なんということのない、いつもの帰り道で、着ぐるみを脱いだ話

静かな喫茶店
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いらっしゃいませ。

今夜も静かな喫茶店を開店します。

少し、久しぶりですね。

変わりなくお過ごしでしょうか。

きのう、用事を済ませて帰宅する途中、家族とグループLINEで話していて、たまたま夫と同じ電車に乗っていることがわかりました。

違う場所で別のことをしていて、待ち合わせたわけでもないので、偶然です。

私が乗っている車両に夫がやってきて、一緒に電車を降り、家まで歩いて帰りました。

そのときに、何だかいつもと少し違う、素の自分で話せているような気がしたのです。

自宅にいるときや、家族で外出するときとは違う、ちょっとよそゆきな、それでいて無防備な感じで。

子どもと家にいるときは、どうしても「お母さん」「お父さん」の役割を果たさなきゃと思うことが多くなるし、二人で出かけても、一緒に家を出てまた同じ場所に帰ると、「妻」と「夫」であることから逸脱しにくい。

だけど、予期せず家の外で出会ったことで、お互いに、ふだん身にまとっている役割の着ぐるみが、うっかり脱げてしまったみたい。

「実は最近、こんな気持ちだった」という夫の言葉に、「そうだったの!」と驚いたり。

これまで歩いてきた道、これからゆく道のことを、車窓の景色を眺めるみたいな距離感で、ぽつぽつと話したり。

少し離れたところから、長い時間軸で自分たちを眺めているような、ちょっと不思議な時間。

人生には登り坂、下り坂、いろいろあるけど、ときどきこういう踊り場みたいなひとときがおとずれて、ほっと息がつけるようになっている。

そこから、また元気に歩いていけるのだと思うのです。

「ただいま」とドアを開けたら子どもらが待っていて、自動的にお父さんとお母さんの顔に戻る。

だけど今日の、なんということのない帰り道のことは、きっとずっと覚えているんじゃないかな、という気がします。

とりとめのない話になりました。

明日から寒くなるようです。

あたたかくして、どうぞゆっくりお休みください。

@biscuitmilk
ようこそお越しくださいました。 あたたかいお茶をどうぞ。 本もだんだん増やしていきます。 好きなだけ、ゆっくりしていってくださいね。