全が大学二年生、恵一が大学三年生くらいのとき、あーこのままの人間関係が大学生の間ずっと続くんだろうし俺ってこのまま彼女できないまま大学卒業するなって恵一がふと思う。
えー大学になったら彼女って勝手にできるんだと思ってた、けど無理だったな。でも童貞捨ててえ~~~……ていうかあいつっていつまで俺に飽きねえの? いや一生飽きねえんだろうな。てことはあいつもずっと童貞ってこと? イケメン様が童貞ならまあ俺も許されるか……。
そんなある日、全が同じバイト先の肉食系の女性にお持ち帰りされるところを見る。恵一は全が声をかけられているところを見て、さすがに口もはさめないし、まあ全ならいいタイミングで断るだろと思っていたらそのまま二人が姿を消してしまって、めちゃくちゃ戸惑う。
え、ていうかよく考えたら好きじゃない相手でも童貞捨てるだけなら簡単にできるくね? あいつに先越されんのマジ? いやスペック的にそれが仕方ないのは分かるけど……でも高校のときとか散々俺の邪魔してきたのはあいつじゃん。なのに俺より先に童貞捨てるのは、さすがに、許されねえだろ。でもいまから俺どうやって童貞捨てんだよ。ナンパ? 無理無理。アプリ? 課金とか嫌だしあんなんイケメンしか出会えねえだろ。風俗? でも本番できるとこどうやって行きゃいいのかもわかんねえし、てか素人童貞って余計にダサくね?? ええーーー……????
次の日に全に聞いたら、「あーちょっと聞いときたい話あっただけなのになんか変な方に乗り気でさあ。適当に逃げた~。あ、でもなんかすごい囲い込まれてて。誘い断るなら他の人に俺に乱暴されたって言うとか。めんどいから適当にすませちゃおうかと思ったけど……あ、いや、でもしなかったからね!? 俺恵くんが好きだもん 好きな人以外となんてよっぽどのことなきゃしたくないし」って言われる。
よっぽどのことあったらやるわけ??????????????? 俺より先に??????????????????????????????
ていうかさ 全ならいれさせてくれんじゃね
「お前って俺のことまだ好きだよな。」
「え? うん もちろん! なんで~?」
「んー……あのさあ、お前童貞だよな。」
「え……あ、はい……(だって恵くんがさせてくれないので……)。」
「俺に先にさせてくれるならさあ、いいよ。」
「…………ん?」
「だから、童貞、俺に先に捨てさせてくれんなら、付き合ってもいいよ。」
「、」
「うおっなに??急にへたり込んでどした??」
「ぅえ……?? 恵くん俺と付き合ってくれんの……????」
「あ? だから先に俺が………、」
「いいよ!!!!!!!!!!!!!! なんでもいい。付き合えるの? しかも両方させてくれんの。付き合う。付き合いたいです。お願いします。」
「あ、そう。まあ流石に俺だけってのはずるいだろ。いいならいいや、付き合うか。」
「恵くん……だいすき……。えっもしかして恵くんも俺のこと、す、すき……?」
「あーまあまあ。でもそういう意味では『ない』。」
「ぁ……で、でも付き合ってくれるんだよね!?」
「うん。」
「うれしい、ありがとう、だいすき、しあわせ……。」
「うわー泣いてる。こええよ……。」