空気はひんやりとしていて涼しいが、湿気で蒸し暑い。だらだらと汗が流れるわけではないが、じわじわと、汗が皮膚からにじみ出る。今日は気温が低いからまだましだが、この湿気と高い気温が合わせてやってくる日本の夏の暑苦しさはすさまじい。キャンパスの木を眺めながらぶらぶらと歩いていると、蝉の鳴き声が大きく響いているのが聞こえる。じじじじじじじと鳴く蝉と、みーんみんみーんと鳴く蝉の声が重なって、僕の頭の中にじりじりと入ってくる。このうるさい蝉の合唱を聴くと、夏だな、と僕は思う。暑さだとか虫だとかで、僕は夏が嫌いだが、この夏だなと感じる瞬間は不思議と好きだ。鮮やかな群青の青空に大きな白い入道雲が浮かんでいるのを見たり、強い日差しが僕を焼きだらだらと汗が溢れたり、生き生きとした緑の自然を見たり、青々と輝く海を見たり、線香花火をしたり、ちりん、という風鈴の軽やかで涼しげな音を聞いたときに、夏だな、と感じるあの瞬間。
今年も、夏を感じられたらいいな。