■書き起こし
ガラクシアのALO的な樹木がある地帯の、外にユージオとキリトが立っている。
ユ「こうやってキリトと二人でのんびり話をするのは久しぶりだね」
「久しぶり」ということは、任務では別行動、サブクエはアルゴがいたのでノーカンという感じ?
キ「そうだな。……修剣学院以来、か?」
「……」は、ためらいが表現されているような気がする。
ユ「そうだと思う。ついこの間のような、でもずいぶん前だったような、不思議な感じだ」
ユはどこから召喚された? アドミンを知っている(そして怒りを覚える)ということは、(記憶があやふやだが)シンセサイズされたのは確定?だが、ソードゴーレムは見たことがないということは、キリトと99Fで戦う前なのだろうか?あるいは、二人を氷漬けにして一人で戻ってアドミンと対峙したところからだろうか。そこで初めて、アリスが強制シンセサイズされたことを知って怒っているので。
キ「ああ……」
何重にも意味が取れそうな声の出し方している。
ユ「ねえキリト、覚えてるかい? 僕達が初めて会った時のこと」
キ「もちろん。忘れようたって、忘れられないよ」
キリト笑いながら。ユージオも目を細めている。
ユ「≪ギガスシダー≫を切っている僕の前にいきなり現れて……。あの時はびっくりしたよ」
キ「俺だって驚いたさ。あんなデカい木を、一人で切ってるんだから」
ユ「あの時は《刻み手》が僕の天職だったからね。それから、すぐに果ての山脈に行って、ザッカリアに行って……」
キ「剣術試験を受けて、修剣学院に入学して。考えてみれば色々あったよな」
(まあ、ここらへんは原作・アニメを回想しているだけ)
キ「でも、どうしたんだ。いきなり昔話なんかして。まだ昔を懐かしむって年でもないだろ?」
ユ「はは、どうしてだろうね。
もしかしたら、今回と同じだなって思ったからかも」
「どうしてだろうね」→ユはほんとはここで別のことを言い出したかった可能性がある?自分の未来に実は薄々感づいているとか思い出しているとか。
キ「同じ?」
ユ「ここに来てから、色んな世界に行って、色んな人に出会って……。
戦わなければいけない相手もいたけど、仲間も増えた」
ユ「そして、隣にはいつも君がいた」
→原作ではキリトとユージオ(とアリス)は雲上庭園で別れており、キリトも後にあれが俺達の道が別れた場所だったのかもしれないと回想している。そして、ユージオは、あの時、幼い頃のトラウマ(アリスとキリトを同時に失い、一人ぼっちになる)の再現を体験している。だから、隣にはいつも君はいなかった。最後、ユージオは一人で戦わなければならなかった。つまり、「今回」=ガラクシアの暴走に巻き込まれたことと「同じ」というのは、カセドラル戦の80Fでアリスと戦う前のところまでのどこかを示唆していると思われる。
キ「ユージオ……」
ユ「楽しかった、なんて言ったら不謹慎かもしれないけど……、でも僕は楽しかったよ」
キ「俺もだよ。ユージオ、お前と一緒に戦えて楽しかった」
ユ「うん」
ユ「それにしても、ここにいる魔獣には驚いたよ。あの、水の中にいた、大きい……」
クラーケンはたこだよな。UWにもたこくらいはいるのでは?カニはいるし。
キ「クラーケンか。確かにあれは驚いたな」
ユ「整合騎士の乗る飛竜だって、あんなに大きくはないからね。それと戦うみんなの武器も、個性的だった」
キ「ああ、シノンやレンたちの使ってる銃だな。あっちに銃器は存在しないから」
ユ「ほかにも、いろいろ見られて、刺激的だったよ。
……アドミニストレータがいたのは、複雑だったけどね」
なぜアドミニストレータ個人に対して、あんなに瞬間的にカッとなるような、そしてずっと引きずるほどの感情を抱いているのか?→だからどこ時点のユージオなのか?
キ「アドミニストレータも、今回は協力的だったんだ。他にも友好的とは言えない相手もいたけど……」
ここでもさらっと深いところに触れないでおこうという返し方をしているように見える。
ユ「そう、そこだよキリト。僕はそこが心配なんだ」
キ「心配って?」
ユ「キリトには、確かに仲間がたくさんいる。みんな信頼が置ける、いい人たちだと思う」
ユ「でも、それと同じくらい、キリトをよく思っていない人間もいるじゃないか。アドミニストレータだけじゃなく、あの死銃って人や、オベイロンも……」
→キリトとアドミニストレータが(実際に)対立関係にあるということを知っている。ということは、やはりアドミニストレータと会ったことがあるユージオ?
キ「まあ、確かにそれは……」
ユ「はぁ。
どうせ、修剣学院の時みたいに無茶ばっかりしてたんだろう?」
ユージオ、キリトに詰め寄る。
キ「いや、確かに敵対してた奴もいるけど、別にそれは俺のせいじゃなくてだな……」
ユ「僕がいないとキリトはすぐに暴走するんだから。
心配だよ、まったく」
ユージオ君、腕組み。
キ「おいおいユージオ。ずいぶん子供扱いしてくれるじゃないか。
(冗談に返す感じの少し強めの口調で)
別にお前がいなくったって、俺は立派にやっていけるよ」
ユ「どうだろうね。
キリトって、そこら辺は信用ならないからなあ」
キ「そもそも、ユージオが慎重すぎるんだよ。
俺のは勇気があるって言ってくれ」
(ユージオ、腰に腕をあてて)
ユ「蛮勇、って言葉を知ってるかい、キリト?
寮を抜け出して蜂蜜パイを買いに行くのを、勇気とは呼ばないと思うよ」
キ「その蜂蜜パイ、ちゃっかりいつも食べてたくせに」
(キリトも腕組み、ジロ目)
ユ「僕が食べないと、キリトが食べ過ぎるからね
食べ過ぎはよくないだろう?」
じー。
キ「……くっ、ふふふ」
ユ「……ははっ」
キ「ま、とにかく、みんなの所に行こうか。
そろそろ、打ち上げが始まる頃だ」
ユ「ああ、そうだね」
というのが、個別エンディングの一連の会話です。
■ユージオはどこの時点からやってきた?
FDでユージオを見た時のキリトは尋常な様子ではありませんでした。
だから、ユージオが既に死んだことをはっきりと認識しています。
アンダーワールドから飛んできた人間として
・カーディナル →アリスの大穴を塞いで、今すぐ息絶えるところで記憶がここに飛んだ。
・アドミン →キリトとの激闘の最中。やっぱり私は死んだのね。
・シャーロット カーディナルと同じなら、死亡直前。
だと思うのですが、ユージオだけ、どの時点から記憶を持っていて、というのがはっきりしないのですよね。
セントラル・カセドラルでの激闘のシーンは、階数を追うごとにどんどん状況が移り変わっていくし、本人の思考も深まっていくので、一体どこなのか教えてほしいと思っています。
■そのセリフ、どういう意図で発した?
私が初見で見て、すごく驚いたのがキリトのセリフで
「別にお前がいなくったって、俺は立派にやっていけるよ」
と言ったところです。口調もあいまってかもしれない。
うっそー!ユナリンでお前さんあんなにゆーじおゆーじおゆーじお…やんけ!!と思いませんでしたか?
だって、ユナリンにユージオいないんだぞ。それなのにユージオって単語どれだけ出てくると…(笑)
強力な心意がわずかな血を見ただけで、ぶれるほどだぞ。
とか、頭の中がユージオふにゅにゅにゅじゃん!って思うんですけど、この原作準拠FDキリトさんは違うんですかね。
このFDでも、フウカがネージュを失ったことについて
フウカ「むしろ、誰かが罰してくれた方が気が楽なんですけどね」
キリト「フウカが罰を受けたところで何も変わらないし、ネージュも戻ってこない」
フウカ「……」
キリト「でも、君だってそんなことは、理解してるよな。後悔や罪悪感が、どうやっても処理しきれないだけで」
「わかるよ……なんて、軽々しく言うつもりはないけど……」
「あのときああしていれば、こうしていればっていう思いは、多分この先、ずっとずっと消えないぜ」
って言う会話しているんです。(そのあとに個別エンディング)
この「あのときああしていれば、こうしていればっていう思いは、多分この先、ずっとずっと消えないぜ」というのは、アインクラッドでのサチや黒猫団、ラフコフ討伐戦での殺人や、そしてユージオを失ったことなどが含まれると思います。
つまり、キリトは悔恨の思いを抱えている。
だけど、ユージオに「お前、死んでるんだぜ」とはとても言えない(し、みんな黙っている)ので、あえて、冗談めかしてお前がいなくたって何とかやっていくからさ(=心配かけさせたくないし、強がり)みたいなことなのかな?と無理やり納得させた思ったのですが、どうにもおさまりが悪いような気がして。
■認識の土台の曖昧さ
あと、このガラクシアという世界は容易に人の思いで認識が変わってしまう不安定な世界なんですよね。だから敵味方入り乱れても団体行動していたほうがいいというのがカーディナルの提案であり、デス・ガンやオベイロンも受け入れた。
ということは、エイジの認識汚染だけでなく、他にも認識汚染が起こっている人がいてもおかしくないし、認識汚染とまでいかなくても、一緒にいるから記憶が影響を受ける可能性がありうるということですよね。
だとしたら、ユージオが死んだことを知っている、キリト、アリス、(アスナ)、カーディナル、アドミンが黙っていたとしても、なんらかの影響をユージオ本人に及ぼすのでは?と思いました。
あと、カーディナルとアリスは、カーディナルがそもそも生きていないことをはっきりと会話で話しています。
ユウキとアスナも二人きりでそのことに触れようとして、ユウキは認識したようなそぶりがあり、だが、今ここで一緒にいることが大事じゃないかというようなことをいいます。
エイジとユナは言わずもがなです。
ヒースクリフについては、まあ、別枠というか。
で、ユージオとキリト達だけが、そこを曖昧にしているのは、意味があってのことなのでしょうか。例えば、今後の追加コンテンツ的になにかあるからなのか、原作との齟齬が出てくるからだとか、何らかの理由があるからなのか、知りたいと思いました。