家でお湯がでなくなり、風呂に入れない生活になってから10日ぐらいたった。毎日の生活のルーチンが大きく変わっている。仕事に行く日も、飲みに行く日も、在宅で働いて外に出る必要もない日も、夜には必ずどこかの銭湯やスパに行く。ご飯を食べるのも風呂ありきでいつどこで何をたべるかを設計するし、仕事の終わり時間なども全部風呂ありきで設計している。
せっかくだからいろんな風呂を楽しもうといろんなところをめぐって楽しんでいるわけだけど、好きな時間に入ってたのが、予定を組んで風呂に入りに行くっていう生活に変わるのはそれなりにストレスもあるもんだな、と気づいた。自分で思ったよりもしっかり追い詰められていて、こないだスーパー銭湯の入り口の自動ドアがあることも気づかず、ものすごい勢いで自動ドアに突進した。ドゴーンと音を立てて頭からつっこんで、すっかり店員とお客さんの注目を集め、俺はたんこぶを得た。これはもうだめだと判断して翌日は少し休みをとった。そんぐらいには生活のリズムが崩れてきている。
そんな生活も、一応めどがついて、2月の上旬(といってもあと10日ぐらいある)には片付く予定が見えた。いつなおるんだろうというのがきっと一番のストレスだったんだろう。めどが見えただけでかなりすっきりして、ゴールが見えた日はこれでもかってぐらい深く寝た。毎日眠りが浅くて、千代の富士の夢を見たり木星の夢を見たりしていたのがうそのように眠れた。これからは楽しんでいけそうです。
ということで、ずいぶん気持ちは切り替わり、しかも生活にも少しなれてきたのか、また最初の気持ちで風呂を楽しむ状況に戻っている。スーパー銭湯にそこそこ長い時間滞在できるときは幸せだ。風呂上りにラウンジのようなところでこれみよがしに爆睡をかますのが気持ちいい。もう寝過ごしてこのまま朝まで泊ってもいいとすら思う。
スーパー銭湯にいくと、風呂にもたくさん種類があるので風呂をまわるプランを立てるのも楽しみのひとつになる。温泉もあれば、炭酸水の風呂、露天もあるし、サウナや岩盤浴もある。
風呂のプランを考えるうえで、サウナが鬼門である。
まず先に断っておくけど俺はサウナが大好きである。ジムに毎週通っていたときは、レッスンが終わったあと、シャワーをあびて嫁さんと合流するんだけど、俺がサウナと水風呂を繰り返すので嫁さんを待たせていることがよくあった。どこにいってもサウナがあればサウナ中心でプランを考えていたもんだった。それがコロナ渦前ぐらいの出来事。
コロナ渦がきて、ジムに行く生活を一度やめた。コロナ渦で一番最初にジムでクラスターが発生したのはうちの通っていたジムの隣のジムだった。同じ駅、同じ市のジムということで、俺がかよっていたジムがクラスタになったんじゃないかといろんな人から心配されたもんだった。さすがにそんな状況で続けようとは思えなかった。ジムに行かなくなるとサウナにもいかなくなる。あんだけ好きだったサウナも、別にサウナだけが目当てでどこかに行くほどではなかったので、サウナとも遠ざかることになった。
久しぶりにサウナさんと再会したのは、2020年の夏ころだったか。コロナ渦で全然旅行もいけないし、夏フェスもなくなったので、せめてスパホテルでもいってゆっくりしようか、と嫁さんと計画して、結構いいスパホテルにいった。ひさしぶりにサウナで汗をながし、水風呂に入り、外気浴を堪能した。よく晴れた日で、露天風呂で日向ぼっこみたいなかたちでゆっくりできてとても気持ちよかった。
そしてそのスパには岩盤浴があるという。実はこのときまで俺は岩盤浴にいったことがなかった。存在はしってたし友達がはまってたのも見ていた。でも岩盤浴がある施設にたまたまいったことがなかったんだと思う。時間を予約したら岩盤浴にも行けるというのを見て、おっしゃいってみようぜーと嫁さんと約束し、気軽にいってみた。
ほわぁ。なんやこれは。きもちいい。
おそらくありし日の岩盤浴とはちがって、コロナ渦だったから友達と話したりみたいなことはできない静寂の空間だったけど。ゴロゴロしながらじんわり汗がでる。しかも体の芯からあったまる感覚がすごい。そしてあつすぎないから水風呂で冷やすみたいなこともしなくていい。だらーっとそのまま休憩して、風呂でもっかいシャワーで汗ながして、休憩所であとは寝てればいい。
一度岩盤浴を味わってしまってから、サウナというものに疑問をもつようになった。確かにサウナは気持ちいい。一瞬のドーパミンのような快楽でいえばサウナのほうが岩盤浴より上なんだけど。なんか、ここまでしなくてよくね?っていう気持ちに岩盤浴を知ったらなってしまった。
サウナというものの詳しい仕組みも医学的な仕組みもわからずにいうけれど、俺のイメージではサウナはかなりの高温の中に滞在することで、まずは皮膚の毛穴をぶわーっと開かせて、そのまま体の中まであっためる。そのあと水風呂に入ることで、皮膚を水でしめる。体内の内臓はあったまったまま、皮膚の毛穴を占めるイメージで、熱を閉じ込める。そしてその状態で外気浴でなじませる。そんなイメージでいる。
なんとなく理屈はわかる。でも、岩盤浴を経たあとだと、すんげー熱いところから冷たいところにいくのが、体への負担でかすぎねぇかこれ?って思うようになってきた。すんげーしんどいことを乗り越えたあとの気持ちよさみたいなもんでしかないんじゃないか、と思ってからは、なんかサウナもういいかな、、となっている。もちろん行けば行くで気持ちいいのはいいんだけど。健康な人じゃないとサウナはいけない。健康な人が、俺は健康だぜ!と寿命を縮めながらたしかめる快楽なんだな、と思うようになってしまった。すくなくとも今は岩盤浴のほうが圧倒的に体にもなじむ。
しかも何がいやって、なんか高温でゆでられて水で締めるというのが、つけめんみたいに思うのだ。俺はつけめんが大好きである。ラーメンより断然つけめん派。これを語らせたら長くなるのでこれはこれで別の機会に、と思うのだけど、つけめん好きたるもの、適切な締め加減というものに結構こだわりがある。
締めすぎちゃっても固くなりすぎてしまうので、麺の中にある適度なコシはのこしながらも、熱は全部とることで麺がのびるのを防ぎ、表面は完全に締め切って麺のコシをつくりあげる。
なんかサウナとやってることこれ同じじゃないか?なんで俺は麺になって、自分の最高のゆで加減と締め加減を調節しなければいけないんだ?「冬のつけめんは麺がよくしまってうまいんだけどスープがぬるくなっちゃうんだよね」「夏はつけめんたべたくなるけど水が冷たくないからあんまり麺がしまらなくて、ちょっとぐだった感じになっちゃうんだよなあ」。そんなつけめんに関して交わした言葉たちがサウナを見るたびに飛び交う。
俺、リラックスしにここにきてるんじゃなかったっけ?なんで調理人の気持ちになりながら、心臓への負担をちょっと心配しながら一瞬の快楽のためにがんばろうとしてるんだ?
ということで今はサウナとちょっと距離を置いている期間。サウナのこと、好きだよ。まだ元気にはいれるぐらいの健康さはあるよ。たまには入るよ。でも岩盤浴があればそれでいいよ。なんなら最近は炭酸水の風呂があるならそれだけでいいよ。炭酸水の風呂に10分つかるのが今自分に一番あってるよ。だれかいい炭酸風呂あるところおしえてください。
という特にオチもなんにもないつぶやきを経て、2/1の1曲を改めてお届けします。コーネリアスで「サウナ好きすぎ」です。