授業に出なかったある日のこと

文学少女
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 授業中のキャンパスが好きだ。みんな授業を受けていて、外には人がいない。とても静かで、鳥のさえずりが響いている。今まさに、授業中で、僕は日の当たるところに座り、秋の美しい風景を見ながらこの文章を書いている。

 僕は今授業がないわけではない。そんな中、この綺麗な秋の景色を見ながら、鳥の声を聞き、穏やかな日向で本を読むのが、妙な背徳感があって楽しい。こんな時に読む本は、「ライ麦畑でつかまえて」だとか寺山修司の「さみしいときは青青青青青青青」である。僕はさっきまで「さみしいときは青青青青青青青」を読んでいた。

 この文章を書いている間にも、優しいそよ風が木々を揺らし、枯葉がゆっくりと下に落ちてゆく。黄色の葉っぱがひらりひらりと舞い落ちる。空には雲が一つもない。ただただ青い。そんな青空を背景に、茶色の葉を身にまとい大きくそびえ立つ木々は、なんとも美しい。爽やかな青空と、侘しい木。この対比が、僕の心を掻き立てる。

 気温が下がり、冷たい空気が漂っているが、日向だと穏やかで、温かい。心も不思議と穏やかになる。時間がゆっくりと過ぎてゆく。やらなければいけない課題の存在も、なんだかどうでもよくなってくる。枯葉が、落ちる。また落ちる。枯葉が舞い落ちるのを眺めるときに湧くこの気持ちはなんだろう。寂しさだろうか。悲しさだろうか。音楽が鳴り響いた後の静けさのようだ。

 鳥の囀りが響く。僕はそれを聞く。そんな中読んでいた「さみしいときは青青青青青青青」には、こんな詩があった。

 

ああ私のために

小鳥を歌え

のどを嗄らして