今日は三島由紀夫の命日、憂国忌らしい。僕が三島由紀夫に惹かれたきっかけは、作品ではなく、切腹という死に方だった。僕は三島の作品を読むよりも前に、三島事件のことを知った。陸上自衛隊の駐屯地に入り、バルコニーで演説をし、切腹をして自殺するという事件は、とても衝撃的だったし、生首の三島の写真、その表情が、今でも僕の脳に焼き付いている。憂国忌というのは三島の「憂国」になぞらえてつけられた名前だと思うが、僕が三島由紀夫の一番好きな作品は「憂国」だ。あの短編に、三島由紀夫という作家が詰まっているように感じるし、文章には緊張感が漂い、三島の人生を暗示するようなラストまで一直線に進んでいくあの美しい短編が、僕は好きだ。「憂国」のことを書いていたら読み返したくなってきた。帰ったら読み返そう。
今日も美しい青空が広がっている。澄んだ水色の青空は、やはり僕に透明という印象を残す。いつものように、喫煙所で自然を眺めていた。今日はハイライトではなくパーラメントを吸った。苦みが強いというか、焼けるような感じがする。葉がより深く黄色に染まっているのを見ると、秋が深まっているのだと思う。そよ風に吹かれ、ささやかに木の葉が揺れ、枯葉が落ちている。黄色の枯葉が、雨のように、地面にぱらぱらと降り注いでいる。落ちる枯葉の枚数が増えたように思う。自然は、冬に向かって、姿を変えようとしている。もう一年が終わろうとしているのだと思うと、僕は時の流れの速さに驚いてしまった。