君はもう逆転計略TRPG「天才軍師になろう」をプレイしたか

べるでぃ(BELLDAY)
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公開:2024/11/27

2024年2月に満を持して発売されたTRPG『天才軍師になろう』を知っているか。

PCのうち1人が天才軍師役、その他が英傑というつんよい役を務めて進行するこのTRPG。発売当時から気にはなっていましたが、2024年11月にプレイする機会に恵まれましたので天才軍師側でプレイいたしました。いや~……

めっちゃおもしろかった!!

システムが今まで経験したことのない感じだな~という手触りで新鮮でした。ということで、どこが楽しかったのかを備忘録として書いていきたいと思います。セッション内容ではなく、『天才軍師になろう』というシステムについてのお話です。この記事はシステム紹介やレビューではなく、ただの感想日記となりますのでご了承ください。

まず「天才軍師ってなんだろ?」というかたは、以下のページからシステム紹介を読んでみてね。

わたしが持っていた事前情報

冒険企画局「新作は『天才軍師になろう』です!」

べるどくん「なろう……?」

紙を見るプーの顔になりましたが、よくよく説明を読んでみるとファンタジーで……とりあえず、なろう系ではない? という雰囲気が漂っていたので期待はしていました。著者も『フタリソウサ』のかたでしたし、いや絶対しっかりしたシステムなんだろうと思って……いたというか、思うようにしていたというか。

半信半疑だった状態から、発売後に聞こえてくるのは好評の声。しかも実家であるグランクレスト界隈で。じゃあ、そりゃ、おもしろいんやろなぁ……!

私はいわゆる「軍師」という存在が好きです。嫌いな人もそういないだろう。自分が天才軍師になれるかはさておき、他PLの軍師キャラ、め、愛でたい……! そんな気持ちでいると、「『天才軍師になろう』をぜひ布教したい」とお声をかけていただき、2024年11月某日、立卓と相成ったのでございます。

ここからは『天才軍師になろう』ルールブック掲載シナリオ「天才軍師の芽吹き」を遊んだときのことを踏まえ、システムの感想をまとめています。私は今回「天才軍師PC」側だったので、そちらの視点からみた感想になります。

セッション内容についてのネタバレはありませんが、システムについて触れております。ルール詳細・データの記載はしないよう努めましたが、ご指摘のあった場合は該当部分を削除いたします。

まずはじめにまとめから

なろう系ではない

これだけは一番初めに書いておきたかった。「~なろう」と銘打っているだけでPCの異世界転生モノではありません。システム紹介ページにも記載がありますが、異世界ファンタジー舞台で繰り広げられる戦記TRPGです。

タイトルに偽りなし

本当に天才軍師になれる。すごい。

フィクション作品において描写される「軍師らしさがある振る舞い」ができます。天才軍師PCは天才なので、シナリオ中の重要情報を唯一、先に読める仕組みになっています。それをどう伝えるかは天才軍師PC次第。渡された情報をどう英傑PCに伝えるか、含ませるか、あるいは伝えないか、ちょっと嘘を混ぜてみるか……。すべてを知ったうえで「言葉にしたくないのです、確証を得るまでは……」みたいなことも言える。

「いや、情報を先にもらったら後の面白さ半減しない?」と思うなかれ、これがあることで「フ、予想通りですよ」という天才軍師面ができるのです。天才軍師をロールプレイしに来た身として、これ以上の愉悦があるか?

まあ、実際言った。

ということで、確かに天才軍師になれるうえ、軍師のトロだけ無限に食えるシステムが『天才軍師になろう』です。諸葛孔明にも、ルルーシュにも、ナルサスにも、ヤン・ウェンリーにも、パリピ孔明にもなれる。

おお~!と思ったところ

ここからは細かく、これめっちゃ良いなあ好きだなあと思ったものを書いていきます。基本的に全部良いので全部書きたいよ。

がっつり戦記モノ

キャラ作成中に国作成をするTRPGが戦記モノじゃないはずがないだろ。PCが天才軍師と英傑、ということで基本的にどのシナリオにも戦乱があります。嬉しい。1セッション遊ぶと、そのセッションが「戦史」になるのがたまらん。

関係性がリソースになる

このシステム、基本的に「天才軍師&英傑」の2PLが主軸にあるからか「互いの関係、信頼、感情」がリソースにできます。そういうの大好き! ロールプレイに付加価値が与えられるので尚更おしゃべりが捗る! 物語が動き出す!

天才軍師と英傑でことなる景色

天才軍師PCをするか、英傑PCをするかでシナリオの見え方ががらっと違うところが好きです。私はまだ英傑側をプレイしたことはないのですが、違う景色、違う思考の使い方をしていると思う。そして、どっち側も絶対楽しい。

ちゃんと英傑主体のシーンもある

天才軍師が主人公PCということで、その他PCは「英傑」という存在になります。要は他の兵士よりも突出して強い人々なのですが、プレイ体感の比重ってどうなってるんだろうと思っていました。ちゃんと英傑PCが主導する部分もあったので安心。

「オレたちだけのNPC」という存在が愛しい

データ付きNPCがセッション中に発生することがあるのも好きです。戦闘で使用するためのデータなのですがこれがまた……愛しい存在で……。シナリオNPCではなく自国のNPCという扱いのため愛着が湧きますし、自国に厚みも生まれ、かつPCに絡ませればキャラ補完にもなる。これGMも楽しいんじゃないかな。「データ付き」というのも大きいポイントです。

ペナルティカードで愛嬌も出せる

ダイスの出目如何で、天才軍師にのみ配布されるペナルティカードがあるのが面白いです。天才軍師は天才ですが、このカードがあるため完璧超人にも隙チャンスができて愛嬌が出る……と思う。天才軍師とはいえ、少しは隙があった方が物語としては面白いし。ルルーシュが「クソッ!またランスロットか!」って言ってるシーンをみんなが好きなように。

戦闘面でもがっつり天才軍師

戦闘時にも貰える情報がありまして、天才軍師PCはこれを見て「ここが終わったら次にこうなるから英傑に○○させて今度はラウンド開始時に○○……」云々、呟きながら初期位置を決定します。ここ本当に楽しかったな。天才軍師みたいなことしてた。

天才軍師は頭脳労働オンリー

天才軍師PCは戦場に出ません。後方で指示を飛ばしている、という扱いになります。マジでこれが超楽しかったです!!!!!!!!!!!!!ひとり指令室でブツブツ独り言を言いながらたまに舌打ちして地図とにらめっこ、たまに英傑に手紙を出す、みたいなことができます。うわあああ!軍師してる!ありがとうございます!いや本当に、戦闘が楽しいシステムなんですよ。

新感覚な戦闘システム

ルールで戦闘形態が種類分けされているのが個人的に良いな~と思ってルルブを読んでいました。戦闘方法を簡易版に変更できるルールを採用しているシステムはありましたが、そもそもの形態を選ぶのはあまりなかったなと……。「戦闘」という大枠のなかに仕切りができたイメージですね。シナリオを作る側からしても、ルール側で仕切られているのがすごく快適だなと思いました。あまり自由すぎると迷ってしまうこともある。

その他にも良いところがたくさんあるシステムなので、ぜひルールブックを購入して読んでみてほしいです……!

ぐわー!と思ったところ

セッション中に、私が天才軍師というプレッシャーに挫けそうになったところを書いてはみましたが、ただ自分の力量不足を連ねているだけになりました。この記事はプレイ日記なので、感想として残しておこうと思います。これは私自身の思ったことなので、いちプレイヤーの振り返りです!

もらった情報を元手にシーンを展開する重圧

「天才軍師になろう」における肝のひとつであり、前半の見せ場です。いや見せ場来るの早すぎる。天才軍師PCは、英傑PCに比べると取り扱う情報が非常に多いです。その情報を自分なりにPCたちへ説明しなければならないので、そのプレッシャーに泣く。

ただ、ここが……ここが天才軍師の腕の見せ所! ここなんだ! トリッシュはオレなんだ! というくらい分かりやすい見せ場なので、気合いの入れ所がわかるのは心構えできていいのかも。あとは、別に天才軍師PCだけがんばれって訳ではなく、GMに相談してもいいし他PLにシチュエーションを相談したっていい。そういう柔軟性があるのがTRPGの好きなところだから……

ただ、このシステム名は「天才軍師になろう」。天才軍師風を極力吹かせたいと思って軍師PCをやる人間が多数。天才軍師になろう。気合入れろ、ここだけお前はサブGMだ。

天才軍師&英傑の絆の構築タイミング

セッション中、前半はロールプレイ→判定を繰り返すことになります。PC同士でワイワイ喋りながら遊びはするものの……私はうまいこと絆! 情! 信頼関係! あたりに繋げることができず「まずい、英傑のみなさんにご迷惑をお掛けしている……」という焦りが生まれていました。私に腕がなかった。英雄PCはルール上、天才軍師PCに信頼を寄せなければならないというのに……! ここはフタリソウサの助手→探偵でもあったところですよね。

自分の天才軍師PCのどこに信頼を寄せてもらおうかな、こういうところ信頼してほしいな、という前提の思考がなかったので(焦りすぎ)、ロールプレイするとき私にはそれが必要かなと思いました。要は、英傑PCに分かりやすい取っ掛かりを与えたかった。前半では、意識しなければ取っ掛かりを与えられない気がする。

でも前半もっとキッチリ天才軍師ぶってたら自然と信頼してもらえてたのかなあ。そういうシステムの作りかも……。私が小難しく考えすぎかもしれません。

ですが(確変)、後半パートで「日常回」みたいなのを差し込めるタイミングがあるので助かりました。戦いのなかでも日常回はやはり欲しい。野球回、焼肉回、水着回、修行回、なんぼでも欲しい。ルール面で交流をサポートしてもらえると「育み」が発生して有難いです。

ルールブックについて

最後に、ルールブック全体を見た感想をまとめます。現在、私が所持しているのは基本ルールブックのみ。読みやすいのは言わずもがな、取り上げたいものを書き連ねます。

リプレイが掲載されている

私が少数派であることは重々承知ですが、ルールブックにはリプレイがあってほしい派です。そうでないなら発売と同時にリプレイ動画を出してほしい。なぜならルールを閲覧するだけだと、システム側で求めているセッションのカラーが分からないから。

今回は特に、システムタイトルが『天才軍師になろう』という独特なものだったので「え、どのテンションでプレイしたらいいの。なろう系?」と困惑した人も中にはいるはず。

リプレイ読んだら全然なろう系じゃなかった。ガチガチの戦記モノだ、これ……。

「天才軍師になろう」掲載リプレイは天才軍師が「少年メイド記憶喪失エルフ」、英傑が「外面だけは良いぐうたら美少女魔法将軍」という、「トンカツ頼んだらピザがトッピングされてて、デザートはみたらし団子が刺さったプリンアラモード」みたいな濃い組み合わせだったのですが、これが中々どうして面白かったです。ルールも、物語とともに丁寧に説明されていて大変たすかりました。ガチガチの戦記モノだったし、いいコンビモノだった。

索引がない

冒険企画局あるある。なんでないんやと思いますが作る側からすれば工数削減になるんだから、そりゃ購入者に付箋を貼らせた方が楽だ。ラーメンの器に唇の形を合わせるように、私たちもルールブックに指を合わせるべきです。

……ワリ、でも索引は欲しいわ! やっぱ! 読者心として!

おわりに

まだ1セッションしかプレイしていないのにも関わらずこの熱量。「天才軍師になろう」、システムがうまくできすぎている。少しでも気になったらお手に取ってみてください。

嬉しいことに英傑側も今度プレイする予定があるので、これからも楽しんでいきたいと思います! 天才軍師側と英傑側だと絶対に見える景色が違うという確信がありますので、プレイしたらまた軽い感想を書きたいですね。

めっちゃ楽しみ~!!