まだ出ていなかった新刊【厭星】のその後

nitsuke
·

「女性でもバス運転手になれるんです」「でも」ってつけたのだ〜れだ

電車の中でイヤホンができないもう勝手に触られたくないから

自分の車を手に入れて数年が立つカラオケに行かなくなった

泣くのも喜ぶのも叫ぶのもラブホライト搭載の車の中で

連峰の方が私は好きなんだけど泣いてしまうよ「スプライトフォーユー」

目撃を共にした人たちに必ずいま生きている喜びを分つ

友達を待ちながら詠む歌たちよ今日も健やかで

出てない星への願い事

そりゃそうだ馬にのってみたいよね耳が聞こえないことだけで小さな旅行も冒険に

車椅子や白杖もみんな人だぜ獣なんかじゃない赤子もだぜ

線路内電車眺める黄色い水仙そういう毒になろうよ

知らん田舎の鈍行を進むのはよく見る夢のようにさぶい

ここがホームですよの意で鳴く機械のさえずりマシーンたんとお食べ

ローカルと新幹線が十字を切る町そう小松飛行機が飛んでいく

納屋ぐらい細い家が並ぶのを見た後それ二棟分の墓ひとつ

清純と呼ばれるわけない田んぼの真ん中ホテルピュア

私より前に小さい人に席を譲れボックス席の奥より

@brainjolim
短歌とイラストレーションが趣味の厭世生まれの星。