翡翠色

文学少女
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 まばらに色づいていた葉は、すっかりと秋の色に染まっていて、いくつもの葉がぱらぱらと降っていた。もうあとは色づいた葉が落ちてゆくだけで、冬になっていくのだろう。今日は太陽の日差しがあたたかく、空の色も鮮やかな青色だった。日向にいるとすこし暑いくらいに、太陽の日差しは強かった。晴れている空を見て、ただ「青空」という一言で表現できるが、空を見上げるようになってから、その青空にもいろんな「青」があることに気がついた。夏の青空は燃えるように鮮やかな青色だが、冬の青空は澄んでいて、淡い水色だ。空を見上げては、これは何色なのだろうと僕は考えることがある。そうしていると、知っている色の種類も少しずつ増えていった。僕は、夕方の夜の間の、翡翠色の空が好きだ。ところで、僕はこの「翡翠」という言葉が好きだ。「ひすい」という言葉の響きも、美しいように感じるし、「翡翠」と言う漢字も美しい。そして、翡翠色は、とても素敵な色だと思う。

 ふと思い立って、去年の同じ日付に書いていた日記を読んでみた。そのときの僕は、授業に出ずに、寺山修司の「さみしいときは青青青青青青青」を読んでいたようだ。その文章は、どこか張り詰めていて、今の僕は、去年よりも、穏やかになっているのだと感じる。僕はすこしだけ「独り」ではなくなったのかもしれない。自己嫌悪も和らぎ、いろんなことをすこしずつ受け入れられるようになっているのだろうか。なんだか、そんな感じがする。

 相変わらず、僕は小説を書くことができていない。