https://www.amazon.co.jp/dp/4296204262
サクッと読める内容だった。全体的に AI 関連のニュースを追いかけている人には New な情報は少ないが、こうやって改めてまとめてもらえると「確かにそうだよな」と思うところも多い。AI がもたらす変化に対して、自分の感覚を確からしいものにするためには役立つ書籍だと思う。
第 2 章:成功する生成 AI 事業/プロダクトの作り方
本題とは全く関係ないが、仮説検証のための手法として Javelin Board が紹介されており、これは大変参考になった。
また 既存サービスに生成 AI を組み込む = ほとんどの場合、サービスに Copilot 機能を埋め込むことを意味する というのも、確かにと改めて思った。そのため、サービスのコア機能かつ難易度が高いタスクを特定し、Copilot で補助するのが効果的だろう。
生成 AI の 7 つの「本質的価値」
コンテンツの創造コストを限りなくゼロにする
システムによる限りなく自然な対話の実現
非構造化データのベクトル化による柔軟な処理
コンテンツのマルチモーダル化
高単価専門知識の民主化
言語障壁の軽減
新たなインプット手法の実現
これはあまり特殊なことは言ってないが、改めて「コンテンツのマルチモーダル化」が既に一定の価値を生み出していることを認識。代表的なサービスは Synthesia で、品質面の懸念から社内研修やセールスイネーブルメントに用途を絞っているようだが、それでも十分に活用されているようだ。
第 3 章:生成 AI 時代の各業界・社会全体の変化
だいたい「そうだよね」なのだが、メディア業界については改めてなかなか難しい時代に突入していると感じた。
現状は記事のパーソナライズによる配信が増えているが、生成 AI 時代には 記事の内容すらユーザーごとに自動生成される ようになっていく。一方、それによって「AI フィルターバブル」が深刻化し、メディアには「偶発性」が求められるようになる。つまり世間的には「偶発性」が希少化するため、1 つのニュースに対して右派左派両面の見方を提供したり、情報摂取の偏りを是正してくれるサービスが求められる可能性がある。また、フェイクニュースが増えて、これまで以上に「誰が発信者か」が重要になってくる。
と言うは易しで、つまるところコンテンツの生成コストがどんどん低下し、単独メディアの権威性や信頼性は確実に失われてゆく。そしてユーザーが、必要なコンテンツを AI 補助によって簡単に摂取できるようになっていく。ユーザーの側にメディアの主体が移動する、と言っても良いかもしれない。そんな中で、メディアはこれからどうやって報道を続けるための収益を確保していくのだろうか。
第 4 章:生成 AI サービスにおける UX デザインのポイント
生成 AI サービスは既存サービスと比べて継続率が低い、というのは言われてみると成る程、と思った。まだ多くの人々が使いやすいサービスにはなっていないのだ。
具体例として Wix が紹介されているが、特に品質が重視される実務利用においては、単一の生成結果ではなく複数の選択肢を表示するのは有効なテクニックだろう。
第 6 章:生成 AI の業務活用テクニック
冒頭に「あなたのプロンプトスキルをチェック」みたいな項目があるのだが、自分が全然活用できていないなと改めて。というか、大事なときはしっかりとしたプロンプトを書くのだが、例えばプレゼン資料の壁打ちやお悩み相談みたいなときは適当に書きがちである。
ざっくり書くと、以下は私が面倒くさがって書かない重要なテクニックである。
冒頭で役割を定義する
アウトプットを繰り返し自己改善させる
良いアウトプットの基準を明示する
が、まぁ面倒くさいのだよな・・・。こういったプロンプトの入力を求める GPT をあらかじめ作っておくか、何かしらテンプレのようなものを自分で用意しておくと良さそうだ。