2024年3月8日に発売されたアトラス&ヴァニラウェアの新作ゲーム「ユニコーンオーバーロード」を君は知っているか。
ユニコーンオーバーロードは1,2年前にタイトルが発表されて、SRPGの戦記モノ、しかもアトラスとヴァニラウェアなんだ! ということで私がなんとなーく気になっていたタイトル(アトラスは「メタファー」も楽しみだよね!)。
つい二週間前にDEMO版が配信されたのでプレイしてみたら、用意されていた6時間分の体験プレイ時間があっという間に溶けてしまって悲しかったので、製品版を買いました。8,000円ちょいという強気の価格……と思いきや、プレイ時間想定が100時間だそうで、それなら確かにその値段よね……となりました。実際、100時間もこのゲームができるんだったら幸福すぎるだろ。そんな体験版でした。
序盤をプレイしてみての所感
ゲームシステムは新感覚、ゲームシナリオは王道で硬派。温故知新の肌感がある、「令和の90年代」みたいなゲーム。
往年からの純SRPGかと言われるとそうではないかもと思っているので、新しい造語が欲しいところ。戦闘のプレイ感は「カードゲームとSRPGを合体させた感じ」。ユニットごとに技を組み上げて、組んだユニットとさらに別のユニットとのシナジーを考えて構築する自分だけのデッキ! 戦闘は接敵後にデッキがオートで繰り出されていく、プログラミング的な楽しさとオートならではの運の要素がドキドキしてたまらない。そも、人間は「運の結果」に自分なりの物語を当てはめてしまう動物なので、そういった意味ではナラティブっぽいとも言えるのかもしれません。
この記事は、私がドラケンガルドをもうそろそろ取り戻せるかな? という序盤、20時間弱プレイしたところで一旦ストップして書いています。ので、今後プレイしていったら評価が変わるかもしれない。とりあえず今の感覚を忘れたくないので、以下に感想文をしたためておきます。
ここからネタバレ
ここからネタバレありで好きなところや気になったところを書きだしておきます! これは未来でクリアしたとき自分が読み返す時用でもあるので、お読みの方はご注意ください。
好きなところ
シナリオが王道なところ。制作陣インタビューで「SRPGのシナリオはシンプルでいい(キャラクターと過ごしたプレイヤー体験がそのまま厚みになる)」というようなことが書かれていて、プレイしながら全くもってその通り、という感想を持ちました。というのもアレインのやることは最初から決まっているし、これからの展開も全然予想がつく。下手に意表をつかなくていい。なぜならこのゲームはそれがコンセプトだから。丁寧な王道を見せてくれるから。
これからどういう風な物語になるのかは分かりませんが、そこまで最初のテーマから逸脱したものは出てこないんじゃないかな……と思っています。ガレリウスの裏ボスくらいならいそうだよね。でも結局、この物語ってアレインさんの貴種流離譚だから、アレインさんが正しく大陸を統一した王と語られるところで終わる、終わってほしい、そう思います。今のところ手堅い作風です。え~でも急に変化球来たらどうしよう……この手触りで? それはないと信じたいです。
ユニコーンオーバーロードのワールドマップ。こうして見ると左の島以外はほぼ1枚の大陸で地続きなんだね。ジョセフとアレインが島に逃げる訳だよな。
あとはオープンフィールドで進行ルートが自由に選べるところ! プレイヤー十人十色、唯一無二のプレイ体験ができるのが強みだと思いますし、好きなところになりました。最初のマップ中央にラスボス戦(と思われる)が設置されているのが面白い。
FE風花雪月もよく「最初に選ぶクラスで体験が違う」と言われてるけど、ユニコーンオーバーロードも似たようなところがあると思いました。風花雪月ほどの大きな違いはないので、あくまで似たようなところです。
「自分で戦記を作っているんだ」という自覚が芽生えるシステムを作ってくれて本当に嬉しいです。
RPGはフィールドをうろうろするのが好きなので、うろうろできないRPG(ブレイブリーデフォルトとか)は少し寂しい。ユニコーンオーバーロードはフィールドをうろうろできるだけじゃなく、もちろんフィールドオブジェクトにまつわるミニ探索クエストもあってうろうろのし甲斐もあります。地味にフリー戦闘があるのがありがたい……。ああいうレベリングがしたかったから大助かりでした。他にも石板探し、石柱探し、聖灰探し、素材集め、塔登り、墓参り……フィールドでやることって沢山!!!! 忙しい忙しい。最高にRPGしてます。
そしてSRPGらしく戦闘に次ぐ戦闘で、キリがつくところが分からないところ……。本当に戦闘が面白くて、次の戦闘、次の戦闘、と続けてプレイしているだけなのになぜか10時間経っています。?????? なぜだろう、ただ戦闘をしているだけなのに……。SRPG大好き!
そして世界樹よろしくキャラクターユニットを作成できるのがとても嬉しいです! 今はネームドキャラクターしか使ってないんだけど、創作が好きだったりTRPGが好きだったりする人にはたまらないんじゃないでしょうか。成長タイプによって生まれる無限の可能性……。ボイスの種類が多くて性格付けもできる。もう何人か作って部隊を編成してるんですが、たまらなく愛おしいです。早くバリバリ使ってあげたいな。
好きなキャラクター
60人以上が仲間にできる、というのが売りの本作。何人か贔屓にしている子を書いておきます。
メリザンド。どの作品にも「主人公にアピールの激しい負けヒロインタイプ」がいるわけですが、メリザンドはそのテンプレートから若干外しがあって見ていて気持ちいい。普段このタイプの女の子を好きになることは少ないけど、メリザンドは領主というか貴族としての誇りが地盤にあるからかな、気高くて好きです。従者コームとの掛け合いも素敵。
クライブ。純粋にかっこいい、頼れる騎士様。全幅の信頼を置ける。モニカとのロマンスがとても気になる!! あのエピソード最高でした!! テイルズオブジアビスのガイのポジションですね。居ると安心できます。強いし。
ヤーナ。身を隠すために若返りの魔法を使ったので実力も若返ってる、という低レベル化の理由付けが最高! はじめはもっと妖艶な感じなキャラなのかと思ったんですが、親密度会話を見るとかなり「みんなの母」ですね……。魔術師の育成が好きそうだし、老騎士に「大きくなったなあ」とか言うし。そういった意味ではかなり甘えたい存在です。私の母になってほしいです。
トラヴィス。物凄い好み、というキャラクターではなかったんですが、最序盤から仲間でいてくれるし、私(≒アレイン)の盟友、傍にいると安心する、という意味で好きです。強いし。盗賊だけど大事に育てられた感じというか、品の良さがあって、お前本当に盗賊か? 育った家は裕福だったって言っていたので生まれは貴族なんじゃないか? という一抹の不安を抱えています。いっぱしの盗賊は本とか読まないでしょ。トラヴィスってカードワースで女オタクが作りがちな盗賊って感じがして親近感湧きます。
ルノー。可哀そう。好き。自罰的な男……。
アレイン。彼が「私怨ではなく大義を見つけたため」といって挙兵してくれたときから信頼できる主人公として見ています。ものすごく誠実。仲間にも、敵にも、自分の生まれにも、宿命にも、プレイヤーに対しても彼は誠実です。
ちなみに各キャラクターにはアレインから「贈り物」をすることができて、花や宝石、ダイス、模造刀なんかがあげられるんですが、ラインナップにはこういうのもあります。
これを渡すアレインさんはドスケベ大魔王だけど、システムで結婚みたいなこともできるらしいし多少はね。
気になったところ
ギャグが少ない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
戦記モノだからしょうがないのかもしれない。主人公のアレインさんはものすごく硬派でかっこいいので、とにかく「大陸を敵から取り戻す」という大義のもと次々と戦場へ走ってゆきます。クラスチェンジして馬に乗ったとき感動したなあ。移動速度が速くて。
でも、戦場を次々に渡るからこそ、ちょっと抜けたエピソードや、息抜きできるようなゆっくりシーンが(序盤プレイしてる限りでは)ない。
恐らく、それが「親密度会話」「宿屋(料理)」で担保されているんだと思うけど、体感としては一瞬なので……キャラクター的には十分な休息を取れていたとしても、プレイヤー的には精神的な休息シーンが全くないわけです。
それはそれで戦記小説っぽくてカッコイイ、コンセプトがしっかりしているということでもあるわけで。しかし個人的にはアレインさんを身近に感じたいな、と思わないわけではないです。ただアレインも結構抜けてるところはあって、親密度会話を覗いてみると節々からそれを感じられはするんだけど……それをガッツリ見たい! 急に温泉戦とかになって勝ったら温泉イベントが発生したりしないのでしょうか。テイルズすぎるか。アレインさんに「ドスケベ大魔王」みたいな称号ついたら解釈違いすぎて発狂するもんな。たとえシュミーズドレスを手渡す男だったとしても。
ユニコーンオーバーロードは洗練されたお話作りをされてるんですが、少しいじわるな言い方をするなら隙間がない。でも、二次創作する隙間なら沢山あります。息抜きは二次創作でしようということなのでしょう。
こういうギャグはある。砂漠でふかした芋を分けて食べようとしたら腐ってしまっていたロルフ(良い声)の親密度会話。サシャかよ。親密度会話はメシの話がかなり多い。
あとは、ヴァージニアが仇敵に単騎(単部隊)で向かっていったシーンは結構気になりました。FF14紅蓮の解放者でも似たようなことをしたキャラクターがいたんですが、そのときも大層そのキャラクターのことを信じられなくなり、それを思い出しました。ただヴァージニアがそうなる理由もきちんとあり、終わったあともケジメをつけたり、そしてなによりこの単騎出撃エピソードは「ジョセフがイレニアを救えなかった」というトラウマを払拭するために必要だったお話だ、と考えたため渋々納得しました。FF14のユウギリの方は今でもあんまり納得できていません。
恐らく私自身、大勢に流されるのが好ましいタイプなので、こういった身勝手(に見える)な単独行動が個人的なモラルに反するということなのだと思います。
改善してほしいところ
特になし。操作などもストレスフリーで楽しめるとても良いゲームです! 難易度設定も私にはNORMALが一番合ってるように感じます。
ちょっとしたことでもいいから上げて! って言うのなら3つ。
「シーンスキップがBボタン長押しであること」。セリフ送りをBボタン連打してしまうので、Aボタン連打式のユニコーンオーバーロードはまだ慣れません。メッセージ送りはB連打、シーンスキップは+押下かZR長押し(戦闘と同じ)じゃダメだったのか。でもこれはプレイしていけばユニコーンオーバーロード側に体を合わせていける部分だと思います。
「戦闘スキップ時の時間が長いこと」。HP減少とEXP増加の表示は必要、確かに必要! でもその表示時間、5秒くらいでしょうか、それがもどかしい。それを見るのが煩わしいからスキップしているというのに! 私はNORMALプレイなので戦闘はサクサク進めることができていて、だからこそスキップ機能を多用しています。スキップ、もうちょっとどうにかならないかなあ。
3つめは、もうこれはしょうがないんだけど……解放していないフィールドで発生する親密度会話が見れないこと。親密度会話はフィールド上で展開されるので、そのフィールドを敵国から取り戻さないと再生されません。なので親密度を爆速で上げても見れないってこと! なんのために必死でメシ食ってると思ってるんだい! と思わないわけではないです。仕様上のバグです。
おわりに
まだまだプレイは序盤も序盤、プレイ想定100時間のうちの1/5しかプレイできていないわけです。もう少しプレイして、また感想文をしたためたいな。
少々忙しい日々が続くので、続きを再開できるのは三月末くらいでしょう。それまで待っててね! アレインさん!