この曲を聴いて、別の曲を思い出す

boshios
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  • Base Ball Bearの新アルバムからの先行楽曲「夕日、刺さる部屋」を聴いた。

  • ギターのフレーズとか音の作り方、リズムパターン、キーワードの散らせ方から、彼らのインディーズ時代のアルバム(『夕方ジェネレーション』)を意識させる作りをしているな、と思った。

  • 『夕方ジェネレーション』はリリースが2003年。こんな昔のアルバムとの繋がりなんて誰がわかるんだよ……と思ったが、俺だった。さすがにリアルタイムじゃないけど、高校生のときにずっと聴いてたよ。

  • そんな感じで「夕日、刺さる部屋」は、冒頭で『夕方ジェネレーション』のニオイを嗅ぎ取ってから、曲が終わるまでずっと、そのアルバムを聴いていた頃のことを思い出していた。

  • そしてたぶん、それは他の人も同じ。だいぶ長い間Base Ball Bearを追いかけている人は、みんな同じような気持ちになっただろうなーと思う。

  • 「夕日、刺さる部屋」は、1曲を通して「20年前に作った別の曲を想起させつつ、一緒にその思い出を引っ張り出す」ようにデザインされている。忌憚のない言い方をしてしまうと、「20年前のアルバム『夕方ジェネレーション』ありきの作り」をしている。

  • 言ってしまえば、「一見さんお断り」の作りをしているんだけど、こんな曲の作り方があるんだなーというのが、とても新鮮な体験だった。

  • しかしこれは「キャリアが長いバンドの新曲」と「長年バンドの曲を聴いているリスナー」が両方いて、バンドとリスナーの共犯関係があって成立するもの。

  • いちリスナーとして「夕日、刺さる部屋」を初めて聴いたときの体験は、本当に素晴らしいものでした。

  • 高校から予備校に向かうときのひんやりした空気とか。土曜日の夕方、まだ当時まだあった東急東横店の屋上で友達と延々喋っていたときの渋谷の景色とか。そういうやつをひと通り思い出した。まさか33歳で、こんな走馬灯を見るような経験をすると思わなかった。

  • 聴いているのは、今日発表された新曲であるにも関わらず。

  • そりゃあもう、泣くじゃん。

  • 言うまでもなく、そんな体験をさせてくれたBase Ball Bearにはめちゃくちゃ感謝している。ありがとう。新アルバムも期待しています。