どれほど似ているか/キム・ボヨン

bunnyboy67
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花が咲く瞬間を待っていたことがあるかな。花は、見守っていたら咲かないの。どんなにその瞬間をとらえたくても、花はいつもあなたがちょっと目をそらしたすきにもう咲いてる。それは、あなたの観察が量子的カオスを安定状態に変えるからなのよ。

動物たちが去ってしまった土地は砂漠になり、人が暮らしていない家は廃屋になってしまうでしょ。放射性物質だって、見守っている人がいたら分裂を止めるし、やかんに入れた水も見守っていたら沸かない。もちろんあなたはそんなこと、私よりもよく知ってるだろうけど……。

生命が生まれる前の海はカオス状態にとどまってた。誰かが空を見上げる前、空は存在しなかった。人間が望遠鏡を作って宇宙の向こうをのぞき見るまで、宇宙は自分の形態を決定していなかった。宇宙船が月に到着する前の月は、無限の可能性を持っていた。初めて月に足を踏み入れた宇宙飛行士が科学者でなく芸術家だったら、あれより美しい月を想像できただろうけど。

今もあなたは時々刻々、カオスに秩序を与え、確率と可能性によってのみ存在する世の方向を決定している。お母さんはあなたに遺伝子を提供することであなたを産んだけど、あなたを見守ることによって産み直した。

過去が変化しないわけは、過去がすでに観察されたものだからだよ。大勢の人の視線が過去を決定したからだ。未来が可能性の領域に向かって開かれているわけは、まだ誰も未来を観察したことがないからだよ。もしもこの世に誰もいなかったら、過去も未来も単なる果てしないカオスとして存在するだけだから。

@bunnyboy67
ワンコソバ・シティの上空163センチから地球をながめています。 Instagram, ex-twitter / @bunnyboy67