっていつそうなるかわからない。