ゆきてかえりし香港のはなし

bacco
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公開:2025/12/16

こんばんは、ぽっぽアドベント16日目。ばっこです。

さて2025年は、香港映画でブチ上がるところから始まった。と言っても過言ではない。

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(九龍城寨之圍城)だ。映画好きの方なら今年このタイトルをご存知かもしれない。返還前の香港、九龍城砦を舞台に繰り広げられるアクション映画である。めちゃんこなイケオジが出てるから観てくれ。

この作品は日本劇場公開が1月17日、私が観たのが公開初週ギリギリの23日。2回目を2月1日に観て、この2回で既に客入りが段違いに違ってた。すごく増えた。226席の半分ちょっとくらいから、400席越えのスクリーンで満席。スクリーン自体も大きくなっている。公開から約2週までの間に口コミで一気に観客動員数が増えたのだ。ここからはずっと大人気が続いた。近年稀に見る、日本での香港映画のロングランである。観てくれ。

この映画に年明け早々から脳を揺さぶられ、2月3日の23時には2月下旬の香港行き航空券を買っていた。

なぜなら、香港の商業施設で映画のセットが展示されているから。その展示期間が4月中旬までで、私がなんとか香港に行けるのが2月しかなかったから。

そう、航空券を買ったのだ。が。

2月14日、私の旅程にガッチリ被ってキャストと監督が東京に来ることになった事を知る。ねえ、香港人仕事早すぎじゃない?フッ軽オタク並みじゃない?私と同じスピードでやらんでもらっていい???私が香港の空の下にいる時、推しは東京の空の下なのである。

これはもういっそ運命の予感がする。

そんなわけで、今回はこの運命の香港旅行のことを綴る。ゆきてかえりし香港。では、しばしお付き合いいただきたい。

旅立つまで

旅程は2月22日土曜日から2月24日の月曜日(祝日)と決めた。ここしか空いてなかった。夜のテンションで飛行機を決めた。

私は土曜日は半日勤務なので、仕事が終わってから真っ直ぐ成田空港に向かい夕方の便で香港へ飛び、日付が変わる頃にホテルにチェックイン、翌日曜日に1日かけて香港を歩き回り、月曜の朝にホテルを出て午前の便で帰国するというバカの日程にした。中年のくせに己の体力を過信している。私がこの旅程を友達から聞いたら「やめときなよ…」って忠告したに違いない。

しかし、私の頭はもう「劇中のセットを観に行く」ことでいっぱいだったので、丸1日あれば十分だと己の理性をねじ伏せたのだ。

今回、香港旅行のことを書くにあたり古いパスポートを取り出して確認したところ、この旅行でちょうど10回目の香港だった。もうちょっと少ないと思ってた。しかし約20年かけての事なので回数が多いとは言えず、さりとて少ないとも言い難い。なので私をカテゴライズするなら「ちょっと香港に行ったことがある人」というのが丁度いい気がする。

広東語はできない。英語もあまりできない。でもオクトパスカードは持っていて、香港ドルを少額持っていて、ざっくりした地理はわかる。1人でフラフラしたり、ご飯を調達する事はできる。その程度のスペック。

香港そのものは7年ぶりになる。7年前にひとり旅で訪れて以来なので、記憶している店も移転や閉店でないし円は安いし物価も上がってるしで、調べれば調べるほど泣きそう。こちとら所得は変わらんわ社会保険料や税金は増えとるわで懐が寒い。辛い。

無理やりの旅程にも関わらず、ホテルは贅沢しようと決めた。あまりにホテル代が上がっていて、次に行くときにもう泊まれないんじゃないかってビビったからだ。

そう、ペニンシュラ香港、君に決めた!

今回は深夜に到着するため、香港国際空港から出るエアポートエクスプレスが終電になってるかもしれない。そこで移動は車を手配した。kkdayだったかな、アプリで片道の空港送迎を予約するだけ。夜間料金が懐に痛いが、仕事直帰で飛行機に乗るので疲れ果てているし何も考えずにホテルに連れて行って欲しい。予約時に行き先の指定ができるので、ドライバーとは殆どやり取りもないはずだから、金で全て解決しようと決めた。

ホテルには日付を跨いでチェックインになる事だけメールして、2泊3日の予約をとる。本館(正面側の古い建物のほう)の1番安い部屋である。私の新しいiPhone代はこれで消えた。さようなら新機種、いつか会おう。(このあとiPhoneくんは充電池の問題で買い換えざるを得なくなり、思ったより早く出会うこととなる)

香港に行くちょっと前、友達と銀座の喜記でコラボ叉焼飯を食べに行った。2月20日。

現地で食べればいいじゃんって?なに言ってんだ公式コラボやぞ。鉄は熱いうちに打て。行きたいコラボは躊躇するな。

2月はもともと予約していた美容室、アフヌン、韓国俳優のファンミなど予定を詰め込み過ぎている。映画も観たい。2月のスケジュールは既に爆発しかけていた。自業自得なのだが、この月に限って休みの日は毎回なにかしら出掛けている。そう、中年の体力は旅を目前にして尽き掛けていた。

平日は香港の現地情報を検索し(Twitterでめちゃくちゃ優しい方が現地の事を教えてくださって五体投地の心持ち)ホテルとのやり取り(英語。泣きそう)に明け暮れた。「ご旅行の目的はなんですか?」と聞かれたので、素直に「九龍城寨之圍城の映画セットを観に行くよ!」と返答したら、なんか展示のこととか調べてくれたのだ。有難いのだが、全部英語でやりとりなので語学力マイナス気味の私は毎日一杯一杯だった。あと、ホテルがやってる空港送迎についてのご案内も頂いた。これについては後述させて欲しい。

怒涛の3日間がはじまる

2月22日土曜日、仕事を終えてキャリーケースを引っ掴み埼玉県から成田に向かう。足りないものを買うため、上野経由で京成スカイライナーに乗り換え。京成上野駅の混みようにビビるが、ここに来るまでにネットで購入していたのでそのままスマホで入場できてよかった。

疲労でぐったりしながら成田空港へ。なんで成田にしちゃったんだろう、遠い。順調に移動できて1時間40分くらいかかる。さいたまと成田を結んでいたバスがなくなってしまったので、電車しか手段がない。そして成田自体が久しぶり過ぎて勝手もわからない。自分で成田発を買ったくせに、脳内でずっと成田に文句を言う身勝手さ。すまない成田、埼玉に住んでる私が悪かったな…

食事をして出国し、あとはひたすら出発時刻まで待機である。途中、アブダビだかに向かう飛行機の客がゲートに来てないらしくて、ひたすらフルネーム連呼の呼び出しと走る職員を眺めていた。

航空会社はJAL。乗客の9割は香港人である。嘘じゃない、だってCAさんが言ってたもん。

3回ほど広東語で話しかけられて「ごめんなさい日本語でいいですか…」と繰り返した末の会話で判明したのである。さもあらん、往路は早い時間、復路は遅い時間というのが一番現地滞在が長いパターンだ。日本からわざわざ土曜の夜間で出国する日本人は少ない。

機内上映に九龍城寨之圍城が入ってたので恵比寿顔で観た。確か英語字幕だったのだが、だいたい記憶で補完できた。こういう事にしか少ない脳の容量を使えない。

そういえば機内で入国の時のあの紙貰ってないな…と思って聞いてみたら「廃止されました」って言われた。エッ、そうなの??一応、直近で発売されたガイドブックはひと通り目を通したんだけど、入国カード廃止が前年の10月だった。刊行後の変更事項だった。ネットで確認しときゃよかった…!

そうこうしてるうちに香港に着いた。機内持ち込みだけなので、あっという間に出て来れた。外国人向けの入国審査の窓口も空いていたのだ。

やれやれとベンチでeSIMを設定する間もなく、空港のWi-Fiに繋いだ途端に手配していた車のドライバーからメッセージがバンバン入る。彼らは1時間の航空機遅延までは駐車場で待機してくれるのだが、到着予定時刻に合わせてめっちゃ入ってた。事前に駐車場までの画像付きの詳細な案内、ドライバーの名前、乗車する車種・ナンバー・外観の写真などが案内されている。英語である。読むのはいいんだけど、書くのが苦痛なんだよなぁ…!

着いた旨と自分の服装、荷物の特徴を伝えて駐車場に向かう。

前述の通り、車種は知らされていた。テスラだ。テスラは…車種選択で外したはずなのにな…?向こうのサービスだったのか不明だが、期せずして乗車する事になってしまった。正直、乗り心地とかはあんまり覚えてない。天井がクリアで外が見えてたことしか覚えていない。

私のうっすらとした記憶では香港の運転は爆速傾向なのだが、この時もめっちゃ爆速だった。ブンブーン!

空港から夜の移動はしたことがなくて、窓から見える港湾の眩しい光をずっと見ていた。突然、香港に来たなって実感がやってきた瞬間だった。

ホテルに着いて、大変丁重に荷物を運んでもらいフロントでチェックインする。

朝食付きで予約していたのだけど、ここでチェックアウト日の朝ごはんどうする?って話になる。だって私は朝8時前にはホテルを出なくてはいけないので、レストランのオープン時間だと間に合わないかもしれないのだ。ルームサービスに振り替えられる、メニュー決めちゃう?何時からできる?ってひとつひとつ確認して行った。当然の事ながら英語だ。疲れてる&まだ耳が慣れてない&英語できないのフルコンボで迷惑をかけた。いつもこうだな、私は。

部屋に入ってとりあえず物を散乱させる前に写真を撮る。一息ついてシャワーでもいいから浴びて、ちょっと水でも飲んで寝ようと思いトランクを開けた。

聞いてほしい。

パンツ忘れた。

アホか。下着のパンツである。入ってない。おかしい。ということは、いま履いてるこれ1枚しかない。焦って探した、めっちゃ探した。でもない。

アホだ。

幸い、履いてきたのはシームレスの乾きやすいパンツである。即洗濯し立派なクローゼットにかけて干した。

調べると尖沙咀にユニクロがある。翌日、調達を心に決め風呂に入る。心を落ち着けるため備え付けの茶器でお茶を飲み、ウェルカムフルーツを貪って寝た。

翌朝、起床即パンツの確認。乾いている。よかった。助かった。

朝ごはんはホテルの2階、ザ・ベランダで食べる。1階のロビーでも食事できるけど、こっちの方がたいてい空いてるのだ。あとロビーはブッフェ形式ではなかった気がする。ここも昔はその場で具材を選んで中華粥を作ってくれたんだけど、そのサービスはなくなっていた。

朝食の後、展示に向かう前に両替をしにいく。なぜなら、展示会場の物販では現金しか使えなさそうだからだ。重慶大厦の両替に行くも、日曜なので一番レートのいい店は休み。営業している店は全部同じレートだった。

目的の商業施設はむかしの空港があったあたりである。再開発されて商業施設などが出来ているらしい。地下鉄かバスで行けるので助かった。

その中にセットの展示がある。なんと無料だ。太っ腹だ。小道具、衣装、セットを再構成して展示してある。細かいところまで見始めたらキリがないくらいギュッと詰め込まれた展示だ。

私が行ったときはたまたま空いていて、並びもしないし混み合ってもいなかった。映画の中でも重要なパーツであるバーバーチェアにも座れて、みんな写真を撮っていた。近くでは航空機のエンジン音がBGMで流されていて、グッときたのを覚えている。むかしの香港では低い高度で飛行機が今よりずっと街中に近い空港に進入していたんだけど、映画の舞台である九龍城砦ではその飛行機の腹が間近で見えて轟音が響いていたらしい。それを再現しているのだった。

このバーバーチェアで写真を撮ろうとしていた母娘のお母さんが、小学生くらいのお嬢さんにスマホを託していたので私はその後ろで順番を待っていた。お母さんが座ってポーズをとるなか、お嬢さんの持つスマホの画面は丸見えである。その画面には真面目な顔をしたお嬢さんのドアップ・フェイスが写っている。たぶん「撮れた〜?」みたいなことを聞くお母さんにサムズアップするお嬢さん。撮れてない。撮れてないよお母さん!

面白すぎて笑いながらお母さんに話しかけた。「ヘイ、おたくのお嬢さん自撮りしてるよ!」

そしたらお母さんは腹を抱えて笑って、いやもうほぼ広東語だったけどなんとなく何を言ってるかわかったな。「ちょっと何してるの、ママを撮ってよ!」って感じだ。たぶん。結局お母さんのことは私が撮った。抜群に面白かったな、あのお嬢さん…。

4周くらいぐるぐるして、物販に向かう。グッズを色々販売しているのだ。トートバッグやミニチュアのバスや円盤とか諸々を買った。Blu-rayを買ったんだけど、DVDも買えばよかったのに両方買う勇気がなくてとりあえすBlu-rayだけ買ってしまったのだ。

ここで一定金額購入したらおまけが貰えた。「飛鷹活絡油」のミニチュアサンプルである。たぶん筋肉痛とかに効くやつ。なぜなら映画の主演がCMをしているのだ。

満足して一旦ホテルに戻る事にする。

ホテルの近くにはアベニューオブスターズというスターの手形などが設置された道がある。ここには映画のメインキャストたち(ベテラン勢)の手形もあるので、先にこっちに向かう事にした。

ルイス・クーとアーロン・クォックの手形まではなんとか見つけ、自分の手などを合わせてみる。ルイス・クーは背も高いんだけど、手もでかいな…。なお、私の手は平均より小さいので合わせるとこんな有様である。幼稚園児の手かな…?

そういえば、自撮りをしてる人が結構いて、なんなら数人のスタッフに撮影されている人もいた。SNSのプラットフォームで配信をしている人たちなんだろう。以前はあまり見なかった光景だ。東京でも配信で撮影する人は見るので、世界中の観光地みんな同じかもしれない。でも正直、固定スマホの前で踊るのは通路ど真ん中以外でやってほしい。そのスマホと君の間を通ってもいいんだぞ私は。

次に油麻地を目指す事にした。ついでに教えてもらった甘味処に行く。そしてホテルで休むうちにやはりDVDを買わなかったことを後悔したので、CDショップにも行く事にした。ついでに金魚街をぶらつくが、裏通りの店先で地元の人たちが熱心に魚を見ている様子が懐かしかった。

油麻地にはフルーツマーケットがある。昔からある市場で、ここは映画のロケ地にもなった。昔はマーケットの近くまで海だったようだが、その後埋め立てで水際が離れたらしい。

日曜日なので卸の仕事はほぼ動いておらず、どこもシャッターが降りている。その隙間からチラチラを猫が覗いている。程よく人慣れしないいい感じの猫ちゃんたちだ。撮ろうとしたら逃げられた。活気あふれるマーケットの様子とは違うかもしれないが、人の仕事の邪魔にはならなかったからこれはこれでよかったのかも。

ここからほど近い天后廟に向かい、木陰でお茶を飲んだりしつつダラダラと歩いて尖沙咀に戻った。だいたい30分くらい。人気のお店にエッグタルトを買いに行くも売り切れ。ぐぬぬ

特になんてことはないところばかり写真に撮ってて、でもたまに見つける不思議な日本語の何かとかは絶対撮影してしまう。撮るじゃん。なんなの、間もなく日本に上陸って。

ユニクロに向かい、重要案件であるパンツを買って安心する。なんかちょっと日本より高かった気がするけど、値段は薄目で見たので記憶してない。

夕飯には早い時間だけど混む前にと思い、1人飲茶セットがあるという店に向かう。軽食でちょっと元気になった。ホテルに戻って部屋で少し休んでから廟街をチラ見していこうかな、と思ってた。

しばらくしてなんか急にお腹が減ってしまったので、ホテルで食事することにした。ロビーのカフェでパスタを頼んだ。昼間はアフタヌーンティなどが大人気で混んでいるザ・ロビーだが、夕方はめっちゃ空いてる。バンドの生演奏が流れていて、優雅な空間だなって思いながらここで食事するのが20年ぶりだってことに気がついた。私が20年前に行った香港のお店の殆どが、今はもうない。老舗の店もない。初めて中華粥を食べた店も、エビチリを食べた店も、温かい甘味の店も。この数年で知っている店は片手で数えられるくらいに減ってしまった。移り変わりの激しい香港の街で、強いブランド力を保っている事についてちょっと考えてしまった。

無性にスターフェリーに乗りたくなって、乗り場に向かう。スターフェリーは九龍半島と香港島を結ぶちょっとレトロな船だ。夜間乗船すると、香港の強烈な夜景がよく見える。水の音とエンジンの音とを聞きながらこのフェリーに乗るのが好きだ。目まぐるしい香港の中で感じる、いちばん穏やかな瞬間な気がする。移動するだけなら地下鉄のほうが便利だけど、やっぱり私はフェリーに乗りたい。所要時間はだいたい10分。ぜひこの可愛い船に乗ってみてほしい。

フェリーで往復して満足しホテルに戻った。これはその時の私。友達に見せたら「香港の無免許医のコスプレか?」って言われた。違います。

部屋でお茶を入れながらSNSを見ると東京で舞台挨拶をする推しの情報がワッと溢れてきた。嬉しい。切ない。TOKYOを楽しんで…私は香港を楽しんでます…!という気持ちで眠りにつく。

翌朝、廟街に行き忘れたな…と思い出す。まぁ昔行ったしいいかと切り替え、朝食までなんとか荷物を詰め込む作業をする。パッキングは嫌いな作業じゃないけど、今回のトランクがだいたい18リットルくらいしかないので、マジで無理やり詰めた。

6時ごろ、朝ごはんがやってくる。朝食は何時からお願いできる?って聞いたら24時間いつでもお持ちしますって言われたんだよ。マジかよ、怖い。せっかくなので香港スタイルのセットを頼んだ。朝から可愛くお花まで乗せてきてくれる。しかも中華粥に麺という炭水化物祭りだ。こんな朝から大量に食えないですけど…!

そして食べてすぐチェックアウトになる。なぜなら飛行機が10時台の出発だから。間に合わんから。

これで駅まで行って乗り換えて…ってやる気力と時間がなかった。主に気力がなかった。

そこでペニンシュラが誇る送迎、オリジナルグリーンの塗装がされたロールスロイスに乗る事にしていた。予約しといた。

絶対間違いなく頼んだ時間に出発できる。ホテルからまっすぐ空港に行ける。その安心感とあと8割は興味本位である。

問題はクソ高いってことだ。昔は確かもっと安かった。たしか半分以下だった。今は泣きたいほど高い。金額が下がることはないだろう。宿泊費の段階で金銭感覚がバグった私は「空港送迎の片道だけなら払えんこともないな!」と乗る事にした。

メールでは乗車人数、荷物の個数と大きさを確認されたので、乗るのは1人、荷物はたぶん18Lのトランクが1つ、もしかしたら予備のバッグが増えるかもね?と返事した。「お連れ様の人数は?」と聞かれるので「いない。私1人だ」と2回くらい返事した気がする。1人です…

外観は撮る暇がなかったので、写真は内装しかない。どえらく広いし足元フッカフカだったし、なによりこんなに安全運転の車に香港で乗ったの初めてだった。緊張して喉乾いたから備え付けのエビアンをグビグビ飲んで過ごした。

空港に着いたらそこでサンキュー!で終わると思っていたのだが、空港にもホテルスタッフが待ち構えていた。えっ?聞いてないぞ。「お待ちしてました、お荷物をお持ちします」とか言って(英語)「JALのカウンターまでご一緒いたします、こちらです」とか案内してくれる。ゲェーーーーー、こんなサービスついてくるの?だからあんな高いのぉおおお????????「滞在はいかがでした?」「香港は初めてでしたか」「日本は寒いんですか?」とかちょいちょい会話で繋いでくれようとする。だがしかしこの中年、もう英語で日常会話すると思ってなかったからさ…最後の脳みそフル回転でちょっと泣きそうだった。ホテルの人はこれ以上ないほど丁寧で親切だった。私の語彙力に問題があっただけで。

車内でオンラインチェックインを済ませていたし、預け荷物もない私はカウンターに寄らずそのまま出国ゲートに連れて行ってもらった。「また滞在する時にはよろしく」なんて言ったものの内心では「果たしてまた泊まることができるのだろうか」と思ってた。

香港国際空港は広い。ハブ空港としてもよく利用されるので、出国後も飲食や買い物に事欠かない店舗数だし、とにかく広い。羽田とかのコンパクトさとは大違いだ。あまりに広いので目当ての店を見つけられずに終わった。下調べが足りなすぎる。

目についたお土産屋でいくつか買い物をして、軽く食事もした。搭乗ゲートの手前に美味しいエッグタルトの店があったのでミルクティーと購入して食べ、もっと買えばよかったなってまた後悔した。

帰国便はまた殆ど香港人だった。広東語で話しかけられて謝ったりして「デジャヴ…」なんて思ったりした。デジャヴもクソも、往路で味わったばかりである。

機内でまた九龍城寨之圍城を観て、やっぱ面白れぇなって満足しながら帰国した。

実に慌ただしい旅だった。

いつも通り雑な計画で、いつもより足早で、変に懐かしさを感じた旅だった。7年ぶりだから?展示がノスタルジックな香港を感じさせたから?久しぶりに香港飯を現地で食べたから?わからないけど。

ゆきてかえりし香港の話はこれでおしまい。

明日はたっくまさんです、お楽しみに!

@bacco
ばっこです。 韓国映画『名もなき野良犬の輪舞』が好きです。