13日目

bebe_be8
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なんのことはない一言に、気持ちを乱される時がある。連勤が続いている時。上から厄介な案件を押しつけられた時。ようやく捕らえられると思った薬の売人に、まんまと逃げおおせられた時。

疲れているのがいけない。それから、身体が冷えているのも。

いつもなら聞き流せるようなつまらない言葉に、神経を逆撫でられる。喉元に大きな塊がつかえているような息苦しさ。迫り上がってくる苛立ち。衝動的に叫びだしたくなるのをどうにか堪えて、奥歯をきつく噛み締める。そうやって、これまてずっと、やり過ごしてきた。

『よぉ、どした』

スピーカー越しに、少しくぐもった声。ザラついた低音が心地よく耳に響く。

呼吸が、ラクになる。肺に酸素がめぐる。そうすると視界が晴れて、怒りが薄れていく。

『銃兎?』

小さく息を吐いた。

もう、大丈夫だ。