空虚

文学少女
·
公開:2024/12/1

 ついに、というか、いつのまにか、十二月になった。正直あまり実感はない。ここ最近の出来事を思い浮かべてみると、やらなきゃいけないことをこなしているうちに、いつのまにか時間が過ぎていた、という感覚がする。読書や勉強もあまりできていなかったし、映画も夏休み以来二本ぐらいしか見ていない。今日も気づけば終わりそうになっていて、僕は重い腰を上げて日記を書き始めた。ついに髪を切ったこと以外は、特に書くようなことが無い。この日曜日と言う休日を、しっかりと、なにもせずに休日として過ごしたのは、悪いことではなく、むしろいいことだろう。

 今、僕の心は平穏である。僕の心は、満たされているのだと思う。友達がいて、恋人がいて、かつて張り詰めていて棘があった僕の心は、小さな波で揺れる海のように、静かだ。ただ、この心は静かなのであって、幸福ではないのだと思う。嵐の前の静けさのような、そんな不穏さを醸し出すような、静かな心なのだ。僕の心は、静まってしまった。大きく上下に感情が揺れていた僕ではなくなってしまった。人生という観点で見れば、このことは決して悪いことではないが、僕が求めているもの、それを見つけ出すために書かなければならない小説のことを考えると、これは、悪い状態だ。だから僕は、静まってしまったこの現状に、どこか不安になってしまう。満たされているのではなく、空虚という言葉の方が、今の僕にはふさわしいように思う。ほんとうに、この静けさは、なんなのだろう。