総プレイ時間60時間くらい。以下雑感。ネタバレ注意。
どういうゲームなの
Ubisoftが制作する、映画『アバター』のIPを載せたオープンワールドアクション。PS5 / XBox などで遊ぶことができる。
基本的なUIや操作感はUbiの過去作であるところの『アサシンクリード』シリーズなどとほとんど同じ。
プレイヤーは人間型異星人ナヴィのサレントゥ族の生き残りとなって、パンドラ星を汚染しながら開拓する人間の企業、RDAと戦う、というストーリー。
どういうところがいいの
グラフィックが圧倒的に良い。ほとんどこのトレーラー通りのルックで終始プレイできる。
3Dでゲームシーンを作るとき、シーンを生成するのに必要なデータが多ければ多いほど、高精細であるほど読み込みが重くなる。また、ゲームにもよるが、1秒間の描画枚数(いわゆるFPS)も出なくなる。
しかしこのゲームは元が映画ということもあり、パンドラ星の豊かな自然の中で駆ける体験自体に力点が置かれていて、植生の密度や種類が非常に濃い。基本的には屋外が主なプレイゾーンとなるため視界を遮ることができるものも少なく、真正面から物量を配置していくしかない。
本作では視界外のオブジェクトを描画計算から外す、いわゆるカリングをキリキリに調整してなんとかしているらしい。怖い。
似たタイプのゲームとして思いつくのは『Horizon Zero Dawn(2017)』や『Last of Us(2020)』などがあり、これらも出た当初は「圧倒的なグラフィックだ……」と思ったものだが、それと比べても美麗で、圧倒的な密度だ。
また音響もエグい。"ゲーム内の一つ一つが3D空間で実際に音を発し"ていて、臨場感を高めるのに一役買っている。そこまでやる?
どこがイマイチなの
このゲームはナヴィの超人的な肉体で未開の星を走り回らせたいのだが、ルックの良さが仇になって視界が遮られ、次に何をすればいいのか、どこに向かえばいいのかが分かりづらくなっていると思う。もちろん、"どちらの方向に向かえばよい"などのガイドはあるのだが、三次元的な移動が必要なのでやはり迷いがちになる。これが結構ストレスフルで、「自分でプレイしなくても、プレイ動画でいいんじゃね」と言いたくなる。
樹海で人が迷いやすいように、同じような視界が続くジャングル内では方向や距離感が分からなくなりがちだ。ある程度情報を落としたり、地形でさりげなく誘導したり、ランドマークとなるようなオブジェクトを定期的に置くなど、嫌味でない程度にプレイヤーを誘導するのがこの手の自由度が高いゲームでは重要だと思う。"BotW"とかそのあたり、非常に巧妙に作られている。
もう一点、このゲームは3段階に分けて探索できるマップが広がっていくのだが、2つ目のマップでライティングがバグる箇所が目立った。ルックに気合を入れているソフトだからこそ、そこはやり切ってほしかったと感じる。
この辺はどちらともいえない
戦闘の難易度は妥当だと思う。難しすぎず、簡単すぎずというところでまずまずの出来。ただし、視界が遮られがち、という問題は残っているので、やややりづらくはある……が、それはそういうゲーム性です、と言われたら飲み込めるかなあ……という程度に収まっている。
ストーリーはやや凡庸。環境破壊をする人間 vs 人間を追い出そうとするナヴィ+ナヴィを応援する派閥の人間、という構図で描かれるため、古風で牧歌的な印象を受ける。映画を見ていなくてもストーリーが飲み込める形になっているのは良い。映画『アバター(2009)』、15年前の映画ですからね……。
キャラクター造形は妥当。主人公が属していたサレントゥ族は人間によって滅ぼされており、当時幼体だった主人公を含む数体だけが生き残っている。主人公+人間に傾倒するテイラン、人間に反発するノール、中庸のリネラ、が人間関係の中核となっていて、それを取り巻くようにナヴィとしての矜持を取り戻させたいパンドラの各部族、人間側に都合よく洗脳したいマーサー、同じく人間サイドだがナヴィ擁護派のアルマやレジスタンスの面々が脇を固める。(とはいえ擁護派は「私たちがナヴィを守らなければ・導かなければ」というスタンスが鼻につき、ナヴィの反発を買ってもいる さもありなん)
クラフト要素はやや貧弱な印象。武器や装備の製作材料を入手するのに探索要素があるのだが、ステータスにばらつきが少なく、ハクスラ要素としてはやや弱い。もうちょっとステータスをバラけさせたり、多様なバフをかけさてくれてもよかったと思う。飲食で一時的にステータスを上げる効果も同様で、やや単調な印象。
総括
PS5のルックを最大限楽しみたいならやってみてもいいと思う。(発売早々に値下げされているし)
が、積極的に「名作!全員やった方がいい!」というほどではない。映画だったら勧めてたかもしれないけど。