3/17にPUNKSPRINGというイベントにいってきました。出演者は多数いたけれど、2024年のPUNKSPRINGのトピックは、初日がSUM41の最後の来日、そして二日目がNOFX最後の来日であるということ。
俺にとってNOFXは特別な存在です。なぜならハイスタにとって一番特別なバンドだから。俺にとってハイスタは一番特別なバンド。そのハイスタは、NOFXがいなかったら今このような形で存在していない。GROWING UPというアルバムすら出ず、ミニアルバムLAST OF SUNNY DAYだけで解散していたかもしれない。
NOFXが発表された時点から、ハイスタが出ると直感的にわかっていて。でもNOFXだけだったら売り切れないのも直感的にわかっていたので、ハイスタが発表になるまで待ってからチケットは買った。ハイスタが見たいのはもちろんそうだけど、ハイスタとNOFXがそろうのはこれが最後、というのは、見ない理由がなかった。
いろんな感傷にひたりながら3/17のPUNKSPRINGにいってきました。出演はThe Linda Lindas → The Vandals → マキシマムザホルモン → The Damned → Hi-STANDARD → NOFX。ほとんどがハイスタの感想文になっちゃうのはお許しください。
本当だったら朝からThe Linda Lindas見てリンダリンダしたかったし、The Vandalsマジでみたかったんだけど、朝から仕事が入ってしまったので、お仕事をせっせと。PUNKSPRINGがあるので8:00始業にしてもらってなんとか10:00終業。
これでThe Vandalsまにあうやん!と思ったけど、この日は仕事おわったら近所のとんかつ屋に行きたいというのも決めていたので、とんかつ屋がオープンするまでちょっとのんびりした。おかげでThe Linda LindasとThe Vandalsは見逃しました。The Vandalsの感想を見る限り俺の好みどストライクっぽかったけど、これはこれで後悔してない。行きつけのとんかつのお店もそんなに頻度多くいくわけじゃなくて。結構なご高齢だからね。いつ食べれなくなるかわからないなと強く思わされる今日この頃だから、自分の直感にしたがってとんかつを優先しました。はじめてミックスフライ定食たのんだら一番おいしくてびっくりした。アンコールちかいうちにいっちゃお。
14:00前ぐらいに会場到着。会場の後ろのほうのスペースをとって、マキシマムザホルモン。
ライブが全然ぴんとこなかった。AIR JAM 2011で見たときはあんなに感動したんだけどな。新曲もほとんどないし過去の遺産でそのままやってる感じに見えちゃって、腹ペコ感が俺には感じられなかった。丸くなったともとれるし、いい変化と受け止められたらいいんだけど、ここはPUNKSPRINGだからね。パンクという言葉に特別な感情を抱くやつは一定数いて、俺はそのひとり。ホルモンのこの日のライブからはパンクを感じられなかった。唯一期待した「恋のアメリカ」もよくわかんなかったしな。AIR JAM 2011のときの先輩全員ぶったおす下剋上精神のあのホルモンはどこへ、とちょっと悲しくなったり。とはいえキャッチーなメロディーは健在で、疲労困憊の俺はいずれにせよどこかで休憩とらないとだったので、いい昼寝の時間になりました。きもちよくねれた。
続きまして、The Damned。初めて見ましたが、もぉぉぉすっごかった。序盤はすこしポップパンクに寄せた選曲だったと思うけど、後半になるにつれてむき出しになる音の凶器。なんだあの鋭利な刃物のようなロックンロールは。どこまでも鋭利な音で、それでいてスタイリッシュ。これ、70年代のパンクだよね?ピストルズとクラッシュと同じ70年代だよね?それでなんで今でも成立する音鳴らしてんの?ビートこそそりゃ古いし、自分の世代ではない初期パンクすら通り越した昔の音だけど、古臭いのに今なお荒々しい。老いてなお、若者よりもはるかに尖っている。パンクとは「何かに対しての反骨精神」の精神性だった。わかりやすくいえば、ラブアンドピースがマジョリティになったら、ファックを言うのがパンクだし、ファックがマジョリティになったら、ラブアンドピースを言うのがパンクだ。ホルモンは俺のなかでマジョリティの音楽になっちゃったのだなとダムドを見て余計に感じさせられた。ダムドは今も目がギラついていて腹ペコだったよ。えぐるような音にずっと魅了されていました。セットリストはこちら。
続きまして、会場中のOiコールの中、暗転して、Stiff Little Fingersの「Go For It」が流れる。
Hi-STANDARD。
二人ともNOFXのTシャツを着ている。出てきた瞬間にわかる、二人が泣き崩れそうなのをこらえながらステージに向かっているのを。難波の言葉からライブはスタート。
「今日はNOFXのために来ました。花飾らせてください。俺たちはFAT MIKEに認められて、サンフランシスコに連れてってもらって、この曲をレコーディングしたんだ。俺たちはいつまでもNOFXの子供だよ。GROWING UP!!!」
そこからあとのことは、たくさんおぼえているけれど、あまり言語化ができない。なので、ライブどうこうってのは、うまいこといえない。だからいつか読み返したときにこうだったんだろうなって自分が思い出せるようなことは書き記しておこうと思う。
ツネちゃんの追悼ライブのときは、まだツネちゃんのことを受け止め切れていない混乱したライブだったように思うけど、この日はNOFXの解散を受け止めたうえで、最後の対バンであることが悲しくて、でもNOFXの最後の来日を花飾れるのが自分たちであることが誇らしくて。感情をむき出しにしたライブだったように思う。いつもよりも難波が声でまくっていて、出しすぎて途中でへばっていたシーンすらあった。自分たちでも感情のコントロールができない、そんなライブだったんじゃなかろうか。
それぐらいHi-STANDARDにとってNOFXは大きな存在だった。ハイスタはNOFXにいたってはバンドとしての生き方そのものを教わってきた。PIZZA OF DEATHというレーベルが自分たちで運営するようになったのは完全にNOFXからの影響。Do It Yourselfという言葉を、真に受けすぎてやりすぎちゃったけど、今ならその言葉をちゃんと咀嚼してハイスタらしくできているんじゃないだろうか。いずれにしてもNOFXがいなければ今のハイスタは存在しない。
ダムドと対バンするなんてことも夢にもおもってなかっただろうけど(ハイスタはスタジオに入って初めて演奏した曲がThe DamnedのFishという曲)。あれだけお世話になった、NOFXが解散することなんて、バンドはいつか解散するとわかっていても、それでも夢にもおもってなかったと思う。
でも解散は訪れて、最後の来日には絶対にハイスタはその場にいるとNOFXに告げ、NOFXが父親のように喜んだのが2022年のこと。ハイスタが3人で決めたこと。まさか、その場にツネちゃんがいなくなってるだなんてことも夢にも思ってなかっただろう(もちろん思いたくもない)。
Hi-STANDARDは俺にいろんなことを教えてくれた。すんごいかっこつけた言い方すれば、どうやって生きたら、どうやって生きていくところを見せていけば、かっこいいのかを教えてくれた気になっている。ハイスタがやることなすこと、いちいちかっこよかった。
そしてそんなHi-STANDARDも、全部が全部自分で道を切り開いてきたわけではない。いろんな先人たちがいて、たくさんのひとたちに影響され、教わりながら、「まわりがこうだから、自分はここをいくんだ」と道を定めてきた。ハイスタは俺たちのヒーローかもしれないけど、始まりは俺たちと同じキッズでもあった。同じようにヒーローにあこがれるキッズで、そのヒーローの筆頭がNOFXだったんだ。
そんな、親であり、憧れであり、兄弟であり、仲間であるNOFXとの別れのライブ。そんなもん、感情だけで突っ走っていいじゃねぇか、こうやってNOFXに愛を叫べるのは最後なんだから、と言わんばかりのライブだった。
"WAIT FOR THE SUN"では相変わらずマイクが出てきて一緒に歌っていた。マイクに出てきてほしくてツアーでもきっと毎日やってたんだろうなって思った(まだツアーのセットリストはみてない)。"I'M A RAT"はほぼマイクが歌った。最後のアカペラっぽくなるところで、三人がじゃれあっているところで涙が出た。難波の上に本気で転がるマイク。重そうだった。その重さにウエッとなりつつ、これがマイクなんだよなぁと泣きそうになるなんちゃん。
"STAY GOLD"の前のMCがお決まりのようになってきていてあまりピンとこなくなっていたけど、この日だけはぶっささった。「闇にいるなら光を探せ。光がないなら自分で輝け」。これは、きっと今暗闇の中にいるハイスタ二人の心情そのものだ。先はなんもみえないかもしれない。NOFXのいない世界もすぐそこだ。だからこそ、輝くしかねぇんだ。この曲の中の"I won't forget when you said to me 'stay gold'"という歌詞が、マイクとハイスタの関係をそのままあらわしているようで、またぐっときた。
"BRAND NEW SUNSET"は明らかに別れを意識して。強い男だから泣かないんだ、という強がりの曲。1999年の夏をこのアルバムと一緒に生きたやつなら、"I won't cry, cry, cry Cause I'm tough boy"と自分に言い聞かせてきたことがあるんじゃないか。
そして"DEAR MY FRIEND"。この曲の最初のサビが終わったあと、一度ブレイクがはいる部分があり、難波が合いの手のように声をいれるところがある。俺はそこがすごい好きなんだけど、この日の難波は「ああああぁっ」と号泣に近い絶唱をした。この曲にいろんなもんが乗っかりすぎてるよね。震災後、AIR JAMをやるためにハイスタが集まって。そのときのAIR JAMのキーワードは「届け!!!」だった。このキーワードを考えたのはツネちゃんだったという。そしてこのキーワードとともに、天国にいる仲間たちに届くようにと演奏された"DEAR MY FRIEND"。震災後のハイスタのテーマソングのようでもあり、ツネちゃんが一番好きな曲と一度いったこともある。そのあと、ツネちゃんがなくなって。FRIENDに大事なひとがひとりのっかって。そして今日は、NOFXが。そりゃ"I won't say good-bye"の歌詞がぶっささるよなぁ。
最後"Turning Back"をねじこんだのは、「I Love NOFX OK!!!!!!!」を言いたいだけではなく、言葉にできないけど、ハイスタなりの「それでも俺たちはNOFXのこと待ってっから」っていう愛情表現だったと思う。
ツネがいなくてつらかったかもしれないけど、このステージはThe BONEZのZAXのサポートで成り立った。感謝してもしたりない。ハイスタの二人がNOFXを見送る舞台を本気でサポートしてくれてありがとう。もう正式メンバーでいいとおもうよ俺は!!!!!!
セットリストはこちら。
そしてラストはNOFX。
どう見たもんかな、と思っていたけど、登場からいつものNOFXそのまんまで、「あぁ、気負わずいつも通りNOFXを見ることが礼儀だ」と思い、なんかだらだらと見た。"Dinsaours Will Die"から始まるしすぐ"Leave It Alone"やら"Bob"やら、一番好きな"Stickin' In My Eyes"まで飛び出して体力もたねえよバカ!!って切れそうになりながら、だらだら見た。ずっとくだらないこと言いながらライブしてる姿が昔とかわんないし、何よりマイクがちゃんと太っていた。FAT MIKEは太っていてこそFAT MIKEである。太ったマイクがちょっと体ななめにして美しいメロディをNOFXにしかできない譜割で歌っていくのがかっこいいのである。あぁ、俺の好きなNOFXだ、好きな曲がどんどん続く、と思っていたらあっという間に終わろうとしてた。White TrashとSo Longのアルバム大好きおじさんなのでまさかやると思ってないような曲まで聞けてよろこんでたらもう最後の"Linoleum"だった。はえーよ!!
アンコールは"Champs Elysees"。「おおシャンゼリゼ」のカバー。ハイスタがいろんな音楽をカバーしたりしてたけど、カバーセンスも全部NOFXから教わったんだろうなと思っている。そしてNOFXのカバー最高傑作だと思っている。ハイスタとのつなぐ橋の一曲だと強く思っているので、どうしても最後に聞きたいなと思っていたのでうれしかった。そのあと、予想だにしてなかった"I'm so Sorry Tony"。同じ会場でトニーのトリビュートライブを見たことを思い出す。ハイスタをバックバンドにしてマイクが泣きながら歌ってたなぁ。
そして、ラストソングと告げられての一曲は"The Decline"。
NOFXのライブで一度も聞けたことがなかった曲。一度聞きたいとずっと願っていた曲。NOFXを好きだったら一度はそう思ったことがあるはず。なんせ1曲18分。この時間があれば4曲ぐらいほかの曲ができる。だからワンマンでもない限り聞けないだろうと思っていた。
この曲を聞いて、はじめて思う。
うまいな演奏wwwwwww今まであんま気づかなくてごめんねwwwww
あらゆる音楽性を詰め込んでNOFXというものが出来上がってることもわかる。スカ、レゲエ、なんでもある。それをすべてメロディックハードコアという形で30年間以上走り続けてきたその集大成を見ている。
後半にはハイスタのメンバーも出てきて一緒に演奏している。あぁ、やっぱり難ちゃんが泣いてる。名残惜しそうに演奏している。そしてマイクはお父さんのような優しい顔でみんなを見ながら、満足そうに歌っている。
バンドの終わりを決めるということは、とても決断力と体力がいることだ。そして終わると決めたことを、終わりまでやりきるということは相当な精神力も要する。バンドが終わるには理由があるし、バンドを続けられないから終わるのだ。その中、ラストツアーとして2年も世界を回り続けているんだ。すごすぎる。普通できない。
そのモチベーションはなんなんだろうと思ったけど、少しだけわかった気がした。
きっとマイクは、世界中にいる仲間たち、息子たち、全部ひっくるめたキッズに「いままでありがとな」を言いに会いに行ってるんだ。ここにいるハイスタという息子のように。世界中のキッズたちに。
なんてすがすがしい解散なんだろう。どこまでもかっこいいヒーローなんだな。
帰り際、今日のことを反芻しながらかえったけど、一番に思い出したのは、ハイスタのライブ中に、ケンくんがギターを変えるところでギターを渡したのがマイクだったシーンだった。その次に思い出したのは、マイクが愛しくてマイクの近くによって難波が演奏しにいったらマイクにハサミでベースの弦きられそうになってるシーンだった。最後まで愛すべきおバカでもあった。
かっけぇなぁ。こういう悪ふざけをしながら筋をとおすバカなおじさんたちにあこがれて俺はパンクロックを好きになったのだった。
パンクロック好きでよかったです。生き方を間違えてなかった、と思えた夜でした。
NOFXのセットリストはこちら。
ありがとうNOFX。10月のラストライブまで走り抜けられるように祈ってます。11月には再結成していいのでね。I won't say good-bye。この日のことを心にきざみながらこれからも聞いていきます。