10日目

bebe_be8
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「銃兎と何かあったのか」

事務所へ来ていた理鶯が、突然そう問うてきた。

何か。あっただろうか。直近のあれこれを考える。特段、尾を引くようなケンカもしていなければ、組の関係でゴタついてもいない。だから、俺は率直にそれを否定した。

「いや、別に」

「そうか、では小官の思い違いだったようだ」

大柄な迷彩服はひとり納得して、話をこれで切り上げるつもりのようだった。しかしそれでは、こちらが気になる。

「……何かあったのかよ」

「あったのかと思ったが、なかったようだ」

いや、そうじゃなくて。

まったく答えになっていない返答に、顔をしかめた。が、この相手にはなんの意味もない行為だ。

「理鶯、」

「随分と機嫌が良さそうだったが、しかし左馬刻とは無関係だったか」

なんだそれ。

つい癖でマイナスの方に考えていたが、思わぬ方向へ転がった話に、口をつぐんだ。心当たりが、無いわけではないので。