これから毎日文章を書く

文学少女
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公開:2024/11/19

 十一月十九日

 今日から、毎日、六百文字以上の文章を書く、というやつをやろうと思う。僕は近頃、小説が書けなくなった。これまで僕を襲ってきた創作への衝動が、不思議なほどに、ぱたんと、止んでしまった。去年のこの時期も同じような状態だった。だから、僕は去年、六百文字以上の文章を毎日書くというのを百日間続ける、というのをやっていた。だから、今年もそれをやってみようと思う。とにかく文章を書くことで、どうにかして創作につなげていきたいという狙いだ。

 今日は図書館に本を返しに行き、ついでに、本を二冊借りた。坂口安吾の「アンゴウ」と、アーノルドの「古典力学の数学的方法」という本だ。「古典力学の数学的方法」は、九階にある書庫のようなところに行かないといけなくて、僕はエレベーターで九階まで上った。目的の本を見つけ、エレベーターが来るのを待っているとき、窓の外の景色が僕の目を奪った。日が暮れかけていて、紫からオレンジ、そして青へと美しいグラデーションの空が、そこには広がっていた。今日は雲一つなく、澄んだ美しい空だった。この澄んだ透明な空を見ると、僕は秋を感じる。キャンパスの木々に茂った葉も、褐色や黄色に色づきつつあった。秋を感じつつも、空気はとても冷たくて、十七時にもう真っ暗になってしまっているのは、冬を感じてしまう。空にはもう星がかすかに輝いていた。僕はそんな星を眺めながらタバコを吸った。どうして僕は今小説が書けないのだろう。僕は何を書きたいのだろう。そんなことを考えながら。