「デザイナーの評価」と概念の構成要素

Blue Regret
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公開:2025/4/2

何でも因数分解するとその外見・真相が見えて来るので一旦このテーマに関しても因数分解してみることにする

【デザイナーのアウトカムを評価する事はできない】と言う一般解がある。デザインのアウトプットと売上・利益の間には相当な距離がある為、その因果関係を立証しデザイナーのアウトプットやアウトカムを正しく評価する事はできない。やろうとすると膨大な時間がかかる上、結局できない。エンジニアやPdMの評価もデザイナーのそれと同様、正しく評価する事はできない。彼らのアウトプットと売上・利益を結び付けて評価する事はできない事を前提に評価システムを設計する必要がある。つまり、デザインアウトプット(中間生成物)で評価するしかない。そしてそのアウトプットを評価できる人は、専門性を備えた人のみである。例えば、非エンジニアがエンジニアのアウトプットを評価してしまうとそこには納得感は生まれず、評価の解釈が分かれてしまう(結果、軋轢が生じてしまう)。つまり、エンジニアがエンジニアの評価を行う必要がある。し、そもそも非エンジニアもエンジニアの評価をしたいとは思ってない。つまり、開発レイヤーに関しては、アウトカムで評価できない以上、各セクションに専門性を備えた人材を配置し、その人達に評価機能を委ねる形しかないと私は考えている

【誰が評価するのか?評価者の視点の差異】についても考えておく必要がある。従来の評価者はデザインマネージャーと言う役職だった。が、昨今、別の機能に代替されつつある。「事業部サイドのTop」である。デザインマネージャーと言う(謎の)役職が廃止され、事業部のTopがデザイナーの評価を担うようになると、評価の視点は「デザイン組織にどれだけコミットしたか?」ではなく「あなた(デザイナー)の活動及びアウトプットは、どの程度、売上に寄与したのか?」にシフトすることになる。つまり、売上や事業貢献とデザインを結び付けて語る事ができないデザイナーは退場を余儀なくされ居場所を失ってしまう。デザイナーのアウトカムを評価する事はできない。つまり、(何度も言うように)アウトプットで評価するしかない訳だが、その場合に事業部サイドはデザインアウトプットの意味を理解する事ができない(彼らはデザイナーではないので、デザインの知見が皆無)。デザインが分からない人にデザインの事を理解して貰う、尚且つ評価して貰う為の新たなスキームが必要となる

【デザインの前段階が評価対象に入る】ようになってきている。事業部サイドがデザイナーを評価するとなった時に、彼らはデザイナーに何を期待し何を評価するのだろう?それはデザインのクオリティや見た目ではない。デザインの前段階のプロトタイピングやファシリテーション能力である。彼らの頭の中にある未だ固まり切っていない要件を可視化し、要件の抜け漏れに気付かせてくれる人。一緒に要件を考えてくれる人の価値が高まっている。その時に必要となる能力は、プロトタイピング能力、ファシリテーション能力、ヒアリング能力である

【事業ドメインへの深い理解】がないと事業部サイドとの会話が成立せず、噛み合わず、デザインを進める事はできない。事業部サイドは、デザイナーが事業ドメインを理解していると思って接して来る。その際にドメインの事を理解していないと双方の間にギャップが生まれ、その時点でコミュニケーションは停滞する。また、丁寧にリサーチしドメイン知識を身に付ける時間もない。このコンテキストで要求されるのは、従来のリサーチ能力ではなく、複雑な事案を抽象化し理解する能力。事業ドメインの抽象レイヤーを理解する事ができれば、会話は成立する。昨今の事業ドメインの領域はどれも相当難しい。デスクリサーチして理解できるレベルの領域は殆ど残っていない

【ドメインエキスパートとの関係性】が肝になる。従来型の「先ずはリサーチを行い、ユーザーの事を理解し同時にドメインの理解も深めつつ、PdMの業務の一部を担う」と言う役割分担から「既に答えを持っている人と共に要件を可視化し、モックアップを作りその人と共にソリューション検証を行う形式」にシフトしてきている。従来型のPdMと共にユーザー・ドメインの理解していくスタイルはもう古い。既にドメインの事が分かっている人、つまりリサーチせずに答えを導き出せる人を中心に開発を進めていくスタイルが主流になりつつある。その際に、ドメインエキスパートへのヒアリングやワークショップが肝になる

以上、掲題の件に関することを言語化してみた

浮かび上がってきたキーワードは、「アウトプットとアウトカムの関係性」「事業部サイドの評価視点」「要件の可視化」「事業ドメインの理解」。これらの軸が評価軸に含まれる事になる

@blackblue
日々の出来事や人と話して知ったことを書こうと思う。