広島が誇る日本三景の一つといえば宮島。宮島口からフェリーに乗るのが有名なルートだけれども(うえののあなごめしも食べられるしね)それ以外にもいくつか航路があって、広島市内からも定期船が出ている。そのうちの一つで今は運行休止しているのが、観音マリーナと宮島を結ぶマリーナホップ宮島航路だ。残念ながら運航再開は現時点で未定らしい。この観音マリーナの横にはマリーナホップというショッピングモールがある。宮島の話をすると思わせて、このマリーナホップの話をする。
このマリーナホップ、実はもう来年(2025年)の12月1日に営業終了が決まっているんだな。すでに営業している店舗は減ってきていて、平日は正直ちょっとさみしい。瀬戸内海を望むロケーションはかなりいいと思う。どちらも小さいけれど、水族館と未就学児〜低学年の子が楽しめる遊園地があるのもポイントが高い。ただモールとしての本来の目的である「ショッピング」があんまりできない状態になっているので、営業終了もやむなし……かもしれない。もっとも定期借地権の問題らしいけどね。
たまたま最近平日に子どもを連れて行く機会があったんだけど、着いた時は正直雰囲気が「終わり」を感じさせるものだから、別の場所に連れていったほうがよかったかなと少し後悔もした。でも子どもはとても楽しかったみたいで、東京に帰ってきてからも「マリーナホップまた行きたい」と言う。実際昼にはうちと似たような年齢の子どもを連れたお客さんが増えて、和やかな空気が流れていた。で、私も今は「なんか楽しかったな……」という気持ちになっている。
マリーナホップができたのは平成後期。社会の老いのような、終わりのない「終わり」の感覚をまとわりつかせていたような時期は、そこを突き抜けた今になって、なんか楽しかったような気さえするんだよね。ノスタルジーとはあえて呼びたくない、文章にしがたいこれを、環境として実体化させたようなマリーナホップ。働いている人が明るくて親切だからか、背後に広がる海があまりにも綺麗だからか、思い出は静かなのに明度がやけに高いマリーナホップ。跡地には体験型のモビリティ施設を作ります……とのことだけれども、二度とこの感想は持てないのかもしれないね。
「また行きたい」を叶えてあげられるのはあと1年なので、その機会がありますようにの願をかけつつ、のるんじゃ券を取っておくのだった。(乗り物の子ども用スタンプカード。10個たまると1回ただで乗れる。期限はなし)