自分だけにかけてやる虹の根本に咲く野ばらむしっていきな

nitsuke
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⚠︎精神的な疾患やいじめ、ハラスメント等の内容を含みます

私は生まれた時に女性と定められ、体が丸いことや身体に起きる様々な事情がとにかく嫌でたまらない。金銭に余裕ができてその時も気が変わっていなかったら上半身にふたつほどある脂肪の塊を取るつもりだ。

クラスメイトから太っている扱いを受け、(母曰く別に特に気にするほどではなく健康的だった)入学式の帰り道に意地悪な上級生から「ブタ」と呼ばれていた。10歳くらいからなんとなくみんなとおもしろいと思っているものが違うのかも、とは思っていた。

中学はギリギリ徒歩圏内のところへ通っていたため痩せたが、摂食癖もついていた。太ってるのに給食が不味すぎて昼休みも掃除時間も終わるころまで座っていたせいでやたら飲むように食う癖がついてしまい、今も早食いで下品なことが悲しくなる。

気持ち悪いな〜と思ったら躊躇なく指を喉に突っ込むときは本当に惨めだ。勉強はできなかったものの演奏の楽しさや知識、絵を描くことの喜びを改めて知ることができた。

高校生前後、うっすらと自分は多分バイセクシャルというものなのかもと思いながら部活推薦で入学した。

部活で死んだ家族の話をしはじめた下手くそに楽器を譲ることになり、この人たちは勝ちたいと思っていないのだ…と絶句し、とてもつらかった。

そしてこれまで唯一、交際した男性(表層)は寡黙で私が1番好きな楽器をしている後輩だった。できれば今でも友達でいたかったのに周りが色恋の話題で楽しそうにしているのが羨ましくなり、交際を申し込んでしまった。彼からは一度も好きだと言ってもらったことはなく、2つ上の先輩の言うことは断れないと思わせてしまったかもしれない。甘酸っぱい奴らだったので本の貸し借りをしては下駄箱に感想をびっしり書いた手紙を挟んでやりとりしていた。

また、これは後々気付く罪で死ぬまで墓場に持っていく気でいるため詳細は省くのだが、わたしが許可なく距離感を縮めたことにより、年賀状に「もう顔も見たくありません。」と書かれて関係性は終わった。

一応デッサンや面接で入った高校の学部も下にきょうだいがいるから絵(やデザイン)の勉強をするのはここまでにしてほしい、と止められてしまった。やりたくないことはやりたくない性質のせいで、課題もなあなあに提出しては酷評を受け精神的に苦しめられていった。

そうして高校1年生の終わり、全てを失ったような気持ちになり、生きているのかわからなくなって目視で確認するためについた傷跡が多数ある。寛解に10年はかかり、今はここにしかない岩を設置したからそんなことはしようと思わなくなった。苦しい時に眺めている。

卒業式の日に「〇〇が好きなんだよね」と初めて同性の同級生に伝えた時は礼すら言わずにスルーされたことやその後も頑張ってはみたもののこの人は全部流していくんだ、と思い冷めた。わからないならわからない、それはできないなどと答えて欲しかった。

大学は家族と離れて通った。3年生の時にゼミの合宿でそのメンバーから「付き合ってる人はいないの…?」とふたりきりの時に聞かれ「あ〜、コレなんだよね(ウド鈴木ジェスチャー)」をしてしまったことをとても後悔しているし、当時の交際者に対しても無礼を図ったことで関係性を終わらせてしまった。でも「ふ〜んそうなんだねえ」と騒ぎもせず、執拗には聞かず、ありがたかった。

次の日の朝、皮膚科の薬を背中に塗ってほしいと頼まれてドギマギしたが、信用してくれていたのだと思う。(ビニール手袋をして塗りました。)

その後、6年弱交際していた人ともだんだんとうまがあわなくなっていた。勤務時間の違い、物理的距離により「1年考えてほしい」と述べたところ、向こう発信の連絡は一切なくなり、その1年後すべてのSNSをブロックして終わらせてしまった。

私はこのようにずっと不誠実だ。

自分で「自分は誠実です!」と言い切れないように差別はしたことがないと言える人はいない。

痴漢や電車内で自慰行為の標的になったこと、曽祖母の葬式で母が子は2人とも女の子だと伝えると「ヘタクソ」とな〜ん知らんババらち(方言です)に言われていたこと…が女性でいたくない理由かと言われると0ではないが5%にも満たないと思う。

理想の細身の女の子の身体扱いを受けることが気持ち悪く、性的にできることしたくないことに線引きがあること、元パが妬くほどに友達との面白かったことを話してしまうくらい友情が大切であったことが25歳くらいにしてやっとわかったのだ。

脳みその煮付けと名乗って暮らしていない時間はほとんどクローゼットである。それ故、日頃は"女性扱い"を受けており、新卒で入社した際、初日に詰問されたあげくアウティングされ、流石に壊れてしまった。2ヶ月でやめた。

仕事を長く続けることも全てに対して誠実な態度でいられることも私にはできない。

通信簿に人の気持ちを考えるのが不得意だと書かれたりもした。やりたくないことをやれない性質は宿題をやらず、後々の期限を決められても提出すらしなかったため、担任から吊るしあげられた。家庭内が比較的恵まれていたが生きているだけで精一杯。

そんなこんなで私は、友愛を最優先している。友情は普段女性として暮らしている人との方が発生率が高いため戸籍上はレズビアンでもあったこともあり、今はアセクシャルでもある。数年後もしかしたら全然違うことを言っているかもしれない。そういう女性でも男性でもないノンバイナリーはここにおり、流動していく。

@brainjolim
短歌とイラストレーションが趣味の厭世生まれの星。