なぜこの記事を書こうかと思ったのか
これまで自動化や効率化を色々やってきて、慣れも含めてかなりの速度で動画を作ることができるようになってきました。しかし、具体的な手順・手法・素材の作り方保存の仕方などを一つの流れとしてテキストに表したことはありませんでした。
私事で居住環境が変わる予定なので、慣れないという言い訳をして動画投稿の頻度を落とす可能性がありました。なので、動画投稿の頻度や動画作成にかける時間を無駄に増やすことのないように、ドキュメントとして残しておきます。
作成フロー
まず最初に、一連のレビュー動画作成の流れを書いていきます。
デバイスの調査
興味があれば提供か自腹購入(この場合は5に飛ぶ)
提供を求めるメールを作成・送信
メールでのやり取りを行い居住地に配送してもらう
商品到着
実機使用
使った感想をまとめる
スペックなど仕様を調べ、まとめる(場合によっては提供元に聞く)
台本をGoogleスプレッドシートに書く
VOICEVOXで調声する
台本の内容に応じてデバイスの外観と使用状況を撮影する
DavinciResolveで撮影データの色味を調整する
YMM4で編集する
手順が多いですが、分けるとしたらこれくらいが最低限のものになります。基本的にはこの流れに沿って作業を行うのが理想です。しかし、あとから台本の内容に間違いがあったり、追加で必要となる動画素材があったり、8~12の段階がグダりがちです。なのでその大本となる台本を作成するときは、なるべ必要となる動画素材が明確になるような台本を心掛けた方がよいです。
デバイスの調査
これは特に言うことはありません。安いのに性能が高いもの、高くても値段のわりに性能が高いもの、妙に惹かれるワンポイントのあるものに私は興味を持ちます。Twitterやブログ、Youtubeで流れてくるものや通販の関連商品を伝って見つけるものもあります。なんとなくSNSを見るのではなく、好奇心を持って探せば困ることはないでしょう。
興味があれば提供か自腹購入
実際に手に入れるステップです。普段私がレビューしているものは安いと数百円、高くても数万円が限度です。なので基本的には価格コムや基本的な通販サイトを眺めて最も安いところから購入しています。メインはヤフーと楽天とAmazonです。流通が多い商品はメルカリで購入する方が安上がりなこともあります。
提供についてですが、これはものによります。パターンとしては
メールで提供を持ちかけられる興味深い製品
欲しいけど値段が高いから無料提供してほしい製品
比較したいけど自分で複数買う理由が薄い製品
の三つが挙げられます。数百人規模のチャンネルでも提供依頼は案外来ますが、全く興味がなかったりジャンルが違う製品は断っています。基本的には自腹購入した方がいいです。元から購入するつもりの製品を発売前に提供してもらえることもあるので、そういう時は甘んじて受け入れています。提供を受けるか受けないかは好みです。なるべく提供が連続するのは視聴者が嫌がるので避けましょう。
メールでのやり取りを行い居住地に配送してもらう
提供してもらった場合のパターンです。これまではメールで発送したと言われてから1週間から3週間くらいかかるものが多いです。担当者さんの仕事の早さによるところが大きいので、すぐに届くと思わない方がよいです。レビューまでの期間もある程度相談できますし。
商品到着
到着して開封するときは動画を取っておきましょう。適当でもいいので開封したときの状況が分かる資料があると台本の内容を膨らませることができますし、梱包が酷かったり過剰な時はネタにできます。
実機使用
開封してからは実際に1週間以上は使い込みます。たまに興味を持って買ったくせに使うのが苦痛になるデバイスもありますが、そこは耐えましょう。耐えたことも良い感想になります。ここで概ね感想や使い込んだ時の不具合なんかを形成し、余裕があれば台本スプレッドシートの片隅に記録しておくと台本作成の時まとめる時間が少なくて済みます。
使わないで感想を考えるのだけは絶対にやめましょう。ある程度同じような製品を触り続けるとスペックだけでほとんど台本を作れますが、それでも実際に使用してこそ分かる感触は多いです。私の動画は感想の比重が大きいので、必ず数十時間か1週間以上は使用することにしています。
使った感想をまとめる
使い込んだら感想をまとめます。とにかく適当に書きなぐり、それをChatGPTに投げて要約してもらいます。不明瞭なところはここではっきりさせ、良い点や悪い点など、複数の要素で内容を分けるように指示すると感想パートの作成がはかどります。いつ見てもすぐ内容が分かるように箇条書きでまとめてもらうのが良いです。
スペックなど仕様を調べ、まとめる(場合によっては提供元に聞く)
意外と辛いパートです。ほとんどの場合においてスペックというのは見られません。特にマウスだとバッテリーや対応ポーリングレート、サイズくらいです。メーカーによって同じものでも表記の順番・書き方・算出方法が違うので場合に応じてまとめましょう。マウスであれば一定の仕様があるので、テンプレートとしてまとめておき、都度書き込める状態にしておけばかかるストレスが小さく済みます。
提供元に聞く場合はメールで、なるべく初期不良や相手の不備を突くような表現は避けましょう。そして返信をもらったらすぐにお礼のメールを送りましょう。私の場合、海外の人とのやりとりが多いので上手く意図が伝わらないことも多く、すれ違いますがヤケにならず返信しましょう。
担当の人はほとんどの場合、技術的な知識はありません。一般向けの仕様書に書かれていない仕様などの質問をしてもそもそも知らないか、言えなかったりするのであんまり期待しない方がよいでしょう。
台本をGoogleスプレッドシートに書く
テンプレートがあるのでそれに入力していきます。マウスなどいつもレビューしているものであればテンプレそのままでもよいのですが、そうでない場合は一から構成をノートに書いて脳内で大まかな流れや言いたいことを考えて、書き起こしていきます。これは紙に書くほうがスムーズで楽です。
ここで書いたものに従って素材も用意する必要があるので、ここはなるべく一発でそれなりのものを用意できるように時間をたっぷり使います。効率よりも正確さや網羅性、違和感がないように校正も余裕をもって行います。
VOICEVOXで調声する
まんまです。CSVファイルをダウンロードし、それをテキストファイルに先ほどの台本をまとめて、それを読み込みます。一度CSVファイルとしてダウンロードするのは、カンマの形式がCSVのものでないとVOICEVOXが読み込めないからです。
読み込んだ後はマクロを使用してプリセットを全て適用します。大体5分くらいで適用はできるので、その間ニコニコ等で時間を潰しましょう。
調整は主にアクセントの調整とセリフ間の調整です。アクセントは意外にもアナウンサーなどの方もおかしくなることがありますが、極力違和感を覚えるようなところは修正すべきです。集中力を要する作業なので、なるべく昼間や意識がはっきりしているときに行うことをおススメします。セリフ間調整はAKP153やマクロを設定したテンキーを使用します。だいたい0秒か0.1秒にセリフ前後の無音時間を調整してやればテンポはそれなりになります。もっとこだわれば0.05秒とか0.2秒も使用すべきですが、時間がかかるので今は省略しています。余裕があればやってもいいですが、他に時間を費やした方が動画全体の質は上がると思います。
調声が終わったらYMM4の監視機能を使って出力と同時にYMM4のタイムラインに投げ込みます。ここではプログラムを使うのが楽ですが、詳しくは別の機会に。
台本の内容に応じてデバイスの外観と使用状況を撮影する
外観8方向を真横と上から撮影するのはマストです。追加で台本の内容に沿ったもの・実際に使用しているもの・俯瞰と下から見た角度で撮影を行います。ここでサボらずたくさんの素材を用意しておくと、後でかなり楽になります。
と言いましたが、最近は動画素材の割合を増やす方向に動いています(2024/05/13)動画素材の良い点は、流しているだけでそれなりの映像になるため編集作業が非常に楽になります。背景として透過させてもいいですし。追記終わり。
動画自体は全然できていない段階ですが、台本と動画素材を用意するステップに時間を使えば使うほど編集作業は楽になる傾向があります。
DavinciResolveで撮影データの色味を調整する
色の統一は意識しなくてもよいです。カメラもスマホのものですし。ただしミッドを上げて手の毛穴がぼやけるようにし、明るさも白飛びがしない程度ギリギリまで上げます。それ以外はしなくてもよいです。4K動画もここでフルHDのmov形式に変換します。
YMM4で編集する
最終工程です。
チャプターごとにセリフを分ける
ずんだもんのセリフの末尾をめたんのものに長さを合わせる
背景等のテンプレを配置する
セリフの内容に沿って画像と動画を配置する
それのサイズや明るさと位置を調整する
内容に合ったテキストを適当でいいから配置する
テキストの微調整
チャプターの分割と調整
小さなテキストの追加
トランジションエフェクトの追加
だいたいこういう流れで作っていきます。動画素材を投げ込む段階で足りないことに気づくことが殆どです。一番大事なのは
それぞれの工程を一度はやりきる
ということです。動画と画像を入れるなら動画の冒頭からラストまで、テキストを入れるなら冒頭から最後まで…といった風に、一つの作業は最後までやり切ることが大事です。これを徹底するほど作業時間を減らすことができます。
これをやる理由としては、作業をどこまでやったのかということが目に見えて分かりやすくなること、作業を終えるたびに動画として作られていくのが分かりやすいこと、タスクの切り替えが減って集中力が持ちやすいことが挙げられます。これに関してはレビュー動画以外でも徹底すべきで、最初から全力で全部編集…というスタイルだと全然編集が終わらず、モチベを保てなくなり動画投稿を辞める危険性が上がります。動画投稿を辞めてしまう人はこのスタイルの人が多いです、知らないけど。それくらい作業段階を分けてやりきるというのは大事です。
別に段階ごとに完璧にやり切る必要はありません。あとから修正しやすいのが動画編集のメリットでもありますし、良い動画を作る上で修正や細かな表現の追加はクオリティを上げます。しかし定期的に、効率的に動画を作る上でモチベを保つのは非常に大事です。
また、これをやり切る上でもう一つ大事なことは妥協するということです(自戒)。
妥協大事
マジで妥協しましょう。動画を作っていると台本を作り直したくなったり、細かい表現を追加したくなったり、後から修正するには大変だけどどうしても直したい箇所というのが出てきます。どういったテキストを追加するとか、どういう登場のさせ方をするとか、とにかくたくさんです。
でも全て修正していたら10分の動画に100時間とかかける羽目になります。さすがに全部やるのは体力的にも気力的にも保たないので100時間かけたことはありませんが、通常の数倍の70時間くらいを1つの動画に費やしたことがあります。そこまでかけても視聴者さんの反応は平均以下だったりします。心が折れますね。
仕事なら別ですが、個人で行う趣味の動画投稿における妥協は必要不可欠です。時間を掛けられるなら妥協を減らすべきですが、そうでないのなら妥協は積極的に行いましょう。
妥協は大事(二回目)
本当に大事なので二度書きます。世の中の仕事ができない問題は、タスクに取り掛かれないか知識不足がほとんどです。いや、他にもあるんでしょうけどタスクをやらない人は結構多いと思います。自称ADHDが氾濫していることからも読み取れるように、タスクに取り掛かれないような不甲斐ない自分に憤る人は多いのでしょう。
動画は投稿して初めて価値が生まれます。どこまでいっても承認欲求を満たすものには違いありません。承認欲求にはふたもなければ底もないのです。存分に妥協し、些細な反応な違いのためにリソースを浪費する前に、動画完成というゴールに到達することで自己の成長を感じられるようになりましょう。承認欲求はそのあとです。
これを理解していないと、動画作成が嫌になって動画投稿を辞めるか承認欲求メンヘラが完成します。それだけは避けましょう。とにかく手を動かして完成させることが大事です。もちろん人によりますが、少なくともこれを書いている私の性質は完璧主義で回避傾向が強いので、未来の自分のためにも念押ししておきます。
台本を書く際の注意点
ちょっと詰まったのでメモ。ボイボの仕様上辞書登録が面倒なので、固有名詞の表記は統一しましょう。大文字小文字とかね。スプレッドシートの機能にだいぶ使いやすい検索と置換があるのでそれ使えば数分で終わります。
終わりに
今回はドキュメントが大事だという話を読んだので、おままごとレベルのものですが書かせていただきました。とにかく妥協が大事です。当然新しいものを取り入れ続けてこそではあるのですが、モチベが下がる前に妥協してでも作業を進めることが必要になります。今回はそれを常に意識できるように書いたまでありますね。
追加で動画編集のコツとか、テンプレートの重要性とか用意の仕方とか、スケジュールの再確認なんかを追加して逝ければなと思います。これ以上やるならGithubとかでWiki風なものを作成した方がよいように思いますが…よく分かっていないのですよね。プログラマ崩れなので未だに抵抗があります。これも完璧主義の回避傾向がよく表れていますね。とはいえこういうのは妥協した結果Githubのアカウントが無限に増殖してしまうので、この記事が膨らんできたら移行を本格的に考えていきましょうかね。
それではここまで書いた自分、読んでいる未来の自分。